読み週記 2月

 

第4週(2/28〜3/6)

 今週は読み週記の更新はほとんどなし。読んだのは『本の雑誌』(本の雑誌社)だけだからだ。前はそれでも書いてたんだけど、このところ雑誌を乗せるのにやや抵抗があり書かなくなってしまった。そして『本の雑誌』はやっぱり昔ほど面白くなくなってきたなぁ。

 雑誌は読み週記では取り上げないと書いたが、実際のところ雑誌をちゃんと読むと本を読むくらい時間がかかる。この1年くらいはちゃんと読む雑誌はこれだけだったけど、昔はもう2、3誌一生懸命読んで案外時間がかかったものだ。そう思うと雑誌を丹念に読むエネルギーか時間がなくなってきているのかも。

 

第3週(2/21〜2/27)

 このところ春が来るかと思いきやまた寒くなるフェイント季節が続いている。ちっとも暖かくならないが、日は長くなってるのできっと春になってきてるんだろうけど、やっぱり夜は寒い。寒い夜、布団の中で本を読むのは楽しいが、本を持っている手が冷えたり、肩が出て気づくと寒くなってるのが考え物。本に夢中になって、気がつくとすっかり体が冷えていたりすることがあるので危険だ。という話題はかなり季節感が遅れ気味で失敗した感があるけど。

 ローレンス・ブロック『殺し屋』(二見文庫)は、スカダーシリーズとは全く趣の違う、殺し屋が主人公の物語。スカダーが人間くさいのに比べてこちらの主人公ケラーはどこか一般の感覚の一部が欠落したようなところがある。そのせいで全く人間味がないかというとそんなことないんだど、すごく人間的であったり、でもやっぱり通じない違和感があったり。そういうケラーの雰囲気が作品全体に及んでいる。独特の価値観で迷い、優先順位をつけ、仕事(つまり人殺し)に訪れた町に住んでみたくなったりする。そんなブロック風殺し屋のキャラクターはなぜか癖になる。

 寒い夜に本を読んでいてそのまま寝てしまうと、翌朝に体が冷え切ってることがある。読みかけのまま寝ていて、体が布団に入っていないような事態だ。ぬくぬくと本を読むのは幸せだけど、「読んだまま寝る」の幸せパターンは思わぬ弊害を呼ぶことがある。

第2週(2/14から2/20)

 しばらく書店に行くことがなくて、最近ようやくぼちぼちまた行くようになった。文庫本なんかはあっという間に流通から消えてしまうので、追いかけているシリーズが俺のいない間に姿を見せて消えているのでは、と変な不安を感じたりしてしまう。かといってネット書店で探すというのもなんだか寂しいし。地域の書店でたくさん買い物をしたいのだ。

 平安寿子がどこに向かっている人なのか俺にはよくわからない。『パートタイム・パートナー』(講談社文庫)はいくつかの仕事をするも続かず、転生の女性に甘く、ほめまくる才能に恵まれた一人の男が、「パートタイム・パートナー」という、体の関係なしの時間貸しデート屋を始める連作短編集。『グッドラックららばい』(講談社)に衝撃を受けたせいか、どうしてもこの人にはあきれるほどつきぬけたキャラクタを期待しちゃうんだけど、今回の主人公晶生にはそこまでの突き抜けぶりは感じない。ということ自体がすでに異常なのかもしれないんだけど。この不思議な若者がどういう展開を見せていくのか、この一冊だけではどうにもわからない。ちなみに登場する女性陣にも、うまく書けてるとは思う反面、もっとはじけても面白いのにな、と思ってしまう。作者に寄せる期待だか勘違いだかのせいなのは間違いない。

 地元の書店に頑張って欲しいと思うのは、前にも書いたことがあるかもしれないけど、別に地元をひいきしたいわけではない。街の大きな書店を楽しむのと、もっと日常的な地域の小さな書店を楽しむのはおのずと中身が違ってくる。ネット書店が盛り上がってる今、ますます「家の近所に」、職場の近くに」ある書店の生き残りが、本を楽しむ要素になってくるように思うのだ。ただそれはやっぱり買う側がしっかり主張をしていく(主に金を払って、かしら)ことも大事なのでは、という気も少ししている。

第1週(2/7〜2/13)

 とりあえず2週続いたぞ!と非常に志の低い感じで。どうも一度更新が途切れると、また続く自身がない。とりあえず本だけでも読める生活でありたいんだけど。

 表紙の仮面の少年と題名に惹かれたコルネーリア・フンケ『どろぼうの神さま』(WAVE出版)はイタリアはヴェネツィアを舞台にした児童文学。おばに引き取られたものの、天使のような天真爛漫(あまりに天真爛漫すぎるんだけど)弟とともに逃げ出してきた少年プロスパーは、亡き母から聞かされた憧れの土地ヴェネツィアにやってくる。行く当てもない彼らは「どろぼうの神さま」と名乗る謎の少年の庇護を受け、仲間の孤児達と生活している。貧しくも自由な夢の共同体は、弟を探しに来たおばが雇った探偵の登場によって、予想もしなかった方向へ姿を変えていく。
 大好きなドイツメルヘン文学な味わいも後半には出てくるし、少年達が出会っていく冒険の展開もなかなか面白い。自分が今子供でこの物語に出会ったらさぞかし熱中して読んだ事だろうと思うんだけど、残念なのは、その子供達の共同体が持っている雰囲気がかつて読んだ児童文学の名作達の現代風焼き直し、という気がしてしまうところ。確かに子供達の価値観も変わってきてるんだろうけど、それにしてもなんだかなぁ、と受け入れかねる「違い」を感じてしまうのだ。「これでいいのかなぁ」といまひとつすっきりしない終りも含めて、現代の本好きの子供達の意見を聞いてみたい一冊。というか、俺っていついから「現代の子供」を語るように。

 冬の寒さが一段と厳しくなってきて、それにつれて朝起きるのも辛く。こうなるとどうしても夜の読書を控えたくなってしまうのがかえってくやしい。せっかくあったか布団にぬくぬくと包まっているので、この隙にたくさん読みたい気もするんだけど。