書架:8



目録71:アルハザード 上・下 アルハザード
刊行年:2007年 出版社:学習研究社 定価:各2,800円 著者:ドナルド・タイスン
収録作品:−

葵: 基本命中率 25%、ダメージ 1D4、貫通なし。特殊:財布へのダメージ 甚大。
有味: おぉ! 葵先生、アイテム的な登場の仕方、お疲れ様です。
葵: 通巻900頁以上もあるこのボリュームは圧巻ね。……価格も圧巻ね。
有味: 内容的には、まぁ、少なくともホラーではないですな。ヤング・アルハザードの奇妙な冒険といった所でしょうか。
葵: ラヴクラフト的な書法で延々900頁も棲み潜む邪悪について記されても気絶してしまうけどね。
有味: 世界最悪の邪悪の書が、そぎ落とされた鼻と耳とチ○コを再生させるために集めた知識を基に書き記された物だったとは、さすがに驚きました。1/1D2くらい驚きました。
葵: …まぁ、細部に色々なツッコミを入れるならタイスン版『ネクロノミコン』も含めてキリがないけど、娯楽作品としては結構面白かったわ。
有味: ボリュームほどには読破に苦労を要しない、肩の力を抜いて楽に読める作品。実は冒険小説として、かなり楽しみました。でも本書を元にシナリオを作るのは、ちょっと無理っぽいです。



目録72:邪神迷宮 魔界都市ガイド鬼録 邪神迷宮
刊行年:2007年 出版社:
実業之日本社
定価:819円 著者:菊地 秀行
収録作品:−

有味: Amazonからお勧めの本としてメールで紹介された一冊。Amazonの情報蓄積は、時として怖ろしくもあるな。
スミス: 作者さまお得意の魔界都市<新宿>を舞台としたバイオレンスですの。超人、奇人、妖人、邪神入り乱れての大活劇ですわね。
有味: 作者の過去の作品に出てきたキャラクターが顔を見せてくれるので、ファンには嬉しいのかもしれない。オレは内原富手夫くらいしか知らんけど。
スミス: 菊地ファンじゃない人が読むと、ちょっと『うらにわのかみさま』で感じたような疎外感を感じますの。
有味: 重ねてきた歴史が違うだけに、今から<新宿>キャラ網羅を目指すのは多大な労力が伴うからなぁ。
スミス: 私としては帯の「迎え討つのは<新宿>ナンバーワンガイドと美形女警察官三人。」という煽りと内容の間の微妙な誤差が気になりましたわ。
有味: パワフル過ぎる脇役に埋もれて主人公の外道がいまいちヘタレに感じるしな。個人的には内原富手夫が主人公でも良かった気がする。シリーズ物からは外れるが。
スミス: 邪神もその片鱗を見せるだけで、結局は人の目に見えない場所で闘争していましたものね。
有味: あの二柱の邪神が思い切りやりあったら、ファースト・コンタクトで<新宿>も地球も吹っ飛んじゃうからな。ラストの落とし方はオレ好みだった。



目録73:クトゥルフ神話カルトブック エイボンの書 エイボンの書
刊行年:2008年 出版社:新紀元社 定価:2,200円 著者:C・A・スミス
リン・カーター、他
収録作品:「土星への扉」、「ナスの谷にて」、「下から見た顔」、他。

スミス: 古代ハイパーボリアの大魔術師エイボンの著した「エイボンの書」に関する記述、及びエイボン自身について語られた物語等を集めた一冊ですわ。
有味: エイボンといえばC・A・スミスの創作だが、収録されているのはリン・カーターの作品が多いな。リン・カーターのリン・カーターっぷりが存分に味わえる。また、コーンフォードの本邦初訳が数多く載っていて楽しんだ。
スミス: 本邦初お目見えのカーター系の神格が多くて、CoCユーザーとしては「マレウス・モンストロルム」に応用できて嬉しい所ですわね。
有味: 個人的にはアフーム・ザーに関する資料がどうしても欲しかったので、それだけで満足はしている。しかし「白蛆の襲来」に対して「極地からの光」を書けてしまうカーターのSAN値は低かった事が偲ばれるな。
スミス: さむさむゾウアザラシの話も完訳版になっていて嬉しいですわね。恒例のイチオシはどれですの?
有味: 以前より読んでみたかったカーターの「炎の侍祭」をあげておこう。新紀元社には是非ともこのシリーズを継続して欲しいところ。
スミス: ラムジー・キャンベル作品希望ですの。



目録74:ユダヤの禁書 ネクロノミコン秘呪法 ネクロノミコン秘呪法
刊行年:1988年 出版社:二見書房 定価:750円 著者:マーク・矢崎
収録作品:−

有味: H先輩が焚書の刑に処したという噂のある一冊。文庫に収録するか迷ったが、良く考えたらネタ系のうちのHPにはピッタリかもしれないので今更収録。
スミス: こ、これは……。
有味: マーク・矢崎氏、SAN低すぎだろ。世界一の邪悪の書の最初の章が恋のオマジナイとか、笑い死にさせる気か。
スミス: なんかラヴクラフト御大も謎の奇病で死んじゃってますわね。
有味: 様々なオマジナイの解説に小芝居的な漫画が付いていて、そのナンセンスさはかなり高レベル。「本書はギャグであり、作中の固有名詞は全てフィクションですw」という序文があれば、それなりに評価されたかもしれない。……されるわけねーか。
スミス: どのような構想の下に書かれたのか、まったく想像ができませんわ。
有味: オマジナイを試して効果があった人、是非とも連絡ください。



