悪魔の島の囚われ人

マーク・モリソン & リチャード・ワッツ 作




『Sorcerers of
Pan Tang』
より


Soerceres of Pan Tang

2009年5月23日
プレイ

参加キャラクター
ティスマン
ユーグノー
ジャグ・ルーク
ターメリック
ヴァリル・ファイシャーン
 ある晩、ティスマンの夢の中に女神エクオル(=「不浄の要塞」のブルー・レディ)が現れます。想定外に手駒(※ジンジャー)を失ったエクオル神は次の手駒としてティスマンを選び、彼にこう告げたのです。「悪魔の島へ行って、わらわが下僕をわらわの下へ来られるように、手助けをせよ」と。ティスマンは女神の要請(命令)を承諾し、その証として青い剣「ファング・オブ・エクオル」を手に入れます。

 また、ジンジャーの死を知って、彼の故郷・紫の街の島から従兄弟のターメリックがカドサンドリアへやって来ます。ガーリック、ジンジャーの後を受けて、ターメリックが亡者の船の傭兵団に合流です。シー・アックスの達人であるターメリックの参加により、クランデール卿とジンジャーの抜けた穴は幾分埋められることでしょう。

 ルテル・クヮグリン船長の魂の在り処を探す旅も佳境を迎えています。
 船長の魂を閉じ込めた宝珠が、どうやらパン・タンの次期神政官候補の一人、ストヌルンの手に渡ったようです。パン・タン島に潜入して是が非でも宝珠を奪取せねばならない傭兵団ですが、悪魔の島の厳重な警戒態勢は一筋縄では突破できません。そこで、パン・タンに怪しまれずに潜入できるシャゼ(混沌の司祭)とスタイン(同盟国ピカレイド出身)が第一陣として島に上陸、第二陣としてパン・タンの奴隷狩りに紛れて数名が上陸して第一陣と合流、第三陣として上陸する残りのメンバーの手引きをする、という作戦が立案されます。パン・タンの奴隷狩りに紛れる事はリスクを伴いますが、現状ではこれしか手立てがありません。

 ティスマン、ユーグノー、ターメリックの三人は不運な船客を装って、黒いガレー船の襲撃を待つことになりました。

悪魔の島の囚われ人

 ヴィルミールの港町ヴィルミロから出港した「銀の幸運」号に乗船した
ティスマンユーグノーターメリックは思惑通りガレー船の襲撃を生き延び、奴隷としてパン・タンの首都“叫ぶ像の都”フワムガールに入ることに成功した。三人は揃って闘技場送りにされ、見世物としてコロシアムでの戦いを生き抜く羽目になる。
 一方、神政官の近衛兵として大手を振っていた
ジャグ・ルークは、ひょんな事から神政官の怒りを買い(得意の<ジャグル>を失敗して、神政官の頭にコブを作ったらしい……)、闘技場送りにされてしまう。名誉を剥奪され、見世物として死ぬ運命を背負わされたジャグ・ルークは、それでも生きて闘技場を出ることを諦めていなかった。

 奇縁によりめぐり合ったティスマンユーグノーターメリックジャグ・ルークの四人は揃って初陣としてデビル・ライダー(六本足のトカゲに乗った騎兵)と戦い、
ジャグ・ルークが瀕死の重傷を負うものの(デビル・ライダーによるランス・チャージのクリティカル)、どうにか初日を生き延びる。そして二日目の混沌の蛸“ピアレーの息子”との戦いを生き延びた四人は、“ピアレーの息子”の勝利に賭けていた神政官の怒りを買い、生贄として処刑される事になってしまう。
 しかし、生贄として護送されていく四人に救世主が現れる。それはコロシアムでも再三、四人を救うべく援助をしてくれた、スキンヘッドに刺青を施された謎のパン・タン人女性だった。左目にデーモンを飼うこの女性は
ヴァリル・ファイシャーンと名乗り、自前のデーモン・ファイターを駆使して護送兵たちを襲撃、混乱の隙を突いて四人を馬車で連れ去ったのだった。

