#ex. 帯刀 祐二





アクション1:
 夜に万座殿B12〜13地区に赴き世羅を捜します。懐中電灯は持っていきます。




リアクション1:
【万座殿・B13区画】

 白凰駅前で長内香織と落ち合って、夜の万座殿へと向かう。目指すはB13区画崩落現場。そこに陵世羅がいるという。
 世羅は本当にそこにいるのか?
 いるのならば何故生きているのか?
 そこで何をしているのか?
 何をしたいのか?
 質問は尽きない。今はただ、自分の目と耳で確認するだけだ。

 地下街に入った所で、見知った顔を見つける。背広姿の壮年男性と赤いセーラー服の少女の二人連れ。兄妹とも親子とも思えない微妙な年齢差のその二人は、英東児と苑原柚織だ。
(ロールに1回成功しています)

【出題】
 東児はあなたに気付いています。二人に対してどのようなアクションを取るか申請してください。



アクション2:
 取りあえず柚織と合流することにします。その上で英氏を問いつめます
「世羅は何処にいるのか? なんの目的で私たちを選んだのか?」
 と言うことで宜しく。




リアクション2:
【英東児と苑原柚織に声をかける】

 あなたと長内香織は東児と柚織の二人に声をかける。
 何処へ行くつもりかという問いには東児が答えた。
「この先、B13区画に陵杏里がいる。先日会った時、彼女はまるで姉の世羅であるかのように振舞っていた。その真意が何処にあるのか、それを確かめに行くつもりだ」
 東児の言葉を受けて、柚織はコックリと頷く。
「何がどうなっているのか分からないけど、確認したいんです。世羅さんが本当に生きているのかどうか」

【出題】
 東児と柚織の言葉を受けてのあなたの行動を申請してください。



アクション3:
 一緒に杏里(世羅?)に会いに行くことにします。取りあえず一時休戦というかそんな感じで。




リアクション3:
【B13区画崩落事故現場】

 英東児は信用できない。しかし、あなたは二人に同行することにした。それはあなたの願望、事実を知る事にも通じるであろうから。東児、柚織、香織にあなたを加えた4人で崩落事故現場を目指す。
 万座殿のきらびやかな店舗街を抜けて行くと、まるで忘れ去られたかのように薄暗い空間がそこにある。
 未だ店舗誘致されていない一角。その更に奥、非常口を示す緑色のランプの下に、暗闇へと続く地下道が口を開けている。黄と黒のストッパーによって立ち入り禁止を主張するその地下道の先には、一ヶ月前に4名の命を奪い、世羅を行方不明となさしめた、あの崩落事故現場がある。まるで行方不明となった送り主の名を呼ぶかのように、携えてきたお守りに付けられた水晶が数度明滅した。
 事故現場は非常灯の光によって赤く照らし出されていた。十分でない灯りのもとで見て取れるのは、崩れた天井部分の重みで無惨に砕け、落ち窪んだ、真新しい大理石タイルの敷かれた床だった。崩落した天井部分の瓦礫は救助作業の過程でほとんど取り払われおり、床には小石や砂が残されているに過ぎない。

 非常灯で赤薄暗く照らされたB13区画の奥にボゥっと仄白く浮かび上がる区画が見えてくる。まるで光力の弱いスポットライトで天井から照らされているようなその一角。そこには建設途中に放置された物か、はたまた崩落後に積み上げられた物か、資材や瓦礫が折り重なって積み上げられた小さな山が出来ていた。その天辺、あなたから見て少し見上げるような高さの位置に、人が座っていた。足を組んであなたたちを見下ろしているのは山吹色のカーディガンと茶色のフレアスカート姿の女だ。ソバージュのかかったロングの髪をかき上げて艶然と微笑んで見せたのは、いつもと雰囲気が違っているとはいえ、間違いなく陵杏里だった。
「ようこそ、光なき闇の世界へ。久しぶり、と言えばお気に召す?」
 そう言って杏里は笑った。
 右手の甲を口元に当ててクスクスと笑った―――!
「世羅さん―――なの?」
 少し震えた声音でそう言ったのは柚織だった。幸い飛び出して行って杏里―――世羅?―――に抱きつくという無邪気な行動には及ばなかった。瓦礫の上で笑う女に“何か”を感じているのかもしれない。それは杏里に対する違和感なのか? それとも世羅に対する違和感なのか?
「嬉しいわ、柚織ちゃん。数秘学では占断できなかったあなたに、私がプレゼントしたラッキーナンバーを覚えていてくれて」
 杏里の言葉を聴くと、柚織はビクッと大きく身体を震わせた。そしてその顔には驚愕、続いて歓喜が滲み出した。
「世羅さん! 本当に世羅さんだ!」
 駆け出しそうになる柚織は、香織が背にかばう形で止めた。しかし、今の一言で柚織は瓦礫の上の女を世羅であると断じた。女の言葉にそうさせるだけの真実が含まれていたのだ。同行していた香織の様子を伺うと、彼女の顔にも動揺が見て取れた。杏里の言葉に含まれた何かが、彼女に何らかの影響を与えたようだった。
(ロールに1回成功しています)

