「エーリッヒ・ツァンの音楽」

英名:THE MUSIC OF ERICH ZANN 外見:LP盤のアナログレコード
数値効果:全曲通して聴くたびに正気度喪失1/1D10
由来:
 アザトースの宮廷に魂を捕えられ、白痴の魔王のために永遠にヴィオルを弾き続ける運命に陥った哀れなドイツ人音楽家エーリッヒ・ツァン。彼が再びこの世に顕現して残した演奏を録音したジャズレコードです。
 1957年に、アメリカのジャズ専門レコード会社ブルーノートから発売されました。
 12インチのLP盤で、レコード番号は1553番。ごく少数が販売された後、ブルーノート社長のアルフレッド・ライオンの決断により回収され、マスターテープごと破壊された上にあらゆる記録が抹消されました。現在でもこのレコードは公式には「存在しない」ことになっています。しかし、回収と破壊を免れた数枚が存在するとの噂が絶えず、コレクターの間では「幻の1553番」として伝説になっています。ヴィオルが楽器として使われている世界でほぼ唯一のジャズレコードであること、マイルス・デイヴィスやジョン・コルトレーンなど後に高名になるジャズミュージシャンがサイドメンとして参加していること、そして演奏そのものが名状しがたい狂的な魅力をたたえていることから、クトゥルフ神話的価値を抜きにしても貴重なレコードです。
 このレコードを聴いた者はこの世ならぬ混沌たるヴィオルの調べに魅せられ、狂気に陥ります。全曲通して聴いた者は全員、正気度チェックが必要になります(1/1D10)。さらに、正気度チェックに失敗した者はもう一度レコードを頭から聴きたくなります! 正気度チェックに成功するまで、何度でも聴きたくなります。一時的狂気や不定の狂気に陥った者でも、レコードを聴くことを最優先に行動します。レコードに魅せられた者を他人が止めるには、レコードを破壊するしかありません。厄介なのはレコードからダビングしたカセットテープやCD、またはネット上の音源で聴いた場合です。この場合は、そのコピーを破壊するだけでなく、オリジナルのレコードも破壊しなければいけません。レコードに魅せられた犠牲者は、レコードを求めて手段を選ばない探索を始めてしまうからです。ちなみに、一度正気度チェックに成功してレコードを聴くのをやめた者も、再度聴くならやはり正気度チェックが必要になります。というのも、なぜか聴く度に演奏内容が変わるからです!
 このレコードの効果によって正気度がゼロになった者は、まもなく自殺か変死を迎えます。そして、「外なる神の従者」へと転生し、アザトースの宮廷に永遠に囚われてしまうのです。非業の死を遂げたアルバート・アイラーやジャコ・パストリアスなどのジャズミュージシャンは、死の直前にこのレコードを聴いていたともいわれます。


ジャケット・表

ジャケット・裏

レコードとしてのデータ
 タイトル:THE MUSIC OF ERICH ZANN
 収録曲名:
  A面
   1.THE BURROWER BENEATH (地底に棲むもの)
   2.THE STAIRS IN THE CRYPT (窖に通じる階段)
   3.SHAGGAI (シャッガイ)
  B面
   4.IN THE VALE OF PNATH (ナスの谷)
   5.THE FEASTER FROM THE STARS (星から来て饗宴に列するもの)
 参加ミュージシャン:
   エーリッヒ・ツァン(ヴィオル)
   マイルス・デイヴィス(トランペット)
   ジョン・コルトレーン(テナー・サクソフォーン)
   レッド・ガーランド(ピアノ)
   ポール・チェンバース(ベース)
   フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)
 収録スタジオ:ヴァン・ゲルター・スタジオ(ニュージャージー州ハッケンサック)
 収録日:1956年12月23日
 録音エンジニア:ルディ・ヴァン・ゲルター
 ジャケットデザイナー:リード・マイルス
 中ジャケの写真撮影:フランシス・ウルフ

外来:中西鉄山氏作成

葵: 恒例となりました「投稿アイテム紹介」のコーナーです。
有味: いやいやいや、違いますって。ここはうちのサイトの老舗コンテンツで……。な、なにかアイテムなかったかな……(ごそごそ。昔のシナリオを探す)。
葵: データは以上の通りですので、以下のようなものを考えてみました。

キャンペーン・シード
「エーリッヒ・ツァンの音楽」

導入:
 ジャズ好きの友人から珍しいレコードを手に入れたと連絡が入る。後日、彼とPCたちで「鑑賞会を開こう」ということになるが、その当日、レコードを手に入れた友人は行方不明である事が判明し、彼の部屋には1枚の見慣れないレコード・ジャケットだけが残されているのが見つかる。ジャケットのタイトルは「THE MUSIC OF ERICH ZANN」。

展開:
 
PCたちは行方知れずとなった友人を探し始める。残されたレコードのジャケットには様々な手がかりが残されている。演奏者、曲目、等々。
 キーパーはA面1曲目〜B面5曲目までの曲目をタイトルとした5話完結の連作シナリオを作成する。ドリームランド、崩壊前のシャッガイ等、宇宙・時空を超えるキャンペーンとなるだろう。
 エリカ・ツァンやリロイ・ターナー、ジム・カルヴァーといったNPCを協力者、あるいは敵として出せば、ストーリーに深みが出るかも知れない。

結末:
 黒幕の存在による。予想される黒幕には
 
・アザトース
 ・トルネンブラ
 ・エーリッヒ・ツァン
 等が考えられるだろう。

別の可能性:
 最後に一ひねりして、クトゥルフらしさを演出してみてはどうだろうか?
 ・最終回として第6のシナリオを作り、それをB面6曲目として、新たな「エーリッヒ・ツァンの音楽」が出回る。
 ・PCが全員音楽家であれば、ラストでアザトースの宮廷の楽師に加わり、魔王の覚醒を遅らせるべく永劫の夜想曲を奏で続ける。

有味: 私はラストをアンハッピー・エンドにする癖があるのですが、キャンペーンの最後くらいハッピー・エンドでも良いと思います。友人を無事取り戻せると良いですね。
葵: 中西鉄山様、ありがとうございました。今度は有味にも何かさせます。


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