目録251:クトゥルー 多元宇宙の侵入! | ![]() |
|||
刊行年:2023年 | 出版社:青心社 | 定価:720円 | 著者:天満橋 理花、他 | |
収録作品:「彷徨える炎を追って」、「インスマス行きのバス」、「佇まり木の女」、他。 |
スミス: | 多元宇宙を舞台に多彩な展開が拡がるアンソロジーとのことですの。 |
有味: | 多元宇宙というより、並行世界の話が多かった気がする。加えて、探索者たちが魔術戦などで敵を“退治”するというRPG的な終わり方も多いかも。でも、どの作品もテーマには沿えているっぽい。 |
スミス: | 各作者様が何に興味をお持ちなのか、サブテーマで見て取れるのは面白かったですわね。 |
有味: | 本書に限らず、日本人の書く短編には痛快な終わり方をするものが多いよな。神話によってヤスリで削られていく探索者よりは、勝利を収めて突き進んでいくヒーローが主人公になるのかも。焦点が神話より、登場人物(キャラクター)たちに絞られている。だから本邦ではなかなか神話は展開しないんだろうな。 |
スミス: | 話が怪しい方向に流れそうなので、本作のイチオシのコーナーへ強制移動ですわ。 |
有味: | 「佇まり木の女」かな。収録作品の中では一番“多元宇宙”な気がする。 |
目録252:ダニッチの怪①~③ | ![]() |
|||
刊行年:2023年 | 出版社: KADOKAWA |
定価:各880円 | 著者:田辺 剛 | |
収録作品:- |
有味: | H・P・ラヴクラフトの代表作の一つ、「ダニッチの怪」のコミカライズ。 |
スミス: | 信頼のできる著者様なので安心の作品ですわね。 |
有味: | とても素晴らしく面白い作品なので、興味ある方は読んでみてほしい。特に不満はないので、書くことも少ない。個人的には「豚の頭みてぇな足」が出てこなかったことで満足している。 |
目録253:シャーロック・ホームズとミスカトニックの怪 | ![]() |
|||
刊行年:2023年 | 出版社:早川書房 | 定価:1,360円 | 著者:ジェイムズ・ラヴグローヴ | |
収録作品:- |
スミス: | 目録242に続く「クトゥルー・ケースブック」シリーズの第2作ですの。 |
有味: | 前作に引き続き、凄く面白かった。このシリーズ内のクトゥルー宇宙に関する理解が、オレの理解と非常に近いからだと思われる。それが著者の意図するところによるのか、訳者の意識するものによるものなのかは不明だが。 |
スミス: | ホームズ&ワトソンをメイン・キャラクターとする長編の中に、クトゥルー神話の中編が挿し込まれているような構造ですわね。 |
有味: | そのあたりは著者による「はじめに」と、訳者による「解説」で少し触れられている。オレはホームズに何の思い入れもないので、クトゥルー神話として楽しめればOK。クトゥルー神話だけでなく、オカルト科学の登場もラヴクラフトっぽくて親和性が高い。 |
スミス: | ホームズ氏とワトソン先生がちょいちょい体を張って神話的事件を解決しているのが、なんだか手練れの探索者たちっぽくて面白いですわ。 |
有味: | 良質のクトゥルー神話。第3作も読めるらしいので、楽しみだ。 |
目録254:クトゥルフと夢の国 | ![]() |
|||
刊行年:2023年 | 出版社: ツーワンライフ出版 |
定価:500円 | 著者:杉村 修 | |
収録作品:「クトゥルフとごがん」、「九十沢のてびらがね」、「クトゥルフ賛歌」他。 |
スミス: | あら、貸し出し中ですわ。 |
![]() |
目録255:シャーロック・ホームズとサセックスの海魔 | ![]() |
|||
刊行年:2023年 | 出版社:早川書房 | 定価:1,360円 | 著者:ジェイムズ・ラヴグローヴ | |
収録作品:- |
スミス: | 目録242、253に続く「クトゥルー・ケースブック」シリーズの第3作ですの。三部作の最終巻という位置づけですわね。 |
有味: | シリーズを通して戦っていた相手との決着がついていて、いかにも最終巻らしい。実は『パルプ・クトゥルフ』で運用されていたのには驚かされたが。作者にホームズ愛はあるのだろうが、それに溺れ過ぎずにクトゥルフ神話を書ききっているのは見事。 |
スミス: | 探偵小説の枠を超えた巨人であるシャーロック・ホームズ様ですが、出しゃばりすぎない程度にクトゥルフ神話と融合しておりましたの。 |
有味: | 特にホームズに何ら思い入れのないオレにはちょうど良い主張具合だった。ホームズに限らず、例えばエルキュール・ポワロがクトゥルフ神話と対決する話とかもあるのかね? 本邦代表なら……金田一先生か明智先生あたりかな? |
スミス: | 巻末で触れられている「ハイゲイトの恐怖」や「イースの石」も読んでみたいですわね。 |
有味: | シリーズが売れてくれればきっと叶う希望だろう。期待して待ちたい。 |
目録256:ウルタールの猫 | ![]() |
|||
刊行年:2024年 | 出版社: KADOKAWA |
定価:820円 | 著者:田辺 剛 | |
収録作品:「セレファイス」、「ウルタールの猫」、「蕃神」。 |
