REPORTAlone in the Dark : The New Nightmare
Dreamcast[海外]
2001年9月26日発売発売:Infogrames  開発:Darkworks  

  『バイオハザード』の原型として有名な「Alone in the Dark」シリーズに、 久々の(なんせ、最後の『Alone in the Dark 3』が発売されたのは1995年だった)新作が登場。


  主人公は、これまでのシリーズから引き継いでの怪奇現象専門の探偵「Edward Carnby」 (ちなみにその風貌は、黒髪に長髪という、「おじゃる丸」に出てくる「冷徹斎」みたいになってしまった)と、 古代インディアンを専攻している若き女教授「Aline Cedrac」の二人。
  「Shadow Island」へ乗り込み、謎の石版を探し出してそれを解読するというのが共同のミッションなんだけど、 Carnbyは先日Shadow Islandの浜辺で死体で発見された親友「Charles Fiske」の死因を調べて仇をとるという、 Alineは未だに身元が判明していない彼女の父親の影を追ってという、それぞれが個人的な目的を持っているという設定。
  二人の乗った小型機はShadow Islandに着陸する直前に何かに襲われ、二人はパラシュートで脱出。 Carnbyはどこかの木立の中に、Alineは巨大な洋館の屋上に降りて離れ離れになってしまったところで、 CarnbyかAlineどちらかを選んでゲームが始まる(内容的には、Carnby編をプレイしてからAline編をプレイした方がベター)。

  旧シリーズ当時の製作者は、 「次回作を作るときは大幅にリニューアルして、フルポリゴンで自由にカメラワークを動かせるようなものにしたいな」みたいな話をしていた記憶があるんだけど、 結局、今作は一枚絵背景+ポリゴンキャラクターという手法を踏襲している。
  ゲームシステムもこの系統としては非常にオーソドックスで、特に目立った特徴はない。 キャラクターの移動は十字キーによるいわゆるラジコン操作だし、Rボタンを押し続けると銃を構え、その時にAボタンを押すと攻撃。 下キー2回でその場で振り返る180°ターンもできたりする。

  そんな中での一番の特徴は、常に懐中電灯のON/OFFが可能で、アナログレバーでその懐中電灯の向いてる方向をグリグリと動かせること。 で、それに応じて、ちゃんと背景が明るくなるので、最初は「一枚絵背景なのにどーなってんだ!?」とかなり驚いた。 どうやら、光が当たってるときと、そうでない時のデータがあって、光が当たる部分はスポットのように光が当たってるときのデータを表示してるらしい。 これは実にナイスアイデア。 よって懐中電灯の光でできた影が動くことはないんだけど、背景の3Dデータがしっかりしてるようでなかなかリアルに見えるし、 背景そのものも十分に描き込まれているので、ノペーとしがちな背景にかなりの立体感・存在感が生まれた。 このお陰で、グラフィックは全体的にハイレベルな印象。一枚絵という手法が十分に生きていたと思う。 ただ、この仕様のせいか、視点が切り替わるときにはPSの同系ゲーム程度の間があって、若干テンポが悪いのは気になるところ。
  また、オカルト要素の消化の仕方も、国内のゲームに比べると格段に上手い。 現実的な部分とオカルト(SF、擬似考古学)的な部分のバランスが絶妙で、日本人と欧米人のベースにあるものの違いを感じる。 音関係の演出も上々なので、全体的な雰囲気作りは非常に上手くいってるんじゃないだろうか。

