以前よりどうしてもやってみたいと考えていた「アッシュールバニパル王の火の石」を扱ったシナリオです。
プレイ時間は6時間半くらいです。ようやく実用に耐えうる結果となりました。今回は所謂巻き込まれ型のシナリオであり、プレイヤーの行動如何に関わらず事態は進行(悪化)していきます。プレイヤーに受身の姿勢を強いる事になりますが、キーパー側の時間管理は容易になります。目の前で起こる慄然たる出来事になす術もなく翻弄されるというのは怪奇小説の一パターンではありますが、「それもクトゥルフらしい」と言ってくれたプレイヤーさんもいたので救われました。
ラストバトルの対守護者戦は発狂者続出で事故一歩手前でしたが、どうにか乗り切れました。その場に居合わせた7名のキャラクター(NPC含む)の内、2人が死亡、4人が発狂、1人が(無事?)生還という結果は、なかなかにド派手な幕引きです。キーパーとしてはもっと死亡キャラクターが出ると予想していましたが、盛大な正気度喪失ショーのおかげ(?)で死者は2人(内1人はNPC)に収まりました。
尚、「アッシュールバニパル王の火の石の守護者」は倒せなかったのか? という質問を受けましたが、守護者はイベントモンスターであるため退治することはほぼ不可能でした。
また、今一つ影の薄かった鸛坂怜衣というNPCは、火の石の所有をめぐる交渉が輪藤教授との間で決裂した場合に「あんなオヤジどうなっても知るか!!」となるであろう一行をラストバトルの舞台へと強引に引き出す、という保険です。
研究室で輪藤教授に火の石を渡さなくても、警察の手を借りるなどして、結局石は教授の手に戻ります。そうなった場合、怜衣は護封十三家に連なる者の役目を果たすべく火の石の行方(=火の石が白凰市に災いをもたらさないこと)を確認するために、旧白凰駅跡の無人街へ出向いていきます。そうなれば他のPCも渋々ながら行動するだろうという、甘い目論見のためのキャラクターが鸛坂怜衣です。幸い、PCたちは教授に石を渡して共同戦線を張ってくれました。
高額な報酬があまり重要な意味を持たない『クトゥルフ神話TRPG』において、女性NPCが男性PCを動かす「引き」として最も効果が高いと、私は信じて疑っていません(単純)。
シナリオを書き起こす前に『クトゥルー7巻』の「アッシュールバニパルの焔」と『黒の碑』の「アッシュールバニパル王の火の石」を読み比べてみたのですが、アフガンのヤル・アリのキャラ立てが訳者によって違うのが面白い発見でした。『アルハザードの遺産』の「アッシュールバニパルの焔の由来」も呪われた赤い宝石の秘密を扱った興味深い一篇ですので、一読の価値アリです。
大量の発狂者を出してグダグダになったラストバトルを含めて、念願の「火の石」シナリオをキーパーとしてとても楽しみました。参加していただいた5名のプレイヤーさんたちにも楽しんでいただけたなら良いのですが。