僕の日課
あの鳥が飛び立ってから
棚のオブジェになった巣箱の掃除と
明け方に見上げる東の空が
生まれて初めての日課になった
開けっ放しの巣箱
時折、物欲しげに開けられる部屋の窓
巣箱はいつもきれいだけど
水を忘れることが増えてきた
鳥が飛び立っていったのが
一体どこなのか、もちろんわからない
飛び立ったのかどうかすら
本当を言えばわからない
僕はその瞬間を見ていないから
ただ何となく瞳で後を追いたくて
明け方になると
僕は東の空を眺める
窓の向こうが東の空だから
きっとまた水をやり忘れるだろう
そんな日が増えていくだろう
やがて僕は自ら選んで
巣箱の掃除を忘れるようになる
やがて僕ははっきりと
自分のためにだけ東の空を見上げる
やがて僕はきっぱりと
初めての日課を喪うことになる
でも今はまだ
その日課が必要なんだろう
それが日課