  ただいかんせん、どうにもゲームの作りに粗さが目立つ。
  その最たるのは戦闘。 一部のゾンビ系の敵キャラ以外は、結構動き回る敵が多いし、中には非常に素早くつっこんでくる敵もいる。 こういうゲームの形式上、動き回る敵を追いかけたり、 逆に追いかけられたりしながら戦闘するというのはなかなかキビしく、肝心の180°ターンの動きが重いのもツラい。 全体的に敵の耐久度は高めなんだけど、一度弾を撃ちこんだらそのまま撃ち続ければ概ねOKだし、 メニューを開けば瞬時にリロードできてしまうので、個々の戦闘にはイマイチ戦略性が感じられない。 ドアを開けたら目の前に敵がいるなんてこともあって、その配置も配慮不足。 さらに、前半の舞台となる巨大な洋館はマップ構造的にかなりムダが多いし、 その上、キッカケ不明で結構ホイホイと敵が復活する(極々一部なんだけど、理由も無いまま部屋に入る度に敵が復活するような場所があるもの頂けない)ので、 ちょっと効率の悪い進め方をすると、それだけでかなりの弾薬を消費してしまうし、ダメージも受ける。
  もっとも、このように構造的にムダが多くなってしまった原因は、前半はCarnbyとAlineが全く同じ舞台で行動しなければならないからなんだろう。 最初にCarnby編をプレイしてたときに「なんでこんなところに扉があるんだ?」と思った部分は、あとでAline編をプレイしたらそれが必要だったことがわかったなんてことも。 Carnby編は、鍵を見つけて扉を開けて行動範囲を広げ、また謎を解いて鍵を得て、というオーソドックスな形なんだけど、 Aline編は、鍵を使う部分はかなり少なく、Carnbyが開けたであろう扉を抜けていくという展開がメイン。 よって、いつの間にかドアの鍵が開いてたなんてことが頻発する上に、進行上全く入る必要がない部屋があったりと、特に理不尽な印象を受ける。 ストーリーは共通であっても、ゲームの展開としてはそれぞれ単独で成り立っているような作りにした方が良かったんじゃないかな。
  序盤が一番キビしいってのは、このテのゲームでありがちなバランスなんだけど、特にこのゲームの序盤はキビしい。 Carnbyの場合、最初から持ってる武器は非常に攻撃力が弱いし、Alineに至っては最初は武器を持っておらず、敵を避けて進まなければならない。 マトモに敵と戦ってるとすぐに弾が無くなってしまうし、体力回復薬の数も少なめ。 ある程度は、最初からやり直したり、リセットゲームをしたりせざるを得ないだろう。 その反面、中盤を過ぎて一度流れに乗ってしまうと、弾薬、体力回復薬ともに余りがち。 さらに、終盤では、弾薬が無制限に補給できる武器がゲットでき、体力回復薬も無制限に補給できるようになる代わりに、敵が延々と復活するような舞台になってしまう。 これは特に欠点でもないんだけど、なんであえてこういう仕様にしたのか、疑問ではある。
  謎解きは、一部に面白い仕掛けはあるものの、基本的に平凡で、詰まるような部分はほとんどないはず。 まぁ、『バイオ』よりはちょっとマシ、っていう程度か。
  ストーリー的には、人間関係のイベントシーンが全く盛り上がらないというのがイタい。 その原因のひとつが、ほとんどマトモに演技をしないその淡白なモーションにある。 表情が変化しなくても、モーションさえシッカリしてればそれなりに見れるイベントシーンになるというのは、 PS『クーデルカ』が証明済みなわけで、もうちょっとこだわって作って欲しかった部分だ。 もうひとつは声優のチョイス。 肝心の主人公二人が、どうも大根気味なんだよなぁ・・・。 Carnby編とAline編の話のザッピング具合はなかなか良くて、あとでAline編をプレイした時に、ナルホドとかニヤリとかさせられることも。

  最後に英語に関して。
  イベントシーンはフルボイスな上に字幕無しなので、かなりキビしい。 実は1箇所だけ詰まって、ネットで検索してヘルプを使ってしまったんだけど、その詰まった原因は音声でのヒントを聞き逃したからってのが判明した。 さすがに全くヒアリング能力がないとなると、難しいかもしれない。
  10数ページにもなるような文書(といっても字がデカイので小説のようなボリュームがあるわけじゃないけど)が結構ちょいちょい見つかってしまうのは良し悪しか。 確かに全てを読むのは骨が折れるけど、音声と違って、辞書を引けばなんとかなるんで、ストーリーの把握には随分と役立った。 謎解きに使うような部分は赤く表示されてるので、必ずしも全てを読む必要はないし。


  国内で発売して好評を得るには、もうちょっと丁寧な作りが求められるだろうけど、 システム自体はオーソドックスな上に、グラフィックは上々で、雰囲気も良いので、そういった作りが粗い部分を割り切ることができれば、それなりに楽しめるとは思う。
  ただ、せっかく「Alone in the Dark」という名前を持ち出してきたにしては、物足りなさが残る。 ゲーム的に独自色を打ち出すなり、恐怖を煽るような演出をもうちょっと考えるなり、あと一歩の味付けが欲しかった。

2002年1月28日記載