#ex. 出羽 清虎





アクション1:
①午後(朝に会う為のアポイント取り、昼休み(あれば)に直接会いに行く)
②『日下部 矢尋さんに会いに「万座区」株式会社クサカベ』へ
③朝のアポイント取る口実は「世羅さんとB13区でのことで大切なお話がある」とします。
 実際に日下部矢尋に会えたなら、世羅・杏里は同一人物らしいことと彼女は化け物(?)に変わり果ててしまっている事、昨日の夜に目撃したB13区で世羅・杏里さんが行っていた神話儀式(?)の詳しい話を包み隠さず打ち明けます。そして危機はもう間近に迫っていること、自分達も追い詰められていることを誠心誠意な態度で話します。(こちらが包み隠さず話すことで信頼を得たいという目的もあります。・・・直情馬鹿ですからw)
 そしてこの危機を乗り越えるためにも『矢尋さんが赤室の部屋から持ち出した「二冊の書籍」』を借り受けたいとお願いする。本の情報が自分たちを救う光明になると考えたためと説明。自分も死にたくは無いですから・・・。もしそれでも渋るようなら書籍の全文コピーでもいいのでお願いしたい、と申し込む。もし面倒だと断るというなら自分がコピー機でコピーしてもいいい、と申し出て何が何でも本の情報を貰います。
 (○補足 二冊の本はその後、鈴原志郎さんに解読をお願いする約束になっています)



リアクション1:
【K3ビル】

 様々な施設が立ち並ぶ新駅前でも際立つその威容。光を反射するミラーガラスによって、あたかも自身から光を放っているかのように見える高層ビルが、新駅前のシンボル、株式会社クサカベの本社ビル「K3ビル」である。
 エントランスホールの受付には、案内役の女性が2人座っており、愛想良く訪問客を担当部署へと誘導している。忙しく上下する3つのエレベーターはそれぞれが一人ずつのエレベーターガールによって運用されており、来訪客を効率よく目的の階へと運ぶ見事な手際と連携を見せている。紺色の制服を来たガードマンが入り口の両脇に立っており、3人目のガードマンはホールを巡回しながら訪問客の対応をしている。
 受付嬢に名前と目的を告げると、にこりと微笑みながら手振りを交えてエレベーターへと誘導してくれる。続いてエレベーターガールに行き先の階を告げると、教育の行き届いた応対と迅速な手際であなたを目的の階へと送ってくれた。
 40階のフロア一面を使ったオフィス。だだっ広いそこは、しかし、ほとんど人気がない。万座殿の第13期開発計画を担うB13区画開発チームの中枢は、今回の崩落事故を受けて完全凍結されていた。
 フロアの一番奥の窓を背にしたデスクにたった一人座って、黙々と書物に目を通している人物がいる。閑散としたフロアにあって、それでも上等なスーツを隙なく着込んだヤング・エグゼクティブ。内線で連絡を受けていたのだろう。日下部矢尋は立ち上がってあなたを出迎えた。

 デスク横の簡易応接にあるソファにあなたを促し、向かい合うようにして矢尋も腰掛ける。あなたが昨夜見たB13区画での光景を話す間、矢尋はそれを黙って聞いていた。内容は到底信じられないものではあるが、赤室翔彦の結晶化を目の当たりにしている矢尋はそれを馬鹿にするような事はしなかった。昨夜の様子を話し終えたあなたは、最後に矢尋が翔彦の部屋から持ち出した二冊の書物を借り受けたいと申し出る。その書物にこそ、この未曾有の恐怖から逃れる手立てが記されていると考えたからだった。あなたが言葉を切るのを待ってから、矢尋は深く頷いた後、言葉を発した。
「出羽君の見た事は俄かには信じられない事だが、君が嘘をついていない事は信じられる。しかし二冊の本については少し難しいな」
 応接のテーブルの上に本を二冊乗せる矢尋。表紙には『Vision from Yaddith(ヤディスからの幻視)』『Jean Morgan’s Vision(ジーン・モーガンの幻視)』の綴りが踊っている。『ヤディスからの幻視』にpoemの文字が、『ジーン・モーガンの幻視』にpsychiatryの文字が見える事から、それらが詩集と精神医学の書物である事が分かる。
「知っているかもしれないが、この二冊はどちらも國史院大学の蔵書でね。しかも、二冊とも正規の持ち出し許可を得ないまま持ち出された、謂わば盗品なんだ」
 そう言った後、矢尋は先ほどの「少し難しい」理由を述べた。二冊の本が國史院大学の蔵書である事を知った矢尋は、すぐに大学側に連絡して、蔵書状況を確認した。果たして、『ヤディスからの幻視』は形而上学部から、『ジーン・モーガンの幻視』は医学部から持ち出され所在不明になっていた。矢尋は両学部に発見の連絡を入れた後、改めて二冊の本の貸し出しを申し入れ、期限付きながら了承を得たのだという。
「そういう経緯で私の手元にある本なので、君に又貸しする訳にはいかないんだ。加えて『ヤディスからの幻視』は閲覧に制限が設けられていてね。読むには特別な許可がいる。全文コピーを許可できないのはそういう理由なんだ」
 日下部の姓を持つ矢尋の最大の武器は人脈である。閲覧制限のある本を電話一本で手元に置いておけるのは、その人脈の力に他ならない。そしてそれらの人脈を信頼で繋ぎとめておくために、矢尋は然るべき筋を通す。今回の場合、先に二つの学部に発見の報を入れてから改めて貸し出し許可を得る、という手順がそれだ。自分を信頼してくれる人を、矢尋は決して裏切らない。だから、彼は梃子でも二冊の本をあなたに見せはしないだろう。
「しかし、誤解を恐れずに全てを話してくれた出羽君には報いるつもりだ。もう少しで二冊の書物を読破できる。更に君の話してくれた体験は、大いに読解の助けになってくれそうだ。明日、もう一度私の所に来てくれ。その時に全てを話せると思う」

 別れ際、あなたは矢尋に2つの鍵を渡される。
「鍵の内の一本は赤室氏のマンションの扉の鍵で、もう一本は世羅―――陵さんの部屋の鍵だ。必要があれば、役立てて欲しい」
 驚愕したあなたの声を制して、矢尋は続ける。
「鍵を預けたのは、君を信頼に足る人物だと思うからだ。私では気付かなかった事柄も、目を変えて君が見れば気付く事があるかもしれない」
 鍵は託された。それを使うか使わないかは、あなた次第だ。

※「赤室翔彦のマンション」「陵世羅のマンション」に行けるようになりました。
(#ex.に情報開示はありません。#4へ進みます)