穴掘り

 

今日も一日穴を掘ってきた
少し硬い土の上で
汗をダラダラと流しながら
ひたすらいくつも穴を掘った

掘った穴は
また誰かによって
丁寧に埋められていく

俺はその誰かが埋める作業を
頭のどこかで見ているに違いない
俺の仕事は穴を掘ることで
誰がどうやって埋めようと知った事じゃないのに
埋められた穴がどんな風に見られようと
俺にはなんの不都合もないはずなのに

俺は穴を掘っている
一日中、ただ穴を掘るために体を動かしている
一心不乱に掘ってるように見えるのに
実際は穴を埋める奴を盗み見してる

周りを見れば
道具を準備する奴
穴を掘る場所、埋める場所を指示する奴もいる
穴の大きさを測ってる奴
そんな俺達を見張っている奴
その見張りに見張りをやらせて
どこかで昼間から一杯やっている奴ら

俺はそいつよりも数時間遅れて
酒を飲みに家に帰る
穴を掘る俺以外の奴らの事を考えたり
全然関係ない、よその女ことなんかを思い出したりしながら

もう飲めないくらい飲んだら
また穴を掘りに行くために
横になって目をつぶる

なんと大変な仕事なのだ
穴掘りというのは