【出題】
 杏里に対して聞きたい事があれば質問出来ます。ただし、質問は一つに限ります。質問を吟味した方が良いでしょう。特に質問がなければ何も質問しなくても構いません。
 出題に関するアクションを返信してください。



アクション4:
 質問をします。
「世羅さんなら他にも親しい友人や恋人など他にいくらでも候補が居るでしょう? 何故僕を選んだんですか? 大して親しくもない、何の取り柄もないこの僕を選んだ理由があるのならそれを教えてください」




リアクション4:
【対峙】

 瓦礫の上の杏里はあなたの問いかけを聞くと少し俯き、眉をひそめた。その拍子に右側顔を髪が流れ、姉・世羅とそっくりの顔に影を作る。世羅が見せることのない憂いの顔。常に杏里に付き纏っていた憂いの顔。違和感。違和感があなたの心をグラグラと揺さぶる。
「ユウくん、“大して親しくもない”なんて、寂しいことは言わないで」
 蜜のように甘い刃物が、あなたの心をえぐる。
 ユウくん。
 ユウくん。
 ユウくん。
 かつて思慕を寄せた年上の女性が、あなたを呼ぶ時に使うその呪文。
 ユウくん。
 ユウくん。
 ユウくん。
「きっと探し出してくれると思ったから。きっとここまで辿り着いてくれると信じたから。だから水晶を贈ったの。そしてあなたはここに来てくれたわ」

 光が、逆流した。
 見上げる形のあなたからは、頭上からの光で杏里の顔は逆光に沈んでいた。しかし、突如として湧き上がった足元からの青白い幽光に照らされて、杏里の顔が浮かび上がる。瓦礫の山を中心として半径5メートルを埋め尽くした這いうねる半透明のコード―――いや、蔓状の触手。その表面に魚のヒレ状に生える極薄の水晶板が放つ仄白い光が足元からあなたたちを、そしてあなたたちを見下ろす女の顔を照らし出す。
 触手の放つ光は、瓦礫の上に座る女、「陵世羅」を凄艶と浮かび上がらせた。
「おいで、ユウくん。こっちにおいで。苦しむユウくんを見たくないの。それがあなたを選んだ理由だよ」
 瓦礫の上からふわりと飛び降りて、世羅はあなたに向かって右手を伸ばし、触手で手招きした。

【出題】
 世羅の誘惑に対するあなたの反応を決めて申請してください。
 「走って逃げ出す」「世羅の誘いを受ける」等、明確な行動指針を具体的に申請願います。
(尚、この【出題】に関する質問は受け付けません。上記に記した状況が、混乱したあなたの頭で理解できた事の全てです。世羅と問答する事も禁止とします)



アクション5:
 誘いをうけます。・・・終わったかな?w




リアクション5:
【許容】

 足裏にうねる触手の感触を感じながら世羅に歩み寄り、触手に生えた水晶のヒレが放つ幽光に照らされた世羅の手を握る。世羅の手。まだ無邪気だった頃に握った覚えのあるその感触。
 許容。それがあなたの選択。
「良い子ね。大切にしてあげる」
 世羅があなたの身体に腕を回す。抱擁。明滅する半透明の蔓が、彼女の腕に続いてあなたの身体に絡みつく。甘く、優しく、そっと。
 あなたは悟る。
 この蔓が、世羅の身体の一部なのだという事を。

