恋詩物語 - I Love You, Baby -
夜の公園に2人の男女。
男はサラリーマン、女はOLって感じの服装。
逃げるように先に行く女、追う男。
マモル「待てよエリ」
エリ「離して!」
「人の話を最後まで…」
「最後まで聞いてりゃ余計腹が立つでしょ 」
「男が仕事を優先させるのは当たり前だろ 」
「それがどうしてしばらく会えないって話になるのよ! 昔のマモルだったら、どんなに忙しくても時間作ってくれた!」
「あのなぁ…、うちの会社が今どういう状況にあるか…。
どうやって生活していくんだよ」
「自分一人で生きてくつもり!?」
「そんなこと言ってないよ。二度と会えなくなるわけじゃないんだからさ。
俺にとって今が一番大事な時なんだ」
「マモル何にもわかってない」
「エリ、仕事が一段落したら…」
「マモルにとって今が一番大事な時期なら私にとっても一番大事な時じゃないの? その瞬間に私は一緒にいられないのね?
…さよなら」
---- 場所は運動場前。
マモルは一人グランドを見ていた。
そこへ老人(には見えないんだけど、設定上(^^;))が現れる。
老人「あの…、火を貸してもらえますかな」
「あぁ」
火が点かずに気まずそうにライターを貸すマモル。
返そうとしたが、そのままポケットにしまう老人。
「いやぁ、よく似ている」
「え?」
「今のあんたと同じような顔をして、タバコを飲む男がいたんだ。
あ、いやもう、はるか昔の、ここがまだ連兵場(?)だった頃の話だ。」
「はぁ…」「彼はここで付き合ってた女と別れた。
戦地へ向かう前の日、彼は兵舎を抜け出し女に別れを告げに行った。
見つかれば銃殺刑だ。
もう次に会うことはないとお互いにわかっていた。」
戦時中の竹やぶの中で抱き合う2人のセピア色の映像。
「離れようとしない女に彼は言った。
『もし生まれ変わっても必ずおまえを見つけ出してみせる。
来世で一緒になろう…』」
「迷惑だったな。退散しよう。」
「で、戦死したんですか?
その…俺に似てるとかいう人」
「生きて帰ってきた」
「じゃぁ、彼女と会って…」
「いやぁ、探さなかった」
「え?何で?」
「あの頃の東京はその日食べ物を得ることが、生きることがやっとだったんだ」
「そんなの変じゃないですか。どうして探さなかったんですか」
「さぁ…」
「その人のことを信じて、彼女ずっと待ってたかもしれないじゃないですか。
生活のことなんてどうだって…」
ハッとエリのことを思い出した表情のマモル。
「自分一人で生きてくつもり?」
エリの声が思い出される。
「あんたの言うとおりだ。
彼は復員してからしばらく生きとったが、そのことだけは後悔しておった。
なぜ探さなかったか…」
「もう二度と会えないのにな。
人間なんて勝手なものだ。
どんなに強い思いでも、時がたてば薄れていく。
誰だって、出会った時に別れることなんて考えやしない。
人生には決して見逃してはいけない一瞬がある。
それを失うと、後でいくら後悔しても二度と取り返しがつかない。
人生で、一度しかない大事な瞬間だ。」
「私にとっても一番大事な時じゃないの?」
「やっと見つけたのに、みすみす手放すのか?!」
走り出すマモル。
「…。」
煙草に火をつける。
「探したさ、もちろん。
だがもうこの世にはいなかった…」
取り出した写真はエリとそっくりで…
♪I Love You, Baby
「もし、生まれ変わっても…」
「もし生まれ変わっても」
走るマモル。
「もし生まれ変わっても、おまえを必ず見つけ出して見せる」
「来世で一緒になろう…」
「もう見つけてたんだ…」
いつもの待ち合わせ場所。
♪曲サビ前で止まる
「エリ!」
抱き合う2人。♪曲、サビから再び
その2人を優しく見ている先ほどの老人。
戦時中の服を着たエリとそっくりの女性が老人の横に現れる。
「やっと見つけてくだすったんですね」
「もう手放すものか…」
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