魔術王の島

ケヴィン・フリーマン 作




『ストームブリンガー・
コンパニオン2
デーモンマジック』
より


デーモンマジック

2008年8月9日
プレイ

参加キャラクター
 ティスマン
 スタイン
 フィオリア・ミロード
 ジンジャー
 ユーグノー
 アナスタシア
 グリン
 カドサンドリアに逗留中の亡者の船の傭兵団に仕事が持ち込まれます。「資本家連合」と名乗る仮面の紳士・淑女たちが傭兵団の名声を聞きつけて、腕の良い冒険者として雇いたいと申し出てきたのです。その仕事の内容とは、こうでした。

 1000年前、故国イムルイルと敵対していたニィサドニィメップという裏切りのメルニボネ人がいました。ニィサドニィメップはイムルイルの南に位置する自らの要塞ニィサドニィメッパール島を拠点として、鯨型の大型デーモン「ラヴシン」を操ってイムルイルの船を襲い、その財宝を略奪していたのでした。しかし強力な魔術師であったニィサドニィメップもストラーシャの協力を得たメルニボネの魔術皇帝に敗れ、ラヴシンともども破滅させられたのでした。ニィサドニィメッパール島の要塞はストラーシャの波とイムルイルの戦士たちに蹂躙され、無人の廃墟となったはずでした。
 しかしここ1ヶ月ほど、ニィサドニィメッパール島周辺を航行する商船が謎の失踪を遂げるという事件が多発しています。そしてついに、アーキン神の介入によって辛くも生き延びた法の司祭の証言によって、それが巨大な魚類による襲撃が原因である事が明らかになりました。
 多大な被害を被っていた大商人たちは、それが復活したニィサドニィメップとラヴシンによって引き起こされているのではないかと推測し、その調査を冒険者に依頼してきたというわけです。前金(20LG)と持ち帰った財宝の1/4に加え、南大陸での過去の犯罪の特赦(スタイン大喜び)が与えられるという条件で、一行は仕事を引き受けます(フィオリアが報酬を吊り上げようとしましたが、一笑に付されました)。

 資本家連合から船および偵察用のデーモン2体を借り受けて、PC5人+アナスタシアという史上最強のパーティがニィサドニィメッパール島に挑みます。

魔術王の島

 資本家連合から提供された中型快速船でニィサドニィメッパール島へ向かった一行は艦載の小型ボートを乗り継いで岩礁を抜け、島へと迫っていた。しかし突如背後で水柱が上がり、一行の乗るボートに向かって何物かが迫ってきた! それはSIZが60もある超巨大ザメ・メガロドンだった。海の王者を相手に海上で戦う事を不利と悟った一行は、『牙と噴水』事件で手に入れていた水の精霊を1D10体呼び出すコヤス貝を使って(ウンディーネは8体現れた)、ボートを浜へと運ばせる。辛くも襲撃を逃れた一行は、メガロドンが襲撃してきたと思しき船の残骸を浜に吐き出すのを見て、事件が現実である事を悟る。しかし、メガロドンと鯨型のデーモン(ラヴシン)の微妙な差異に、釈然としないものを覚える。

 南部海岸から上陸した一行は島を覆うジャングルの奥へと続く小道を見つけ、それをたどって海上から見えた火山の方面へと向かう。
 道をたどっていくとコウモリ型のデーモンが引き返すようにとの警告を発し、一行がその警告を聞き入れないと見るや、相棒の透明デーモンと一緒に一行に襲い掛かる。デーモンを難なく排除した一行はさらに道を進み、最近作られたばかりと思しき簡易集落に行き着く。そこにはダリジョール海軍の軍服を着た女兵士たちが10名いて、見張りのデーモンたちを倒した一行を待ち構えていた。飛び道具の洗礼を受けながらも高い防御力(デーモン・アーマー)にものを言わせて、一行は女兵士たちに接近戦を挑む。
 良く訓練され、しかも統率の取れた女兵士たちは強敵だったが、一軍復帰早々の
スタインのクリティカル・ヒットによって敵司令官の艦長が重傷を負い、3ラウンド後には気絶してしまう。勝負はここで決し、女兵士たちは次々に降伏した(2名は死ぬまで戦った)。

