(訳者注 この解説によると実はローグアイランズは米国の目と鼻の先にあることになる。原文の“アメリカの司法権が及ぶ場所”を領土でなく領海と訳したと しても、100キロ足らずである。バミューダの北西延長上がニューヨークのため、イメージとしてはニューヨーク(=Paragon City)南東の大西洋上35キロ〜約100キロ弱というところだろうか)


初期のローグアイランズ

数世紀前、この島々はフランスを逃れて新大陸への布教に向かったキリスト教の異端派の秘密結社、イーノスの子供たち(Enos of Children 訳者注 イーノスすなわちエノシュはアダムの孫で最初の予言者のひとり)よって発見された。
そこで彼らは古い時代の暗い歴史を秘めた奇妙な遺跡を発見した。そして彼らは直ぐにわずかな原住民達を奴隷にするや(恐らく土着宗教から改宗させて)、この不思議な廃墟の上に、素晴らしいゴシック風の寺院を建設させたのだった。
その後十数年にわたって、寺院はこの秘密結社の本部として使用されたのだった。
そして彼らはこの地から彼らと敵対するフランスと教会の敵に対して、暗い陰謀をめぐらせたのであった。


植民地時代

フレンチインディアン戦争の間(1754-63年)、島々は多くの移民たちの居留地となった。
当初フランス人たちは、囚人、あるいは兵士や海兵のための兵舎として島を使用した。
そして1756年には、フレンチインディアン戦争、及び7年戦争の影響で、ヨーロッパからもアメリカからも多くの移民たちがこの島々に移り住んだのだった。
10年あまりたち、ローグアイランズの人々は本国に反旗を翻し、独立を宣言した。そしてフランスの勢力を敗退させた彼らは、イギリスと保護条約を結びフランスの支配から脱したのだった。

そしてローグアイランズは最初フランスに対するイギリスの私掠船、その後総督(グヴェルヌール Gouverneur)に対する税金を支払うことをいとわないすべての海賊や私掠船のための港となった。
やがて海賊貿易と密輸がこのアメリカ沿岸の島の主要産業となったのだった。
総督は海賊たちに目を配りつつ、海賊とそのクルーに憤慨し、その死を望むイギリス、フランスあるいはスペインを相手に、注意深く政治的ゲームを展開した
イギリスを保護者としつつも、彼らは元々はフランス人であり、本質的には中立であり、いかなる取引や合意にあっても、島にとっては最もよい状態にその身をゆだねたのだった。

やがて海賊の時代は過ぎ去り、イーノス派が再びその勢いを取り戻した。1810年に極秘のうちにイーノス派の生存者達が結集し、結社を復活させたのだった。
彼らはひそかに伝えられた暗黒の術を使って、直ぐに権力の座に返り咲いた。まさに知識は力であった。

イーノスの子供たちが、外の世界に目を向ける前にこの島を災害が襲ったのは、たぶん世界にとっては幸運だったのだろう。
1833年4月3日、火山の噴火がその静かな夜を台無しにした。次の数週間で、休火山だったグランヴィル島の何もなかった場所が隆起し、火山灰が降り注ぎ、雷と火災に多い尽くされた
すべてが終わった後、古い町のほとんどが火山灰に隠され、溶岩流は農地を焼き、港を埋め尽くしたのだった。
そしてさらに劇的なことに、グランヴィルは現在キャップ・オー・ディアブル(Cap Au Diable)、ポート・オークス(Port Oakes)、ブラッディ・ベイ(Bloody Bay)及びグランヴィル(Grandville)として知られる4つに分割されたのだった。

半分溶岩に埋め尽くされた港と多くのエリート層が逃亡したこの島は死んだも同然となって、貧困と不潔さの下に沈んだ。
南北戦争中は、南軍の海上封鎖破りの小艦隊が港の残りに駐留した時期もあったが、それもほんのわずかな間で、およそ70年もの間、ローグアイランズには何のかわりばえもなかったのであった。


20世紀以後

ステーツマンがParagon Cityに現れたとき、Paragon Cityの多くの悪党たちは新しい住処を求めた。ローグアイランドは彼らの格好の選択であった。
多くの悪人たちがこの国にコネクションがあり、そしてこの小国の彼らへの“友好的な”姿勢は、その選択を確固たる物にした。
無論この島のオークス大統領も馬鹿ではなかった。彼はこの島の新参者達、ギャングやスパーパワーを持った悪党どもに逆らえばろくなことにならないであろうことを知っていたのだ。
しかし彼は同時に彼は交渉のカードもしっかり持っていたのだろう・・・たとえばこの島の市民権とか、あるいは外交権、そして正義を振り回すアメリカ合衆国からの保護だ。
そして彼は悪人たちと同様、ローグアイランズに好意的なアメリカ合衆国の高官の知遇も得ていたのだった。
かくて取引がなされたのであろうか。納税と引き換えに悪党どもに目を瞑り、彼らの自由にさせることについて。いずれにせよこの島々はスーパーパワーをもった悪党どもの根城となったのだった。

