Circle of Throns

1890年代イギリスの上層階級では降霊術をはじめとするオカルトが一大ブームを呼んでいた。
こうした中、降霊術のカリスマとして評判を呼んだ男の1人が1890年にロシアからイギリスに渡ってきたと伝えられるゾリア(zoria)男爵である。

多くの狂信的な信者を得た彼は、彼の教団の行く末を決定づけることになるある情報・・・失われた古代都市オランベガ(Oranbega)の位置が記された冒険家ヴェラツアーノの地図・・に接したことで、そのエネルギーとオカルト的なパワーの全てをその探索に傾けることとなった。
彼はこの失われた都市が古代ムーとの戦争によって地中へ隠されたものであると考え、その都市への鍵を得たならば恐るべき古代の魔術パワーが取得できると考えた・・そして不幸にもそれは事実だった・・のだ。

もっともゾリアはこの都市の探索の為に考古学者がするようなアプローチをとる気など、全くなかった。彼は1898年の冬至の日に降霊術により、直接古代オランベガの魔法王とコンタクトをとったのだ。
この彼の魔法陣による儀式は明らかな成功を収めた。オランベガの神秘的なパワーの一部を得た彼らは、儀式によって得た茨を自らの肉体に埋め込み、体を傷つけることで神秘的なパワーを自らのものとしたのだった。
かくてここに茨の魔法陣をシンボルとする神秘教団「Circle of Thorn」が誕生したのだ。

神秘的なパワーを得て急激な拡大を遂げたCircle of Thorn教団だったが、その拡大は既存のキリスト教徒や世俗権力の注意を引かないでは居られなかった。かくてヨーロッパの多くの国で彼らの活動は禁止されたが、その時ゾリア男爵は既に次の計画を進めていた。

1914年第一次世界大戦が勃発すると、ゾリア男爵とその狂信者達はヨーロッパを捨て合衆国へと旅だったのだ・・・魔法都市オランベガを探索するために。
オリジナルの地図はオランベガの入り口をニューイングランドに示していたが、今やOranbegaの魔法王の神秘的なパワーを得たゾリア男爵は、これがまやかしであることを見抜いていた。
そう、地下都市の真の入り口は、新たな世界の中心・・・Paragon Cityにあるのだ!!

6年の探索の結果、遂に彼らは都市への入り口を発見した。だがそれは同時に、彼らに都市への入り口を隠蔽する新たな難題を与えたのだった。
この問題に対する彼らの回答は、上流階級の紳士としての表の顔を装うことであった。彼らの倶楽部は禁酒法時代には最も悪名高い闇酒場として名をとどろかせ ると共に、その中では毎夜黒魔術の秘儀が営まれ悪魔の召還と犯罪的行為が繰り替えされていたのだった。いずれにせよ紳士の仮面をかぶったカルト犯罪者達は その力を増し、20年代はまさしく教団にとって黄金の時代となったのである。

教団の崩壊はほんの小さな綻びから始まった。
1933年のある晩、近所の貧しい子供が行方不明になった事件・・・黒魔術儀式の為の哀れな生け贄として・・・は警察にもヒーローにも何ら証拠はつかませない完璧なもののはずだった。
しかしDream Docterとして知られる新たなヒーローはこの誘拐が黒魔術によるものであることを見抜き、遂には真相にたどり着いた。彼らの表の顔ははぎ取られ、恐るべきカルト教団としての真の姿をあぶり出したのだった。

そして1933年のその夜が教団の終焉となった。ヒーローはCircle of Thronの黒魔術儀式の現場に現れ、彼らの魔の手から子供を解放し、そして教団の幹部と狂信者を捕らえたのだ。
一方ゾリア男爵と教団の最高幹部は算を乱して逃走した・・・彼らの安住の地オランベガへと。
しかしスーパーヒーロー達の追跡は迅速を極めた。
Dream Docterをはじめとするヒーロー達、そして魔術師や神秘学者らのグループはチームを組んで教団の犯罪を暴き、そして残った幹部のほとんどを捕らえることに成功したのだ。
このスーパーヒーローチーム「Midnight Squad」こそが今で言うSGの始まりである(そして現在まで続いている)ことは、ヒーローなら誰でも知っていることに違いない。

1933 年のこの晩から教団の勢力は大きく衰退を余儀なくされた。その後も数十年に渡ってスーパーヒーローチームとの小競り合いは続いたものの、地下都市から教団 もでることはなく、又ヒーローも彼らの本拠地である地下都市の秘密を解き明かすことが出来なかったため、時折教団が古代の秘宝の窃盗を目論んだ時以外は、 奇妙な小康状態が続いていたのだった。

しかしある日決定的な転換期が訪れた。
それは全くの偶然だった。異世界からの侵略者リクティが、その異次元のテクノロジーによってこの地下都市への入り口を発見したのだ。
ルーン文字による魔術的な防御も異次元のテクノロジーの前には無力だったのだ。
彼らによって魔術的防御が破壊されたことは、恐るべき結果を示していた。この地下都市・・・Circle of Thornの安住の地であり禍々しい魔力の源・・の入口が無防備に晒されたことを意味していたのだ。

ヒーローがこの地に攻め込んでくることが時間の問題と考えたゾリア男爵は、その脅威を防ぐため悪魔的な決断を下した。すなわち逆に地上へ侵攻し、強制的な 手法を用いて生け贄をさらい、狂信的な信者の獲得と強力な黒魔術の力を持ってその勢力を拡大することでヒーローを圧倒することを決めたのだ。
ゾリアの強制徴募隊はParagon Cityに次々と放たれ、教団の勢力は70年ぶりに大幅な拡大を遂げた。
ゾリアの狙いどおり今のところヒーロー達はこの教団の拡大に忙殺され、オランベガへの入り口を見いだせないでいる。
この成功の前にゾリアの野心は再び膨らみつつある。

罪のない市民を誘拐し、恐るべき黒魔術の生け贄に捧げるこのカルト教団は、今も多くの市民をその毒牙にかけている。そして彼らの召還した魔界の住人達は市街を跋扈し、市民を恐怖にさらしている。

だが彼らの恐怖は本当にそれだけだろうか?
いつかヒーローが彼らの本拠地である古代都市への入口を開いたとき、彼らはこの教団の真の姿を見ることになるだろう。

Official Background Story