読み週記 8

 

第4週(8/23〜8/29)

 先週は余裕で更新を忘れてあっという間に一週間が経ってしまった。そんなわけで諸事情によりHPの更新をしばらく不定期にすることにした。どんなわけかはよくわからないけど。読み週記の方も、その週にこだわらず、更新していない間に読んだ面白い物は更新のタイミングで書くことにすRY。

 エドワード・D・ホック『怪盗ニック対女怪盗サンドラ』(ハヤカワ文庫)はハヤカワミステリ文庫で出ているシリーズの短篇集。ニックとライバル関係であり友情を結ぶ女怪盗が登場する。このシリーズ、読んだことはなかったんだけど「価値のない物しか盗まない」という主人公の設定とフットワークの軽い展開が読みやすくて楽しい。トリックと怪盗の軽妙さを楽しむには丁度いい。

 シリーズの2作目が早く出たような気がするジェフ・アボット『海賊岬の死体』は、図書館長とはうって変わった、親の七光りで選出されたお気楽判事ホイット・モーズリーが主人公のシリーズ2作目。今度は地域に伝わる海賊伝説とそれにのめり込んだ人々が登場し、サスペンスフルな物になっている。主人公のホイットやサブキャラ達のキャラクターでシリーズとしての面白さがあるし、各作品も及第点。どうしても、というほどじゃないけど、次が出たらやっぱり読みたいシリーズだ。

 今週大当たりなのは友達が貸してくれた江國香織の『ホテル・カクタス』だ。江國香織って多分俺は好きだと思うんだけど、どうしても恋愛物のイメージがあって、一作しか読まず敬遠していた。これはそういう敬遠していたイメージとは全く違って、「若者の次の世代」の青春像とでも言うか。メインの登場人物は「ホテル・カクタス」という名前のアパートでたまたま知り合ったきゅうりと帽子と数字の2。主人公達からもわかるような童話的なテイストと彼らの織りなす哀しいような幸せなような物語が連作短編のように続いていく。確かに大きな字で書いてあるしイラストも多いし、サクサク読めるが、どのエピソードもおろそかに出来ないような愛おしいストーリーの連なりだ。

 というわけでしばらくの間不定期更新で気にいったものを載せていく予定。毎週じみじみと更新しているのも好きだったので、一区切りついたらまた元に戻るつもり。

 

第1週(8/2〜8/8)

 今年も少し夏休みを取ろうかと思ってるけど、今年こそ家の整理を出来るかどうか。というか主に本の整理を出来るかどうかにかかってる。でも色々溜まってるし、難しそうだなぁ、と早くもあきらめムード。というかまだ夏休みになって無いんですけど。

 先週も書いた佐藤賢一『二人のガスコン』(講談社文庫)の下巻を読む。いやはや、なんとも元気いっぱいのクライマックスにビックリ。こういう展開を読むと「この人世代が近いのかな」って思っちゃう。今まで抱いてたイメージとか、期待していた物とは全く違うようなストーリーの進み具合で、見方によってはかつてのヤングアダルトみたいな勢いになってる。それでも大崩れせず、むしろしっかり印象に残るのはやっぱりラストの締め方、そしてその語り方にあるのではないか。「あんまり男くさいのはちょっと」という向き以外はまあいいのではないかと思います。はい。

 山本周五郎『赤ひげ診療譚』(新潮文庫)は周五郎には珍しくちょっと物足りず。「赤ひげ」とあだ名される医師が運営する小石川療養所にやってきた若き医師保本登を主人公に、下層の人々の苦しい暮らしや、医療を施していく赤ひげたちの連作短篇集なのだが、ひっかったのは保本の心の動き。それぞれの短編はいずれも質が高くて十分面白いんだけど、序盤に訪れるシリーズ全般を通す保本の「気付き」と「成長」があまりにあっさり進行しすぎるような気がするのだ。もうちょっと紆余曲折があってもいい気がするんですけど。

 というわけで来週は夏休み気分を満喫するために更新はお休みの予定。実際は休み明けの月曜になる訳なんだけど。