このとき、最初の悪党どもの多数の集団がこの島にやってきた。彼らは他の悪党どもから身を守り、同時に 米国への犯罪基地を速やかにこの島に建設した。
しかし彼らは猛烈は攻撃や障害活動を行わず、ひたすらアメリカの政策についての情報収集や影響力の行使に注力したのであった。
やがてロード・リクルースが組織を支配したが、彼はアラクノスのトップとして表に姿を現すことはなかった。
そして彼はアメリカに程近いこの基地の価値を認め、信用できる部下に任せて、彼に従わないこの島の無法者を一掃した。さらにその成就後は、彼は次の動きがあるまで、地下に潜伏するように指示を下したのだった。

第二次世界大戦が勃発したとき、この注意は図に当たった。
枢軸軍よりながら、マルサン大統領(オークスの後継者)は公式にローグアイランズの中立を宣言した。
そして5th Columnの脅威がアメリカを驚愕させたとき、(訳者注 ナチスの特殊部隊5th Columnは1942年12月7日Paragon Cityの連合国艦隊に対して奇襲攻撃を勇行し、アメリカは大損害をこうむった)マルサンの軍隊は枢軸国を離反し、島内の5th Columnへの目に見える形での“戦争”を開始した。
そのため相対的にアラクノスの存在感がなく、彼らは比較的平穏に生き残ることができた。
ではロード・リクルースはいなくなったのだろうか?いやむしろアラクノス達は次なる目標をめざしてひそかに英気を養っていたのだった。

まもなく秘密のプロジェクトが開始された。政治家が買収され、敵対組織が打倒されていった。そして新たな悪党達が募集され始めた。誰かがそれを命令していた。だがそれが誰であるのか誰にもわからなかったのだ。
1950年代の中ごろまで、ロード・リクルースがその黒幕であることが公に知られることはなかった。そしてその時点で、彼は行動を起こす準備を整えていたのだ。
ロード・リクルースは軍事クーデターを起こし、ローグアイランズ全体をアラクノスの支配下におくや、彼の帝国を形成し始めたのだった。

今日ローグアイランズは野心を持つもの、そして非道な心を持つものに絶好の機会を与える国である。
なぜならば、ロード・リクルースはそういった類の野心を大目に見ているからからなのだろう。彼の法律に従い、税金をはらい、そして疑問を抱かずに彼の正義に従うのなら、このクモの町は誰であっても歓迎するのだ。
彼の計画を脅かさない限り、あなたはあなた自身の陰謀をたくらむことができるというわけだ。
もしCircle of Thornsのために出荷されるアーティファクトが船から盗まれたとしても彼は別に気にするであろうか?とんでもない、もっともコソ泥どもがアラクノスに対し軽率なまねさえしなければだが。
だが、もしあなたが銀行を襲い、アラクノスの治安部隊からまんまと逃れたとしたら、それはあなたの能力を示すいい機会になる。だが用心したほうがいい。あまりに多くの銀行を襲い、破壊しすぎれば、ウルフスパイダーの部隊があなたを狩りにやってくるはずだ。
要するに彼は無政府状態を容認しているわけではなく、野心を大目に見ているということなのだ。

このような状況の中、アラクノスは力を蓄え、陰謀をたくらもうとしている。
この島ではヒーロー達はアラクノスの悪党達を逮捕するためしばしば侵入し、賞金稼ぎ以上の才能をもたない連中があふれかえっている。そしてフリーダムコープのメンバーが、ただ混乱を巻き起こすために時々姿を現す。
そしてさまざまな派閥が、常に悪の計画と陰謀をたくらんでいるのだ。

ローグアイランズの歴史

地理的にいうとローグアイランズはアメリカ沿岸から約20〜50マイル(約33キロ〜82.5キロ)、バミューダの北西に帯のように連なる小島群である。
公式にはエトール・アイランズ(Etoile Islands 星島の意)の名で呼ばれており、その鎖の中には何ダースもの小島が散らばっている。
アラクノスの本拠地がある主要な島々は、アメリカの領土から約50マイル(82.5キロ)はなれた場所にある。そこから小さな島々がアメリカ側に弦を張るように連なっているのだ。