オクタゴン・オブ・カオス

トニー・フィオリート 作




『The Octagon of Chaos』

The Octagon of Chaos

2008年9月13日
プレイ

参加キャラクター
 フィオリア・ミロード
 ジンジャー
 ユーグノー
 シャゼ
 アナスタシア
 ユーコニアス
 資料の少ないChaosium社製『ストームブリンガー』にサード・パーティ製のシナリオがある事自体かなり驚きです。「エルリック・サーガ」は熱烈なファンがいるのでそういう人たちが「じゃあ、いっちょやってやるか!」みたいな感じで使ったと思われる(勝手な推測)シナリオ・ブックが今回の物語です。

オクタゴン・オブ・カオス

 マベロードの巨像。それはピカレイドの南、ドレルの辺境に立っている。
 デーモンとの混血児といわれたメルニボネの魔術皇帝“緑の女帝”ターハリが、彼女を侮辱したマベロードの高司祭フオル・ツァンを見せしめのために殺し、彼の無念首をその像の中に収めたのである。像にはフオル・ツァンの作ったアーティファクト「マベロードの王冠」が封印され、人の通わぬ荒野で既に滅んだ敵・ダルジ族に睨みをきかせている。
 像の周りには別のメルニボネ皇帝イトリック16世によって塔状の構造物が8つ、8角形(混沌の紋章)を描くように建造・配置され、そこは「王冠の城」あるいは「混沌の8角形(オクタゴン・オブ・カオス)」と呼ばれるようになった。

 ひょんな事からPCは「混沌の8角形」への路を記した地図を手に入れ、メルニボネの要塞に眠る財宝を手に入れるべくドレルへと向かう。「マベロードの王冠」を探すメルニボネ人(!)ローラン・クザールとそのデーモン護衛戦士ロック、ドレルの荒野の案内人ハインを道連れにし、一行はキャラバンを組んで荒野を突き進む。
 一方その頃、同じく地図を手に入れたパン・タンの軍勢が、2人の<混沌>の司祭に率いられて「混沌の8角形」へと向かっていた……。

 「混沌の8角形」の南方に位置する「カカタルの火山」から噴出した溶岩で塔は半ば埋もれていたが、先頃引き上げたばかりのメルニボネの守備隊が残していったはずの財宝を求めて、一行は塔の探索を開始する。迫るパン・タンの部隊の影に怯えながら。

 最初の塔に入ったハインを除く8名(
フィオリアジンジャーユーグノーシャゼアナスタシアユーコニアス、クザール、ロック)を待ち受けていたのは、塔を巣にしていた混クラカー沌の生物クラカーの群れだった。『新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生』のラストシーンよろしく塔の天井付近を旋回した9体のクラカーは、一斉に急降下して一行に襲い掛かった。
 数で劣る一行は、フィオリアが前回オグーンからもらったセンティパス(デーモン・ファイター)グゥモを出して数を五分に持ち込んだが、クラカーのオープニング・ヒットが
ユーコニアスにクリティカル! 亡者の船の船倉に不活性化した姉を残したまま、哀れユーコニアスは故郷から遠く離れた辺境の荒野で命を散らす。
 攻撃力はさほど高くはないものの、上空からの多段攻撃を繰り返すクラカーに大苦戦し、結局ユーグノーが右目を失い、さらにロックの犠牲を出した後、一行はこれを撃退したのであった。

 “メルニボネの要塞に眠る財宝のガーディアンは一筋縄ではいかない”。そう判断した一行はより慎重に他の塔の探索を進め、明らかにガーディアンが潜むと思われる場所は、例え財宝が目に見えていようとも深入りしなくなる。いや、どうなんだ、冒険者として。
マベロードの巨像 それでもうっかり踏み込んだアイス・デーモンのねぐらで
シャゼが右脚に重傷を負う。たった2体のアイス・デーモンですらパーティ半壊の憂き目を見させるオクタゴン、恐るべし。

 溶岩に完全に埋没した塔の探索は放棄し、パン・タン軍との衝突を避けたい一行はいよいよオクタゴンの中心に立つマベロード像へと挑む。
 苦心して巨像の頭頂部に入り口を見つけた一行は内部へ。縦穴を下りていったそこはマベロードに捧げられた寺院になっていた。メルニボネ人の、しかもマベロードの司祭しか立ち入れない聖域にはローラン・クザールだけが踏み込む。無造作に散らばったルビーや数枚の金輪貨(!)に囲まれた祭壇には「マベロードの王冠」を戴いたフオル・ツァンのミイラ化した生首と、謎の鞘が安置されていた。クザールは壁に書かれていた連祷文や由来文を読み上げると、PCに適当なルビーを1つずつ投げて寄こし、王冠と謎の鞘(※黒き剣の鞘!!)と数枚の金輪貨を持って聖域内のテレポート・ゲートの中へ姿を消した。
 ここに「混沌の8角形」の探索は終了する。

 しかし物語は終わっていなかった。帰途において一行は恐れていた敵、パン・タンの先遣隊と遭遇する。2人の司祭と5人のパン・タン人戦士に詭弁を弄するのは無駄だと悟った一行は、時をおかずに武器を抜き、最後の戦いの火蓋を切って落とす。
 戦いは熾烈を極め、センティパスのグゥモは倒され、<法>の執行人
アナスタシアでさえも重傷を負って意識を失う。
 その中でも
フィオリアは八面六臂の戦いぶりだった。戦士隊の隊長をグゥモと共同で倒し、敵の増援で現れた2体のデーモン・ファイターの1体を無力化した後、先遣隊の真の隊長であるマベロードの女司祭ジャールヴァシと一騎打ちすら演じて見せたのだ。
 しかし、強敵との連戦のツケは大きく、ついに
フィオリアはジャールヴァシのクリティカル・ヒットの前に倒れたのであった。
 サラマンダーの炎に焼かれてチャードロスの司祭クレオメデスとジャールヴァシが倒れたのは、そのすぐ後である。

 キャラバンを組んだ町で案内人のハインと別れ、一行はカドサンドリアへと帰る。
 6人中2人が死亡、3人が重傷を負うという稀に見る激闘は、生き残った者たちの胸に深く刻まれた事だろう。

 
フィオリア、そしてユーコニアス。2人の翼の羽ばたきが楽園まで届かん事を。

 ……ド派手な結果となりました。
 今回はゲームマスターのダイス目がかなり良く(特に前半)、キャラクターには苦戦を強いる事になりました。以前明かした通り、私は完全オープンダイスなので、ユーグノーに3連続クリティカルが飛んでもプレイヤーからの文句は受け付けませんし(ユーグノーが文句を言ったわけではありませんが)、ダイス目の調整もしません。過酷なゲームなのです、『ストームブリンガー』は。
 パン・タンの先遣隊とのラスト・バトルは全滅もありうると思いながらダイスを振っていました。命中ダイスが走った割にはダメージ・ダイスが振るわなかったので(1d8+1+5d6=14とか……)、死者は2人で収まりました(フィオリアに合掌(-人-))。……船倉の片隅に残されたユーコニアスの姉リューカは、一体どうなるんでしょうか?
 「直径と高さが違う同心円状の3つの塔を組み合わせた構造物」という複雑なストラクチャを、一度の説明(と図)で速やかに理解してくれたプレイヤー諸氏のおかげで、探索はスムーズに行われました。

 外伝は「王の紋章」。ヒロイックな香りのするタイトルです。本編はカオティック臭プンプンでした。

 フィオリアが死んだのでフィオリア派は自然解体され、パーティ内の派閥争いは終結しました。



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