読み週記 1月

 

第5週(1/31〜2/6)

 ものすごく久しぶりの更新。年を越したあたりから大分余裕が出ていろいろ読んだりもしていたのに、結局このページには書かないまま来てしまった。今更な感じなのでその間の本を全部書くことはしないが、思いついたらいくつか書こうかと思う。どれがこの間に読んだ本なのかさっぱりわかんないんだけど。

 ジョン・ダニング『失われし書庫』(ハヤカワ文庫)は、元刑事の古書店店主クリフが主人公のシリーズ最新刊。ダニングの作品はどれもどっしりとしたミステリで、読み応えもあるし、抜群のページターナーの一人だと思っている。その中でもこのシリーズは本にまつわる物語だけに一段と興味を引くが、なんと言っても今回の白眉は作家/探検家でもあるリチャード・バートンの造形のすばらしさにつきる。実在の人物でその詳細については本書でも語られているが、作中このバートンとともに旅をした男の手記が劇中劇として語られるが、この中に出てくるリチャード・バートンの魅力的なこと。作品の主人公クリフの活躍も面白いが、そちらのほうがより興奮を呼ぶ。小説の中でこういう魅力ある人物に出会うたびに、作家の創作欲にあてられてうらやましくなる。

 竹内真『カレーライフ』(集英社文庫)は、書評をどこかで読んだような気がして手に取ったのだが、読みながら少し後悔。幼い頃に交わした約束が尾を引いて、カレー屋の店主になることになった主人公が、ともに約束したいとこ達の一人とともに世界や日本をめぐるロードノベルだが、いくらなんでもそれは無理があるだろう、という展開や主人公のありきたりな幼さが失望を呼ぶ。一方で物語の底に流れる「おじいちゃんのカレー」をめぐる謎についての展開や真相は、作品後半からは特に興味をひきつけて続きを読ませる力を持っていた。てきとうに作っているように見えて結果美味しい料理を作り上げる「マジックタッチ」を持ったいとこの一人ワタルの魅力(これさえ特別新しいわけではないけど)とこの謎によって、読み終えた後は意外な満足感が。でもやっぱり主人公に魅力がないなぁ。

 久しぶりの更新で、読み終えた本たちの記憶が少しよみがえってきた。そうか、このページ、こんな感じで書いてたのね。