読み週記 11月

 

第4週(11/24〜11/30)

 うわーん。一週休んでの更新のくせに今週も無し。申し訳ありません。って誰に謝ってるのかよくわからない。
 今回の犯人は、次から次へと押し寄せる眠気と、魔夜峰央『パタリロ!』(白泉社)である。一年に何回か、本を読んでいくエネルギーが不足していて、なんとなく過去に読んだ漫画の再読をして読み時間を使ってしまうことがあるのだが、今が丁度その時。なんでまたこんな何回も読んだ漫画を今更読むのか。不思議でならない。が、ついたまたま近くにあったので読んでしまうから不思議。そして今更ながら、ペンネームがヘン!と妙に息巻く深夜2時である。全然眠くないじゃん。

 

第2週(11/10〜11/16)

 なんだか色んな意味で忙しくて今週は無し。しかも来週は祝日なのでまた更新がお休みである。もうじき読み終わりそうな本の事を来週書けないともったいないので、簡単に。斎藤環『心理学化する社会』(PHP研究所)は、「トラウマ」、「癒し」といったキーワードを交えつつ、カウンセリングや心の時代という心理学的な考え方が広まっている社会の趨勢のなかで形作られる様々な価値観や問題について書かれた本。本や映画といったお得意のコースから、徐々に教科書的な心理学・精神医学の知識によって理解を薄められる様々な減少などを取り上げている。「カウンセラー」なんて言うと、「必要とされてる」と単純に思われている事が多いけど、ホントにそうなのか、とは常々感じていたが、そういった「心理学ブーム」がマスコミや世論のなかで如何に利用されているかがわかって楽しい。最後の章はそこまでに書かれた内容を元に、そこから得られる様々な問題について書かれているが、一つ一つがもっと拡げたくなるような興味深い論点。
 ところで、斎藤環って人はNHKの番組で一回だけ観たことがあるんですが、坂本龍一と細野晴臣を足して若くした感じじゃないですか?一度お話をうかがってみたい人でした。

 

第1週(11/3〜11/9)

 ええそうですね。お休みが入りましたね。毎回「次週はお休み!」って告知しようと思って忘れるのね。この2週間、色んな事がありすぎて何を読んだかなんて忘れちゃった。

 北原亞以子『新地橋 深川澪通り木戸番小屋』(講談社文庫)は、北原亞以子のシリーズ作の一つ、木戸番小屋の夫婦に救われる人々の物語。シリーズを経ていく中でも今作は、夫婦二人それぞれが、今までより能動的に動いているような気がした。ただ待っていて、受け止めてくれる。それだけではない夫婦の動きは今までに無かった物なのか、それとも俺の中の何かの変かがそう思わせるのか。
 こうやってつらつら本のことを書いているけど、別に書評家じゃないので、過去作をたどってその感覚を確かめたり、もし作品に変かがあるのならそれがどこからくるのか考察したりしてもいいんだけどしない。それより、自分の中に起きた変化、という路線をなんとなく抱えていたい気がするのだ。

 同じく北原亞以子のシリーズでも『峠』(新潮文庫)の方は、元町廻同心の慶次郎が主人公のシリーズ。同心を引退し、縁のある山口屋の寮番として楽隠居の慶次郎と、彼と関わりのある岡っ引きの吉次や辰吉、義理の息子晃之助や、同心仲間であった島中賢吾などの脇役達にも恵まれたシリーズ。さっきの木戸番夫婦とは逆に、今回は主人公である森口慶次郎の出番は少ない。むしろ彼の知人達や、市井の人々が主人公で、慶次郎は直接は物語の端々に姿を見せるだけである。慶次郎と彼が住む世界が背景となって語られる中編「峠」とその他の短編が収められている。ここでの慶次郎はヒーローではなく、時には孫にベタ惚れの爺さんとして、時に裁きの不条理を体現させられるかつての同心として登場することがほとんど。こちらもシリーズとして変化しつつあるのか、ひとつの変化球なのか。

 北原亞以子を続けた読んだせいか、このところ一体何を読んでいるのかさっぱりわからない。ベッドで読んでいる本と外で読んでいる本がごっちゃになったり、そもそも本を読まなかったり。ふーむ。