※陵世羅、英東児と同盟関係になりました(香織・志郎・清虎との同盟を破棄)。
 陵世羅は光無き惑星ムトゥーラに住む神性“結晶化した知性”クィス=アズの尖兵であり、今回の「招待状」にまつわる一連の事件の黒幕です。予告編「願」にあった状況の下、水晶を通して世羅の意識がクィス=アズと繋がり、クィス=アズは彼女の命を永らえさせました。世羅はクィス=アズのエージェントとして生まれ変わり、今は亡き妹の杏里になりすまして主人に魂を捧げるために暗躍しています。

※魔術<クィス=アズの芽を発芽させる>を入手しました。
 この呪文は世羅から贈られた「幸運のお守り」を持つ者の隠し能力値【水晶の寄生度】を進行させる効果を持っています。お守りについた水晶は「クィス=アズの芽」であり、この「芽」に深く寄生された者の肉体は結晶化し、精神(魂)はクィス=アズへと吸収されてしまいます。
 あなたは<クィス=アズの芽を発芽させる>呪文を1話に1回だけ、任意のキャラクター(PC、NPCを問いません)に対して使うことが出来ます。指定したキャラクターの水晶の寄生度を1ポイント進行させるのです。各話の冒頭で「誰に対して呪文を使うか」を決定して、キーパーに申請してもらいます。
 ただし、陵世羅(杏里)、および彼女と同盟状態にあるキャラクターに対して呪文を行使する事は出来ません。



【旧支配者“結晶化した知性”クィス=アズと陵世羅の関係について】

 旧支配者クィス=アズ(Q'yth-az)はヤディス星に程近い常闇の惑星ムトゥーラを住処としています。巨大な水晶塊のような外見をしており、植物の蔓のような触手を備えています。
 通常はムトゥーラ星の地表から動くことの出来ない存在ですが、鉱物を通してその所有者に接触を持つことが出来ます。今回はこの方法で陵世羅に接触し、彼女の生命を救う代わりに自らの下僕となる契約を交わしました。

 生命を永らえた世羅は主(クィス=アズ神)より与えられた「芽」(幸運のお守りについた水晶)を使って魂を集め、それを主に捧げるために活動しています。一定量の魂を捧げると、時空を超えてクィス=アズ神を招来することが可能です。世羅の最終目標はクィス=アズの招来です。世羅との同盟は、クィス=アズ招来に加担する事と同義になります。
 クィス=アズは天空にムトゥーラが輝く時間帯しか地球に留まることが出来ません。それがいつかは分かりませんが、世羅は良く晴れた深夜にクィス=アズの招来を試みることでしょう。厚い雲はムトゥーラの輝きを妨げます。主の招来を成就させるために、邪魔になりそうな要素は徹底的に排除するのが世羅のやり方です。

 陵世羅をリーダーとした同盟のメンバーの目的は、クィス=アズの招来を成功させることです。現在の世羅同盟のメンバーは陵世羅、英東児、あなたの3名です。
 クィス=アズの招来には5名の人間の魂が必要です。つまり、PC、NPC合わせて5名を結晶化させなくてはなりません。現在、赤室翔彦、月辺鈴姫が結晶化したので、残るは3名です。
 人間を結晶化させるにはクィス=アズの芽の寄生度を上げることが必要になります。寄生度を上げるには以下の方法があります。

@幸運のお守りを使わせる:ロールの失敗を成功に変えるために幸運のお守りを使う度に芽の寄生度は進行します。
AB13区画崩落事故現場へ行く:事故現場はクィス=アズと世羅が初めて接触を持った場所であり、クィス=アズの力が流れ込んでいる場所である事から、寄生度を進行させる効果があります。
B<クィス=アズの芽を発芽させる>を使う:既に入手しているこの呪文を使うことで、寄生度を進行させることが出来ます。

 世羅と同盟関係にあるPC、NPCは以上の条件の影響を受けません(つまり、結晶化する事はありません)。
 出来るだけ他のPCの水晶の寄生度が進行するように暗躍してください。もしも結晶化したキャラクターが5名に満たない場合、クィス=アズ招来は失敗します。それは世羅とあなたの破滅を意味します。
(#ex.に情報開示はありません。#4へ進みます)