読み週記 1月

 

第4週(1/25〜2/1)

 諸事情により更新を一週間お休み。その間読んだ本もあると思うんだけど、あんまり覚えていない。なんということ。

 北上次郎『記憶の放物線』(本の雑誌社)は、俺としては初めて手にしたサイン本。北上次郎のサイン本がどれくらいの層にうけるのかはともかく、なんとなく嬉しいから不思議だ。「サイン本が買えます」ってことでネットで買ったんだけど、注文してからくるのにずいぶん時間がかかったので半分忘れてました。届いた書店から電話が来てびっくり。来ないのかと思ってた。
 書評家北上次郎の翻訳小説案内。自身もあとがきに書いているように、翻訳小説の案内自体はあまり内容に触れてないことが多くて、案内本としてはさほど機能してないんじゃないかと思ってしまう。「感傷派のための翻訳小説案内」とある通り「感傷派」を捉える方はちゃんとできてます。どこからかは創作かな、と思うようなエピソードもあるけど、書評や本の紹介と言うよりも、本の紹介も絡んだ感傷派エッセイと思った方がいいかもしれない。こういう北上次郎のスタイルって結構好き。

 珍しく祝日以外の理由で更新を休んだが、また再び読みの日々を送ろうとあらためて思った臨時休業であった。

 

第2週(1/12〜1/18)

 新年早々一週目が祝日で更新をお休み。ハッピーマンデーっての、人々には喜ばれてるんですか、どうなんですか?

 ジェフリー・アーチャー『運命の息子』(新潮文庫)の下巻。互いが双子の兄弟であることを知らぬまま育つ二人の運命が絡み合いながら、やがて一人の敵手の存在によって結びつけられていく。リーガルサスペンスっぽい要素も加えつつ様々なカテゴリーの選挙戦を勝手知ったるで書きつづりながら、ご都合主義と言われても仕方のない様な、それでいてスピード感を保った形で物語は終盤にもつれ込んでいく。物語を語るというか、展開良く進んでいくのは見事だが、やっぱり、「ふーん」という読後感しか残らないのが残念。

 久しぶりに読んだ筒井康隆『ヘル』(文芸春秋)で、同じく納得の行かない感じ。確かに筒井康隆だし、相変わらず仕掛けの面白さがあるが、これもアイディアとしてはわからないでもないけど、さほど巧みとも思えず、かつ小説としては及第点がせいぜい、という程度だったように思う。筒井文学の現実が揺れ動く感じや、不思議な世界観、語り口は健在なれど、エネルギー不足というか「筒井康隆を読んだな」という以上の物は無いかも。

 今週はたまたま昔から読んでいるベテランの作品が並んだ。そんなことを考えながら、今年20前後の女性が二人芥川賞を取ったことをぼんやり考える。芥川賞作品ってほとんど読んだことがないし、個人的には射程の外縁くらいのエリアなんだけど、なにか複雑な気持ち。若手の面白い作者が登場するのなら嬉しいけど。