読み週記 2月

 

第4週(2/23〜2/29)

 『指輪物語』(評論社文庫)を相変わらず継続中で今週はなし。ふと書店に行ってみるとディック・フランシスの文庫の新刊が出てきてたりしてびっくりしたんだけどそれはまた次週に持ち越しである。
 今はシリーズの第2部である「二つの搭」を読んでるんだけど、最近観た映画を思い出すと、結構違う物でビックリ。昔読んだ記憶はこうも失われていた物かと思う。別に原作と違うと言って映画に文句をつけるるもりは無いけど。とにかくたまらなく面白い事には変わりがない。寝不足の日々が続いていく。

 

第3週(2/16〜2/22)

 J・R・R・トールキンの『指輪物語』(評論社文庫)の再読を継続中。あまりにも面白くてつい夜更かしをして読んでしまう日が続いていて、激しく眠い。夕方にも眠くなるし、なによりも朝がどうしようもなく辛いんだけど、それでも夜布団の中にいると止まらなくなってしまうので、毎日社会人としての自覚と自制心が、壮絶な戦いを繰り広げている。そして連敗中。

 山本周五郎『人情裏長屋』(新潮文庫)は、周五郎が得意とする長屋物に現代物が2編加わったもの。後半には落語物のような作品もあってそれはそれで面白いんだけど、個人的には思わず涙腺がゆるみそうになる前半の数編が特に印象的だった。どちらの持ち味もそれぞれ魅力があるし、名人芸と言ってもいいような物ばかりだ。じっくりと語られる物語の質量感や余韻の一つ一つで満足感をたっぷり味わえる。

 巷では映画「ロード・オブ・ザ・リング」の3が既に公開されているが、俺が観るのはまたずいぶん先になりそう。劇場で観てもいいんだけど、せっかく読み始めたので、第3作くらいは原作を読み終えてから観たいのだ。映画を観て「ああ、なるほど、ここは原作と変えたんだ」って思ったりするのも楽しいし、何を切り取って何をクローズアップしたのか、という映画の製作者側の意図みたいなものを感じながら観るのも楽しいかと思って。  あと、映像で観た物を本で読んで追い掛けるんでなく、映像になってない物を読んでから映像で観る、という贅沢な味わい方もしたいじゃないですか。 そんなわけで、映画の3を観られるのはいつのことだろうか。

 

第2週(2/9〜2/15)

 今週は新しい本はなし。というのも、映画「ロード・オブ・ザ・リング」の1と2をいまさら観たあげくに、すっかり魅了されてしまってJ・R・R・トールキン『指輪物語』再読の強烈な誘惑に教われたためだ。中学生ぐらい以来で、すっかり話もディテールも忘れてしまっているので、まるで初めて読むかのように楽しんでいる。映画を観ていて「ああ、そうだったそうだった」と思ったり、かつて味わったワクワク感とか興奮とかが甦ってくるのが実に楽しかった。今あらためて読んでもやっぱり圧倒的に面白い。
 ところで俺が読んでいる『指輪物語』はかなり昔に発行された評論社文庫版で、文庫本なれど全6巻。あの長い物語が文庫本6冊に納められているうえに、厚さはさほどでもないのは、字がものすごく小さいからだ。あまり続けて読むと目が疲れてきそうなくらいだが、もともとその字でこの本を読んだこともあり、自分の中で勝手にコレを決定版と思うくらい愛着がある。ああ、子どもの頃読んだんだね、こんなの。

 

第1週(2/2〜2/8)

 今年新しいコートを買って、それなりに気に入っているつもりだが、問題はさすがに内ポケット文庫本作戦がしにくいこと。なにもそこまで、と思うかも知れないけど、仕事の時は鞄に入れていて、電車で立ってると出すのが面倒くさいし、それ以外に出かけるときは手ぶらが多いので、本を収納できるのは便利なのだ。まあそれはそれ。

 永井路子『乱紋』(文春文庫)は、徳川秀忠の妻となる浅井三姉妹の末娘、おごうの半生を描く物語。主人公はおごうというより、彼女についてハラハラしながらその日々をおっているおちか。おごうの侍女としてその数奇な変転の人生に寄り添い続ける。恐妻家というイメージのある秀忠だが、ここで描かれるおごうはそんな恐ろしい女性ではなく、訪れる運命を静かに受け止めていく女性として描かれている。このおごう像が秀逸なのと、対比するように描かれる長女お茶々、次女お初などもそれぞれ個性豊かに描かれているのが楽しい。また、歴史の影に存在する謎の男ちくぜんなど、仕掛けも多数。それにしても、永井路子は本当に文章がうまいなぁ。

 本を持ち歩いてもこのところはあんまりたくさん車内で読んでいない。夜更かしも多いし、もっと読みたいんだけど、どうも時間のやりくりがうまくないようだ。というかそんな弱気な感じがいまひとつな2月。