 
ヴァリルには何らかの目的があるらしく、ほとぼりが冷めるまで四人を奴隷として匿った後、何らかの“恩返し”をさせるらしい。パン・タンには他に隠れ家のない四人はヴァリルの家の使用人として数週間を過ごす。
 奴隷としての使いの途中で、先に潜入していた
シャゼと接触したティスマンは、ヴァリルが目論んでいる“何事か”の混乱の隙に第一陣と合流して、第三陣の潜入を手助けする手はずを取る事で合意する。今はただ、息を潜めて追っ手から身を隠すだけだ。

 数週間後、ついに
ヴァリルから求められる“恩返し”の内容が明かされる。ヴァリルはパン・タンでは異端のエクオルを信仰する女司祭であり、崇拝する女神の本拠となる“不浄の要塞”へ馳せ参じなければならない。そのためには彼女の夫を殺し(現在、麻薬にてゆるやかに毒殺中)、その兄弟たちを全員亡き者にして、彼女の息子や娘たちに財産を相続させるようにしたいとの事。そこでPCたちに夫の弟であるグリーグル・ファイシャーンの暗殺を命じる。グリーグルをPCが暗殺し、そのPCを追ってヴァリルも死んだ事にすれば、安心して彼女はエクオルの下へ行けるというわけだ。そして、ティスマンはこのヴァリルを手助けするための駒として、エクオルに送り込まれたのだ。
 受けた恩への返礼と、奴隷の立場からの解放(逃亡)という目標のため、
ジャグ・ルークを巻き込んで、傭兵団たちのグリーグル暗殺作戦が始まる。

 ファイシャーン家主催による宴にグリーグルを招待し、その場でグリーグルを暗殺。居合わせた他の招待客を「奴隷がグリーグルを殺した」という目撃者に仕立て上げ、PCたちは逃走、
ヴァリルも行方をくらます、という算段である。
 好色なグリーグルの変態的な趣味(APP 15以上か7以下の者にしか興味を示さない)につけこんで
ティスマン(APP 3!)がグリーグルを個室に誘い込み(「生涯、最初で最後の誘惑です」:ティスマン)、暗殺は成功裏に終わる。
 手はず通りPCたちは
ヴァリルが用意した馬車で港へと逃走、ヴァリル本人は別の方向へと犯人を追ったように見せかけ、途中でPC一行の馬車と合流する。
 港にはパン・タン島からの脱出用ボートが用意されていたが、船長の魂を取り戻さずに島を去るわけには行かない一行は、それを
ヴァリルに告げる。一瞬呆気にとられたヴァリルだったが、これもエクオル神の導きと諦め、もうしばらく一行と行動を共にする事になった。

 港で待機していた
シャゼスタインの手引きで、残りの傭兵団とルテル船長その人が合流。スタインがあらかじめ見つけておいた郊外の廃屋敷に身を隠すため、一行はグリーグル殺害で騒ぎとなっているフワムガールを密かに脱出したのであった。

 
ジャグ・ルークヴァリル・ファイシャーンを最後の仲間として迎え、傭兵団はいよいよルテル船長の魂奪還の作戦に打って出る。

 ラストが一人の酔っ払い(グリーグル)との戦闘で終わるため、プレイヤーにはカタルシスのないシナリオになるかと予想していたのですが、コロシアムでの戦闘が思ったよりもシビアで、それなりに命のやり取りを楽しんでいただけたようです。

 今回から『Sorcerers of Pan Tang』と『Sea Kings of Purple Towns』の上級キャラクター作成ルールを開放し、「神政官の近衛兵(Theocrat's Guard)」と「海兵隊員(Marine)」が仲間に加わりました。「近衛兵」は作成と同時にデーモン・ウェポンとデーモン・アーマーが手に入り(シナリオの展開上、それは認めませんでしたが)、「海兵隊員」は最初から高い戦闘技能を持つ強力な職業です。海兵隊員のターメリックは達人級のシー・アックスで大活躍でしたが、ジャグ・ルークは(いつも通り)ダイス目が振るわず、ギャグ・メーカー的な役回りになってしまっていました(笑)。
 キャンペーンの残りはもうわずかですが、次回、二人がどのような活躍を見せるか楽しみです。

 外伝は「神政官の館」。本編と連動しているようなタイトルとなり、なかなか良い雰囲気です。

 次回で「復讐者編」は最終回となり、同時にキャンペーンも大団円を迎えます。



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