有味: | 短編集。ラヴクラフトの小編3作をコミカライズしている。原作が小編にもかかわらず、どれも前・後編で紙幅を取って描かれているのですごく読みごたえがある。 |
スミス: | 表題作の「ウルタールの猫」はちゃんと猫の不気味さが描かれているので満足度高いですわね。 |
有味: | 以前、怖い猫のホラーを探した時にほとんどそうした作品に行き当らなかったので、本作は本当に満足度高かった。でもイチオシは「セレファイス」だったりする。「セレファイス」は結構場面がコロコロと変わる展開なので、画で見せられると切り替わりが分かりやすい。 |
スミス: | 次あたり「レッド・フックの恐怖」とか「魔女の家で見た夢」等が来ますでしょうか? |
有味: | 「緑の草原」とか「アーメンガード」が来て読者を呆然とさせてほしい。 |
目録257:クトゥルフ神話生物解剖図鑑 | ![]() |
|||
刊行年:2024年 | 出版社: 秀和システム |
定価:1,650円 | 著者:山田 剛毅 | |
収録作品:- |
スミス: | 往年の怪獣図鑑的にクトゥルフ神話生物を面白おかしくイラスト解剖してみようという一冊ですわね。 |
有味: | 正確かどうかよりも面白さに主眼を置いた一冊。ウルトラ怪獣を通ってきた身としては面白さ以上に懐かしさを感じた一冊だった。特に新しい情報とかはないのだが、目で見て楽しい企画ではあった。 |
スミス: | 後半はイラストで扱ったクトゥルフ神話生物の解説に費やされています。 |
有味: | 例によって朱鷺田祐介氏による文章なのかね? それなりに分量のある、浅く、根気強く、丁寧な解説を書かせたら、もはや本邦の第一人者と思われる。ただ、固有名詞の記憶違いがいくつかあるようなので、ここでもう一度初心に立ち返って、一次資料を当たるか、信頼できる解説本を見返す手間をかけた方が良いのかも。 |
スミス: | ラヴァン・シュリュルズベリイの表記が気になって、後半部分があまり頭に入って来ませんでしたの。 |
有味: | シュリュズベリイ博士は“Laban Shrewsbury”なので、“ラバン”表記が無難だよね、やっぱり。ヴェルビン(Bellvine)のように、何かオーラ力が影響を及ぼしたのならオレの力不足です。スミマセン。 |
目録258:邪神退治24時 クトゥルフ・ブラッド伝 | ![]() |
|||
刊行年:2024年 | 出版社: KADOKAWA |
定価:1,400円 | 著者:毒島 伊豆守 | |
収録作品:- |
スミス: | あら、貸し出し中ですわ。 |
![]() |
目録259:ラヴクラフトとクトゥルフ神話に学ぶ 名状しがたい英単語図鑑 |
![]() |
|||
刊行年:2024年 | 出版社:Gakken | 定価:1,870円 | 著者:山田 剛毅 | |
収録作品:- |
スミス: | 内容は書名のとおりです。ラヴクラフト御大の原作に登場する頻度の高い英単語を面白おかしく解説するもの。 |
有味: | クトゥルフ神話の何たるかを知りたい人は原作を読み漁るか、ほかの解説書を読みましょう。こういったジョーク的な本が流通に乗るようになったというのは、カルチャーとしての成熟を感じる。 |
スミス: | 利用、活用の仕方は各探索者(購入者)様によって違うかと思われます。 |
有味: | 200を超える項目にイラストを描いた作者氏の熱意には頭が下がる。本書を元にシナリオを作ったキーパーがいたらその内容を勉強したいので、ぜひとも連絡が欲しい。 |
目録260:ネオノミコンシリーズ 1~4 | ![]() |
|||
刊行年: 2021~2024年 |
出版社:国書刊行会 | 定価:各3,080円 | 作:アラン・ムーア 画:ジェイセン・バロウズ |
|
収録作品:「中庭」、「ネオノミコン」、「プロビデンス」。 |
有味: | アメコミ界で超有名(らしい)アラン・ムーアがラヴクラフト作品を再解釈した、みたいな作品。刊行されるたびに買って読んでいたが、ついに完結したのでエントリー。完結に際して、シリーズを通して読みなおしてみた。 |
スミス: | 第1巻で描かれたプリミティブなクトゥルー神話の恐怖は衝撃的でしたの。 |
有味: | ちょっとないくらいの厭らしさ、おぞましさに震えた。続刊に強い期待を抱かせた滑り出しだった。 |
スミス: | でも「プロビデンス」に入った第2巻、第3巻あたりは、ちょっと困惑しましたわね。いろいろなラヴクラフト作品へのオマージュ(?)が続いて、アラン・ムーア版『アーカム計画』なのかと思いましたわ。 |
有味: | 正直言って、このあたりで第1巻の衝撃は失われていた。しかし、シリーズ通読と共に第4巻(「プロビデンス Act3」)を読んでみて、「なるほど、アラン・ムーア、スゲェな!」となった。もし第3巻までで力尽きてしまった人がいるなら、ぜひとも第4巻を読んでみてほしい。「実は、またしても微妙にクトゥルー神話じゃないのか?」とテンションが下がり気味だったのだが、ラストで完全なるクトゥルー神話として結実する。ちょっと感動してしまった。 |
スミス: | アメコミなので内容を追う力(文章の理解力)が若干必要かと思われますが、オススメです。 |
有味: | 面白かった。うむ、面白かった。 |