牙と噴水

リチャード・ワッツ 作




『Perils of The Young Kingdoms』
より


Perils of The Young Kingdoms

2008年1月26日
プレイ

参加キャラクター
 ティスマン
 ピオカーナ
 ガーリック
 ハンスヘルト
 シャゼ
 グリン
 前回(「クリスタル・オブ・ダーダダース」)の冒険で予備の武器の重要性を痛感した「亡者の船の傭兵隊(PCたち)」(特にガーリック)は、それを運んでくれるポーター(荷物運搬人)を雇う事にします。ティスマンがグリンという名の男を見つけてきて、1,000LBで彼と労働契約を結びます。きっとグリンは借金で首が回らなくなっていたのでしょう。武蔵坊弁慶よろしく数多くの武器を背負って、一行に付き従う事になりました。

 また、前回の「毎回ラスト・バトル」とでも言えそうなシビアな戦闘に継ぐ戦闘に教訓を得た一行は、ピオカーナに頼んでデーモン・アーマーを揃えてもらう事にしました。ただしピオカーナの呼び出すファシールという種族のデーモンは力が弱い(混沌値が低い)ため、強力なデーモン・アーマーにはなりません。それでも「通常鎧ではなく、デーモン・アーマーである事が大事」なので(デーモン・アーマーは通常武器の攻撃を強力に防ぐのです)、ハンスヘルトを除くメンバーがデーモン・アーマーを装備します。ハンスヘルトはSIZが16と高く、ファシール種の混沌値では彼に見合う大きさ(SIZ)が出せないため、とりあえず今回も通常のプレート・アーマーで冒険に挑みます。後々これが大きな意味を持ってくるとは、まだ誰も知る由がありませんでした。

牙と噴水

The Fang - 牙  ある晩、水の精霊王ストラーシャの平信者である ガーリックは、ターケシュの北方の漁村ヴォーンスコールドと、海原にそそり立つ牙のような玄武岩の岩島の景色の夢の啓示を受ける。ガーリックの受けた啓示に興味を持った一行はルテル船長に協力を依頼し、バクシャーンの街を出港してヴォーンスコールド村へと向かう。

 一行がヴォーンスコールドに到着するのと同時に、浜辺に集まっていた子供たちの列にサメ(シャーク)とアザラシ(シール)の混成生物「シェール」が突っ込み、一人の少年をその牙にかける。ヴォーンスコールドの男たちは略奪の航海に出て村を留守にしており、今、村でシェールに対抗できるのは到着したばかりのPCたちのみ。剣や斧を抜き放って、一行はシェールに打ちかかる。
 シェールのオープニング・ヒットが
シャゼに大ダメージを与えるも、新導入のデーモン・アーマーのおかげで九死に一生を得る。ハンスヘルトのクリティカル・ヒットでシェールに止めを刺し、一行はまた命がけの戦いを犠牲者なく切り抜ける。村も、一人の少年が犠牲になったものの、被害は最小限で済んだ。

 村を救った英雄として一行は歓待を受ける。歓待の宴の中、村に住むストラーシャの女司祭モグ・ヴォーン・カサンから新たなお告げを伝えられる。

「血と狂気を伴って覚醒する第二の影が見えます。大地の黒い牙が見えます。水に囲まれており、海に不浄のシミを落としています。再会が見えますが、それは全て悲しみと打ち砕かれた希望に満ちています。最後に、生命と再生にきらめく銀色の輝くシャワーが見えます。我が神ストラーシャはあなたたちと共にあります。」

 一行はヴォーンスコールドから北へ船で三日ほど行った場所にある牙島を元凶と定め、そこへ向かう事に決める。
 翌日、シェールの襲撃によって息子を失った漁師マックの復讐の旅に同行する形で牙島へ出発する一行。途中でシェールに襲われた村を訪れたり、何物かに噛み砕かれた船を発見し、牙島に近付くにつれて不吉さが増す。

 やがて牙島に接近した一行は、ヴォーンスコールドを襲ったシェールの二倍はあろうかという巨大シェールに出迎えられ、海上で不安定な戦闘を強いられる事となる。サラマンダーの炎や巨大シェールの攻撃失敗などに助けられ、どうにかこれを撃退、ついに牙島に上陸を果たす。
 溺死ゾンビ(悲しくも怖ろしい事に、それらは略奪の航海に出ていたヴォーンスコールドの男たちだった)の出迎えを一蹴した一行は、牙島が古代メルニボネ時代の塔である事を知る。塔の中は海生生物を不気味に混成させた怪物の実験場と化しており、しかも何者かが住んでいる気配がある。実験生物の中には半年前に波にさらわれたマックの長男オドの顔を持つ巨大ウナギがおり、それを見たマックは哀れにも狂気に陥る。シェールもこの混沌の技術で作り出された怪物に違いない。

The Fountain - 噴水 牙島(塔)の最下層で実験中だった魔術師、パン・タンのケラグ・ティールと対峙し、彼と彼の混沌の眷属を相手にいよいよラスト・バトルが始まる。デーモン・トライデントとデーモン・アーマーで身を固めた強力なケラグ・ティールに、持てる力の全てを使って対抗する一行。
ガーリックは戦闘開始直後に部屋の片隅にある無数のシリンダーの中から響く助けを求める声に気づいていたが、とりあえず判断を保留して、グレート・ソードを振るう(あまり当たらなかったが)。(デーモン・アーマーを着ていなかったため)度重なる戦闘でダメージの蓄積していたハンスヘルトが危機に陥るも、機転を利かせたガーリックの指示でシャゼがシリンダーを破壊、中に囚われていた水の精霊の解放に成功する。怒りに燃えるケラグ・ティールの猛攻が始まったが、我が子が捕らわれていた事を知った怒りのストラーシャが介入、海底からの水の奔流が牙島を下から貫き、ケラグ・ティールの眷属を浄化し、彼自身を波にさらう。
 水位の増す牙島(塔)内部を上階へと駆け上がり、溺死する前にどうにか外へ達した一行。水圧に耐えかねて牙島は崩壊し、そこには真水を噴き上げる天然の噴水が出来上がった。

 ヴォーンスコールドに帰るとモグ・ヴォーン・カサン司祭に礼を言われ、PCたちの活躍は村の詩人によって歌い継がれていく事となる。気の狂ったマックは、死ぬまで村で面倒を見る事になったそうだ。彼も村を救った英雄の一人なのだから。

 今後数年の内にこの場所は周辺海域を記した全ての地図に描かれるようになる。新鮮な飲料水の涸れる事なき間欠泉「ストラーシャの噴水」は飲料水を補充する定番のポイントとなり、牙島と呼ばれた岩は忘れられていく。

 報酬としてストラーシャの執行人(エイラーン25ポイント獲得)になったガーリックが今回の冒険のMVPでしょう。
 序盤(シェール)・中盤(巨大シェール)の戦闘でパーティ壊滅(一撃でキャラクター即死)の恐れのあるモンスターを惜しげもなく出すバランスは、さすがストームブリンガーです。

 ターケシュの北に行った際は、是非「ストラーシャの噴水」へ立ち寄ってみてください。



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