 女兵士たちを武装解除して縛り上げた一行は、簡易集落のさらに奥にある溶岩をくり貫いて作られた迷宮要塞へと挑む。性質の悪いメルニボネ人のジョーク(というよりも理解しがたいシナリオ・デザイナーの意地悪さ)に悩まされつつ一行は奥へと進んで行き、法の司祭の亡霊や強力な防御デーモンの襲撃を切り抜けて、資本家連合が奪われた財宝を奪還したのだった。
 一行は最後に訪れた魔術師の研究室で“暗黒の地獄(ダーク・ヘル)”生まれのムカデ型デーモン、オグーンに出会う。ニィサドニィメップに呼び出され、彼が死んでからも研究室に取り残されたオグーンは、一行に外の世界へと連れて行って欲しいと依頼する。彼(?)は子供を産まなければならず、しかもその刻限は間近に迫っているとの事だった。一行はオグーンの頼みを聞き入れ、彼(?)と一緒に島からの脱出を図る。

 島から脱出するためにメガロドンとの対決を決意した一行の前に、5人の男女が現れる。彼らのリーダーは成功した商人として世界的に知られているリズアンシプトラという女魔術師であり、しかもPC一行に仕事を依頼した資本家連合の一員でもあった。
 ニィサドニィメップ復活はリズアンシプトラの仕組んだ狂言であり、したたかな彼女は連合の同僚の船を自分の操るメガロドン(彼女がプッ!プッ!プーフープ(魚の王)から借り受けていた)に襲わせて財宝を横取りし、それをダリジョール海軍の脱走兵である女兵士たちに守らせていたのだった。
 ニィサドニィメッパール島周辺でのメガロドンによる襲撃を潮時と考えたリズアンシプトラは、冒険者に取引を持ちかける。それはニィサドニィメッパール島の脅威を一行が排除した事にして報酬を上乗せする代わりに、島で見た物については他言しないというものだった。強力なリズアンシプトラ一行と事を構えるのは得策ではない上に、“<新王国>のゲイツ”と呼ばれる彼女とのコネクションができるのは得難い報酬だと考えたPC一行は、ダリジョール海軍の女兵士たちの処遇を彼女に一任し、全ての事件を手打ちとするのであった。

 カドサンドリアに帰った一行は(リズアンシプトラの口利きで)前回の「イエロー・ヘル」へのゲートを開いてくれた司祭に頼んで「ダーク・ヘル」へのゲートを開いてもらい、オグーンを故郷の世界へと帰す。感謝の印にオグーンは自分の子供の内の一体を一行に貸し与えたのだった(
フィオリアが受け取った)。
 また一行は資本家連合から借り受けていた偵察デーモン、ハイブジーの
ミザムを報酬として譲り受ける。フェアリーのような姿をした彼女は戦闘には役に立つまいが、それ以外の面で一行をサポートしてくれる事だろう。

 今回のMVPはスタインでしょう。ダリジョール海軍の女兵士たちとの戦いは彼のクリティカル・ヒットのおかげで死者が出なかったと言えるかもしれません。高い技能レベルが揃った彼女たちとの戦闘が長引けば、必ずやPCも大きな被害を被っていた事でしょう。
 島に上陸してからは、偶然にも、脇道に逸れる事なく女兵士たちの簡易集落に行き着いたので、無駄な被害を受けずに済みました。おかげでラヴシンの巨大な白骨死体の登場機会がありませんでしたが。

 なお、外伝は「盗賊王の砦」でした。シャゼ、ハンスヘルト、ユーコニアスの3人も、強敵を向こうに回した冒険をしていたようです。

 ……しかし、「ストームブリンガー」自体が大味なシステムであるとはいえ、シナリオ・デザイナーのケヴィン・フリーマン氏はあまりにもバランスを取らなすぎだと思います。



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