 『Chill』について『Chill』とは未知なる存在「アンノウン」の恐怖と、それに対抗するエージェント「エンヴォイ」たちの戦いを扱ったホラー・ロールプレイング・ゲームです。1984年に第1版をペースセッター社が、1990年に第2版をメイフェア・ゲーム社が出版しました。  『Chill』の世界は「アンノウン（Unknown）」と呼ばれる未知なるものに脅かされています。科学では説明のつかない不可思議現象の背後には、アンノウンからやって来たクリーチャーたちが暗躍しているのです。墓場に出没する人魂から世界的陰謀に至るまで、アンノウンのクリーチャーたちが関わっている可能性があります。アンノウンは着実に世界を侵蝕し、恐怖を撒き散らさんと侵攻してきています。しかし、人類はアンノウンの暗躍に気付いておらず、それどころかほとんどの人々がアンノウンの存在自体すら知らないのです。人類はこのままアンノウンのなすがままに蹂躙されるしかないのでしょうか？ いいえ。極わずかに、非公式ながら、アンノウンに対して敢然と立ち向かっている人々、組織があります。それがSAVE（Societas Argenti Viae Eternitata、銀道の永遠協会）と、それに所属する「エンヴォイ（Envoy）」たちです。SAVEのエンヴォイたちはアンノウンの脅威から世界を守るために、日夜情報を集め、クリーチャーと戦っています。プレイヤーたちはこのエンヴォイとなって、世界を守るためにアンノウンに立ち向かうのです。 1844年に設立されたSAVEは1989年にアンノウンの世界同時攻勢を受けて壊滅してしまいました。しかし雌伏の時を経て、2004年にSAVEは再生を果たします。再生したSAVEは活動を再開し、インダロをつけたエンヴォイたちがアンノウンに対抗する情報を集めるために世界中を奔走しています。 ゲーム・システムはいわゆる％ロールで成否を判定するものです。10〜90の値で表される8個の基本能力値と、それらを基に算出する基本技能値に3段階の技能習熟度ボーナスを足した目標値に対して1D100をロールして、基本能力値／目標値以下が出ればアクションは成功します。 判定方法は2種類あります。1つ目が「一般判定」で、単純に目標値以下をロールすれば成功するというもの。2つ目が「段階判定」で、目標値に対してロールの出目がどれだけ下回ったかによって4段階の成功度（Low、Medium、High、Colossal）に分かれるというものです。成功度が高いほど（ダイスの出目が小さいほど）、情報収集においては重要度の高い秘密情報が手に入り、戦闘においては大きなダメージを敵に与えることができます。 また、プレイヤー・キャラクターは「アート（the Art）」と呼ばれる超能力を使えます。ファンタジーRPGの魔法のように派手なものではありませんが、アンノウンとの戦いでは頼りになる力です。対してアンノウンのクリーチャーたちは邪悪な超能力「イビルウェイ（Evil Way）」を使ってエンヴォイを苦しめます。 そしてもちろん、ホラーRPGには付き物（？）の「恐怖判定」があります。アンノウンのクリーチャーを目にしたエンヴォイは現在意志力による段階判定＝恐怖判定をして、意志力にダメージを受けるか、その場から逃走するかを選ばなくてはなりません。足を止めてやりあうか、この場は撤退するかを決めるのはプレイヤーです。この恐怖判定はかなりシビアであり、セッション中にキャラクターたちが積み重ねてきた努力を一突きで崩壊させる危うさがあります。この危うさこそ、『Chill』の大きな特徴とも言えます。事件の黒幕がその真の姿を現した時、それまでの努力も空しく、エンヴォイたちは恐怖にかられて全速力で逃げ出してしまうかもしれないのですから！！ 古いシステムであり、かなり大味な部分、洗練されていない箇所が目に付くゲームです。能力値や技能が不必要に細分化されているのは時代を感じさせます。 終末同盟では以下のルールにてゲームを運用しています。
OtherWorld Creations社が『Chill: Into the Unknown』（『Chill』第3版）の出版準備としてクイック・スタート・ルールをWebで配信していましたが、現在は見ることができないようです。出版のためのファンドを募ったという話を聞いた気がするのですが、立ち消えになってしまったのでしょうか？（2010年10月現在） 参考資料 RPGマガジン（No.17）掲載：チル・リプレイ「陽光の虜囚」 その他、『Chill』を扱う多数のサイト様 素材提供サイト ＡＺＩＴさま（クモのボタン各種） FLOP DESIGNさま（クモのシルエット各種） SILHOUETTE DESIGNさま（各種シルエット素材）  |