目録75:タイタス・クロウの帰還 タイタス・クロウの帰還
刊行年:2008年 出版社:東京創元社 定価:1,000円 著者:ブライアン・ラムレイ
収録作品:−

スミス: クロウ先生の登場ですわ。またまた今回も時空をまたにかけて大活躍でしたわね。
有味: ……つーか、クロウ先生、大活躍しすぎだろ。完全にホラーじゃないどころか、クトゥルフからも逸脱しつつある。
スミス: まあ、確かに時を追う毎にスーパー・クロウ先生化してますわね。
有味: 『事件簿』、『地を穿つ魔』、『帰還』と巻を追う毎にクロウ先生は残念な子になっている気がする。クタニドとエリシアという長年の疑問に対する答えが出たので、それだけは評価する。
スミス: 何かガッカリな雰囲気ですわね……。
有味: タイタス・クロウ・サーガ以外のラムレイ作品邦訳希望。ぜひとも「The Kiss of Bugg-Shash」あたりを読んでみたい。
スミス: 最後に総括お願いします。
有味: オレは自身を何でもありのスチャラカ神話ファンだと思っていたが、この本の後半は結構辛かった。ラムレイだから過剰な期待をしていたのかもしれんな。



目録76:賢者の石 賢者の石
刊行年:1971年 出版社:東京創元社 定価:780円 著者:コリン・ウィルソン
収録作品:−

有味: ガタノソアに言及している数少ない本の一冊なので読んでみたが、えらい目にあった。
スミス: とりあえず神話作品ではありませんわね。SFなのでしょうか? 何か自己啓発の書、という感じも……。
有味: これをテキストにした自己啓発セミナーとかあったら、余裕で寝れる。久々に忍耐力を必要とした一冊。そういう意味では自己啓発の書かもしれん。
スミス: ムツカシイですの。この本を難なく読み解ける御仁は「古きものども」の代弁者となって人類を導くべきだと思います。
有味: 某ネット書店のユーザー・レヴューで高評価なのには正直驚いた。この本に高得点を付けられる人は尊敬する。他意なしに。
スミス: ムツカシイ、ムツカシイですわ……(くらくら)。
有味: 個人的にはこの1/4、少なくとも1/3の分量に圧縮しても内容的には満足できたと思う。すんません、オレ、アホなんでどこが面白いか分かんないっス。



目録77:黒い仏 黒い仏
刊行年:2001年 出版社:講談社 定価:798円 著著:殊能 将之
収録作品:−

スミス: あら、貸し出し中ですわ。
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目録78:「クトゥルフ神話」がよくわかる本 「クトゥルフ神話」がよくわかる本
刊行年:2008年 出版社:PHP研究所 定価:619円 監修:佐藤 俊之
編著:株式会社レッカ社
収録作品:−

有味: PHP文庫のよくわかる本シリーズにクトゥルフ神話登場。正直、結構驚いた。
スミス: 内容はかなりゲーム寄りですわね。参考文献も最初にTRPG関連の書籍が2冊来てますの。
有味: クトゥルフ神話を良く知らないTRPGプレイヤーに「大体こんな感じ」と言って本書を渡す、というのがもっとも有効な使い方ではないか? この本を読んで「クトゥルフ神話、よくわかった!」とか言われても正直困るが、浅くゲームで関わる程度なら、値段やボリュームから考えて過去に類を見ない絶好のテキストだと思う。
スミス: この本を読んでトゥールスチャやクァチル・ウタウスの出典を探すのは、ちょっと困難ですわね。
有味: それぞれの項目に主な登場作品(出典)を付けてくれると、もっと親切だったかな。「クトゥルフ神話」初心者向け、というよりは「クトゥルフ神話TRPG」初心者向けの本。
スミス: 限られた分量の中では良くまとまっています。読んでいて楽しい本だと思いましたの。
有味: 足らない所を言い出したらきりがないが、個人的には評価の高い一冊。オレのキーパーでクトゥルフをプレイする人にはぜひともお勧めしたい。



目録79:這いよれ! ニャル子さん 這いよれ! ニャル子さん
刊行年:2009年 出版社:
ソフトバンククリエイティブ
定価:600円 著者:逢空 万太
収録作品:−

スミス: あら、貸し出し中ですわ。
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目録80:闇の聖母 闇の聖母
刊行年:1979年 出版社:早川書房 定価:340円 著者:フリッツ・ライバー
収録作品:−

有味: 神話かと問われれば、う〜ん。
スミス: 冒頭のド・クインシーの『レヴァーナと悲しみの三聖母』への言及 → 嘆きの聖母たち(マレウス・モンストロルム) → クトゥルフ神話 → ふしぎ! という多段論法でギリギリ、何とか、ですわ。
有味: 古本屋で買った奇書と、それとセットになって付いてきた日記(手記)の筆者がクラーク・アシュトン・スミスだった! ちょっと調べてみたら、何か変な事になって、うわ! びびった! というストーリー(ほとんど嘘)。
スミス: ハヤカワSFなんですけど、どうなんでしょう? SFというよりは……。
有味: ホラーというジャンルが確立されてなかったから、SFに入れられたんだろうな。FT(ファンタジー)というのもちょっと……な感じだからね。読書家の皆さんは文学の変遷とかそのあたりで本書を素晴らしく分析されているようなのだが、神話関係しか読まないオレのようなアホにはラスト付近でいきなりパルプホラーになって虚をつかれたくらいの感想しか出せん。
スミス: まぁ、力技で神話に組み込めない事もない、という感じですものね。
有味: クトゥルフというよりは、『Chill』あたりで再現する感じ。「こういう読み方でアプローチすると、宇宙の深淵への視界が開ける」という教授をしてくださる既読者の方、連絡ください。



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