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「なにも・・・聞かないんだね」
「・・・・・・」
「どうして、何も聞かないの・・・?」
「・・・私が理由を聞いたとしたら、貴方は私の傍にいてくれる?」
「・・・いや。」
「私が、拒否の言葉を伝えたら、貴方は私から離れていかないの・・・?」
「・・・・・・」
「貴方を、私に繋ぎとめておく言葉など・・・知らない」
 そういった、彼女の目から・・・涙がこぼれる・・・。
「この日が、来ることは・・・わかっていたのだから・・・わかっていたけど・・・」
 その後の言葉が続かない・・・。ただ、その言葉の続きを物語るように
彼女の涙が頬をつたう・・・。

「ダメね、涙を見せるなんて反則だよね。貴方は優しいから、こんな私を置いていけない」
 そういって、無理して笑っている彼女をとても愛しいと思う。
出来ることなら、彼女の涙を止めてやりたい・・・。
「大丈夫、大丈夫だよ。貴方の時は動き出したのだから進んでいかなければいけないよ」
 そう言って、優しく微笑む・・・。僕の決心がゆらいでしまいそうになる。
「・・・僕は・・・」
 僕が、言葉を言う前に彼女のやわらかい指が僕の唇をふさぐ。
「その続きを、言ってはいけないわ・・・」
 涙を浮かべながら・・・微笑む彼女。彼女の時は・・・もうはるか昔に止まってしまったのだ。
「貴方が大好きよ。朝が来たら、貴方は私のことを忘れてる。でも私は・・・貴方を想って
 来る事のない朝を待ちわびる・・・。」
目を伏せて、そうつぶやく・・・。深い孤独、癒えることのない闇
傷ついた魂を癒す彼女の仕事は・・・終わることがない。
どれだけの出会いと別れを繰り返してきたのだろう。
どれだけの人を癒してきたのだろう・・・癒してきた数だけ・・・孤独は増すだろうに。
彼女の・・・望みは・・・どんなに願ってもかなわない・・・。

「夢を・・・夢を見ていたの。幸せな夢、大好きな人の傍にいる夢。夢は・・・いつか  さめるもの・・・だよ・・・」
 
 
”さようなら”
 儚く微笑む彼女を残して・・・僕に朝が訪れる・・・。



歌の歌詞から、こんな台詞が浮かんできたので文章にしてみた(苦笑