クトゥルフ神話TRPGキャンペーン支援カード

 『クトゥルフ神話TRPG(以下CoC)』の楽しさの一部として、プレイヤー・キャラクター(探索者)の脆弱さがあると思います。自らの能力とは比較にならないほど圧倒的に強大な敵に立ち向かい、その陰謀を阻止することに探索者をプレイする醍醐味があります。
 しかし、敵が圧倒的に強大であるからこそ、探索者はあたら命を散らせて行きます。
 私自身、調査不足による破滅的状況や、神話的存在との真っ向勝負(戦闘)などに際しては、慈悲の一片もなく対処して探索者を破滅させることに躊躇しないキーパーです。プレイヤーとしては、探索者の生存よりもシナリオの謎の解明をはるかに優先させます(その上で、全力で生還を目指します)。
 探索者の破滅も、このゲームの楽しみの一部なのです。

 そんな中、プレイヤーとキーパーの両者が、なるべく継続して探索者を使いたいと望む場合があります。それがキャンペーン・シナリオです。
 古くからあるCoCにまつわる笑い話に、「キャンペーン・シナリオの最終回に参加した探索者の中に、初回シナリオに参加した探索者は1人もいなかった」というものがあります。CoCのプレイヤー・キャラクターのリタイヤ率の高さを物語るエピソードです。
 冒頭で述べた通り、私は探索者の破滅はCoCの楽しさの一部だと思っていますが、キャンペーンに関しては継続して同じキャラクターを使った方が楽しいとも考えています。

 そこで「クトゥルフ神話TRPGキャンペーン支援カード("Call of Cthulhu" Campaign support Cards=CCC)」を作ってみました。このカードは技能ロールや戦闘ロールにボーナスを与えて、探索者を強化することを目的としています。
 注意:正気度ロールにはいかなる修正も与えるべきではないという姿勢により、正気度ロールでCCCを使用することはできません。

クトゥルフ神話TRPGキャンペーン支援カード(※pdfファイル)


【組み立て方】

1.CCCをプリントアウトし、適切な大きさに切り離します。
ccc01
2.カードゲーム用のスリーブに切り離したCCCを入れます。スリーブは91×66mmのサイズが最適です。
ccc02
3.背面に厚紙(不要なカード等)を入れれば、補強になります。下図では「クトゥルフ神話カードゲーム」を使用しています。
ccc03


【各項目の説明】

ccc_example①カードの名称:カードの名前です。雰囲気です。カード使用の際、書かれている四字熟語に即したロールプレイをしてみると楽しいかもしれません。

②カードを使用するタイミング:技能ロールを振る前/振った後等の別があるので、使用のタイミングには注意してください。ほとんどのカードは技能ロールと同時に使用されます。能力値ロール、抵抗表のロール等は技能ロールではないことに注意してください(能力値ロールや抵抗表のロールで使用できるカードもあります)。

③カードの効果:カードを使うことで得られる効果です。
例:濁流に飲み込まれた探索者、松本葵医師は<水泳>25%で川岸に泳ぎ着こうとする。松本医師は<水泳>技能をロールするが、D100で58を出して失敗する。このままでは溺死してしまう松本医師は【当意即妙(失敗した技能ロールに+5%できる)】と【形勢逆転(失敗した技能ロールに+30%できる)】のCCCを使用して<水泳>技能を[25%+5%+30%=60%]として、技能ロールに成功したことにする。

④カードの維持:D6をロールして、表記された目が出るとそのカードを捨て札にしないで、取り戻す(維持する)ことができます。「使い捨て」のカードは取り戻すことはできません。
例:松本医師は川岸に泳ぎ着いて溺死を免れた。松本医師は使用したCCC【当意即妙】のためにD6をロールし、出目が2だったので、そのカードを捨て札にせずに済む。【形勢逆転】は使い捨てのため、維持のためのロールはできない。

⑤カード整理ナンバー:各カードにユニークな番号が記されています。セッションが次回に続く場合にこの番号を探索者シートの余白に書き留めておけば、次回セッション開始時、自分がどのカードを継続して使えるかが一目で分かります。


【使い方】

  1. キーパーはキャンペーン・シナリオの難易度、参加する探索者の人数等を考慮して、プレイヤーが持つことのできるCCCの上限枚数を決定します。有味的にはプレイヤー4人で『ニャルラトテップの仮面』のような最高難易度のキャンペーンであれば上限3~4枚(あるいはそれ以上)、『Tatters of the King』なら上限2枚程度と感じています。
  2. キーパーはシナリオで使うCCCを取捨選択します。戦闘のないシナリオに【一撃必殺】のカードは不要でしょう。 クライマックスが《退散》や《退去》の呪文の成否判定であるなら、緊張感を損なわないために【天佑神助】や【乾坤一擲】のカードは使わない方が良いでしょう。
  3. キーパーは任意の枚数のCCCをプレイヤーに配布します。最初から上限枚数を配っても構いませんし、まずは1枚を配っても良いでしょう。
  4. プレイヤーは配布されたCCCを見て、それを他のプレイヤーと自由に交換・譲渡できます。戦闘力のない探索者に【一撃必殺】は宝の持ち腐れです。天文学の関係する事件にかかわるなら、<天文学>技能の高い探索者に技能ブースト系のCCCを集中させるのも良いでしょう。手順1でキーパーが決めた手札の上限枚数を超えなければ、ゲーム開始時点で何枚のCCCを持っていても構いません(0枚でも良い)。
     その日のセッションが始まる前に限り、プレイヤーは手持ちのCCCの交換・譲渡ができます。原則、セッションが始まった後の任意のタイミングでのCCCの交換・譲渡はできないものとします。
  5. プレイヤーはセッション中にカードに表記された「カードを使用するタイミング」でCCCを使用することができます。一度に何枚のカードを使っても構いません。
  6. シナリオ終了時に未使用のCCCが手元にある場合、それを次回セッションに持ち越せるかどうか、そして何枚を持ち越せるかを決めるのはキーパーです。
  7. キーパーは任意のタイミングでCCCを探索者に補給することができます。キャンペーン中に重要なミッションを成功させた時(例:敵の幹部であるオーブリー・ペンヒュー卿を倒した)、あるいはシナリオの節目を迎えた時(例:「第一の書:狂人」の終了時)等が適当でしょう。
     カードの補給によって手順1で決めた上限枚数を超えた場合、上限枚数以内になるまで、超過のCCCを捨て札にしなくてはなりません(セッション開始時点でないため、カードの交換・譲渡はできません)。
 上記の【使い方】はあくまでガイドラインですので、各キーパーが自由に使い方を決めることができます。
 基本的に、CCCは単発セッションでの使用を想定していません。単発セッションではすぐ隣にある破滅を楽しみましょう。
 各キーパーはキャンペーンに相応しいオリジナルのCCCを作ってください。面白いカードができたら、ぜひご教示ください。

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