登場探索者

泰野加代子 新城三郎 須堂建次 安坂あおる
泰野 加代子 新城 三郎 須堂 建次 安坂 あおる



キーパー:某日、新城が白凰民俗資料保存協会(SPHF)の事務所へ向かっていると、協会の入ったビルの前で、ペッパー・ホワイトのミニクーパーが停まっているのに気づきます。車のルーフキャリアから、女性が荷物を降ろそうとしています。
新城:ほう。
日下部麻希キーパー:女性は顔見知りです。SPHFの理事をしている日下部麻希という人物です。新城は大学時代、泰野ゼミのフィールドワークで彼女と一緒に活動したことがあります。
泰野教授:私の教え子ってこと?
キーパー:彼女は学部が違うので直接指導したというわけではありませんが、般教(パンキョー、一般教養科目)で先生の講義を取っていました。
泰野教授:なるほど。ゼミ生ではなかったけど、顔は見たことはあるって感じね。
キーパー:麻希は新城に気づくと「あ! 新城君!」と言って手招きをします。
新城:「やあ、日下部さん、久しぶり!」
キーパー:(麻希)「申し訳ないのだけど、荷物を降ろすの手伝ってくれないかしら?」荷物はいわゆる行李です。
新城:「STR 45の俺でよければ喜んで!」力を振り絞ります(笑)
キーパー:新城が車の屋根から下ろす間に、麻希がビルの受付から台車を持ってきます。
新城:「よっこいせ、と」台車に乗せます。
キーパー:残りの皆さんが事務所でお茶など飲んでいると、日下部理事が台車を押す新城を伴って姿を見せます。麻希は行李を指し示しながら皆さんの顔を見渡して、「実はね――」と言って話し出します。

 事務所に持ち込まれた行李は、古物オークションで日下部麻希が競り落としてきたものです。他の目ぼしい出品物を元白凰区の旧家(=護封十三家)と國史院大学が競り落としていく中、トイレ休憩明けの間隙を縫って、協会の乏しい予算でどうにか競り落とすことができた唯一の品がこの行李でした。
 行李は漆塗りで黄色い鳳凰が描かれています。黄色の鳳凰は“鵷鶵”と呼ばれるため、この行李一式は『鵷鶵文書』と仮称されることになりました。
『文書』とは言うものの、行李の内容物は和綴じ本、巻物、木簡、物品等と多岐にわたっています。しかし、その内容はまだ不明です。そこで、内容物をデータ化して協会の会員限定サイトにアップし、会員が自由に閲覧・研究して、判明したことを報告しあうという活動を展開しようというのです。


泰野教授:なるほど。通年活動とするわけね。
新城:これは主要な活動となりそうですね。
安坂:どれくらい古いものなのかは判明しているんですか?
キーパー:アイテムによって様々です。そもそも、何で行李にまとめて入れられているのかも分かっていません。行李は鬼別郡の山中にあった所有者不明の納屋の屋根裏から見つかったものだそうです。いよいよ納屋を取り壊そうとした時に発見されて、オークションの末席を汚したという次第です。
須堂:「データ化とサイトへのアップについては承知いたしました」
新城:「まずは中身を読んでみるところからですかね」
泰野教授:「最初は目録を作るところからでしょうけど」
キーパー:この文書を調査した結果を『鵷鶵蒐異』という名の一冊の魔道書にまとめる、ミニ・キャンペーンを始めようというわけです。



『鵷鶵蒐異』(未定稿)
 日本語、著者不明、白凰民俗資料保存協会翻訳。
 鬼別郡の山中にあった所有者不明の納屋の屋根裏から見つかった資料群。鵷鶵(黄色の鳳凰)が描かれた行李に入っていたことから、この名がついている。
正気度喪失:1D3
〈クトゥルフ神話〉:+0%/+1%
神話レーティング:3
研究期間:1週間
呪文:《入鹿魚に命令する》(イルカに命令する)
内容: