REPORTグランディア エクストリーム
PlayStation2
2002年1月31日発売発売:エニックス  開発:ゲームアーツ  

  「グランディア」としては3作目、ゲームアーツのRPGとしてはMCD『ルナ』から数えて5作目ということになるRPG。
  発売前からゲーム雑誌上では、自称“戦闘に特化したRPG”あるいは“ゲームであることに特化した作品”という発言があり、 企画としては、外伝的な意識が「Xtreme」というタイトルに込められているらしい。 ゲームの電源を入れると、ランダムでとあるダンジョンのグラフィックを流されてから、戦闘シーンが(ステータス関係は表示されないけど)が流され、 その間「PRESS START BUTTON」と表示されてるという、RPGでは非常に珍しいアドバタイズ画面が。 ここらへんにも、そういう意気込みが感じられる。


  新興国家ノーチスから再三「精霊暴走停止作戦に協力せよ」という要請があったものの、 幼馴染みのイヤなヤツ「クロイツ」からの要請ということもあって、拒んでいた主人公「エヴァン」。 そのエヴァンがとうとうノーチス軍に連行され、強制的に精霊暴走停止に従事させられるというところからゲームが始まる。 従来の街から街へ旅するという形のRPGと違って、終始、「ロッカの村」を本拠地にして、そこから各ダンジョンに赴くという形式でゲームは進行。 ゲーム開始直後にノーチスの軍人2人が仲間になって、最初のダンジョンが終わった時点でさらに4人が仲間にと、 早々に7人もメンバーになって、その中から4人のパーティを組んでダンジョンに乗り込むことになるというのも、 変わった作りだ(ちなみに、物語的な折り返し地点でもう1人が仲間に加わる)。

  まず、早々に文句を言わせてもらいたいのは操作性に関して。 キャラの操作にアナログスティックを使わせてるのに、8方向にしか動かせないってのはどういうこと? LRキーでの視点回転は健在なわけで、一応、360°に向けるようなシステムなはずなのに、なぜか視点回転させないと8方向にしか動かせない。 この操作のギャップは意外にストレスで、思ったように足場から足場に動けないことも。 この仕様も論外なんだけど、最低限、だったらだったで十字キーを使わせてくれよ。ムダに疲れる。
  ダンジョンでの視点はこれまでのクォータービュー的な俯瞰視点から、DC『エターナルアルカディア』のようなキャラクターの背後から見る視点に変化。 臨場感アップを狙ったんだろうけど、これも操作性が視点に追いついてない。 LRキーでの視点回転は、PS2の感圧式ボタンに対応してしまい、意図的にグイッと押し込まないと、マトモな回転速度が得られないというのがまずマイナス。 感圧式に対応したこと自体が疑問だし、これもだったらだったで感度の調整ができるようなフォローがほしかったところ。 んで、その視点が地形に引っかかりまくりで、特に狭いフィールドでは相当イライラさせられる。 カメラが地形に引っかかって、なかなか思った方向を向いてくれなかったり、主人公を追いきれなかったり・・・。 R2ボタンでいわゆるカメラリセットができるんだけど、 8方向にしか向けない(向きたい方向に向けない)上に、瞬間的にカメラが切り替わるという仕様なため、非常に使い辛い。
  ダンジョンの作りはソコソコ。 一応、それなりに立体的な構造にしようという意欲は感じられるものの、それがゲーム的に生きてるというレベルには達してない。 ビミョーにプレイヤーから操作を奪うシーンのテンポが悪いのも気になるところで、 全体の半分くらいを占める自動生成タイプのダンジョンの方が、地形的な面白みは圧倒的に欠けてるにも関わらず、プレイしていてまだ楽しかったりする。
  シリーズ通して評価が高い戦闘システムそのものには大きな変更はなく、 「IPゲージ」を軸に進行する戦闘は、相変わらず防御が重要だし、戦略的かつテンポが良い。 ここに関しては、数あるRPGの中でも最高の部類だと言っても過言ではないはず。

  変更が目立ったのは育成部分だ。 ちなみに、前作では戦闘と育成が分断されていて、 戦闘で特技ポイントと魔術ポイントという2種類の経験値を得(もちろん、それとは別に普通の経験値もある)、 前者を技と肉体系スキルの習得・強化に、後者を魔法と魔法系スキルの習得・強化に、自分で振り分けるという形だった。 今作でも、育成の軸が「スキル」「魔法」「技」の3つというのは変わらないんだけど、そのそれぞれに前作から大きな変更がある。
  一番分かり易いのは「技」。これは1作目に先祖帰りして、使えば使うだけ強くなっていくようになった。
  で、一番様変わりしたのが「魔法」。 「マナエッグ」を装備することでそのマナエッグによっての魔法が使えるようになるというのは変わらないものの、 今作では各個人はMPを持っておらず、MPも各マナエッグに設定されるようになった。 そして、魔法の強化はマナエッグ同士を合成することで行う。 例えば、レベル1のマナエッグ「フレア」と「ウィンド」を合成すると、 レベル2のマナエッグ「ヒート」が生まれるなど、組み合わせによってできるマナエッグはあらかじめ決まっている。 さらに合成時にランダムでマナエッグ内の魔法にが付与される「スペシャルフォース」なるものがある。 消費MPが半減する「MP」、威力が上がる「P」、HIT数が増える「H」、範囲が広がる「W」、発動時間が短くなる「S」、IPダメージが増える「IP」の6種類あって、 これによって魔法の効力が大きく左右されてしまうのに、かなりランダムなのが困りもので、リセットを使わないと、思ったように強い魔法を作ることはできない。 こういうシステムにするのであれば、もうちょっと合成の機会を増やすような工夫が欲しかったところ。
  で、一番複雑なのが「スキル」。 まず、スキルにはC、B、A、Sの4段階のランクがあって、スキルブックによって装備できるランクが決められている。 そして、心術、技術、体術、秘術の4種類の種別があって、それぞれに対応した敵を倒すことでスキル経験値が得られ、それによって装備しているスキルがレベルアップしていく。 例えば、Cランクのスキルだと、筋力を上げる「ストレングス」などオーソドックスなものが多かったり、上位のスキルとなると、 コンボ攻撃の回数が増えるとか、クリティカル攻撃が範囲攻撃になるとか、かなり大きな効力が得られたりと、スキルのバリエーションはかなり多彩。 この育成と組み合わせが今作のキモということになるんだろう。
  スキルや魔法の装備が変更できるのは「ロッカの村」でだけ。 基本攻撃、技の内容と共に、それぞれの装備できるマナエッグとスキルブックの数の違い(ただし、どのキャラクターも合計6つ)も、 キャラクター毎の能力の違いとして重要になっている。
  なるたけ敵を早く倒した方が得られるスキル経験値が多くなるし、 ノーダメージで敵を全滅させると「エクセレント」となって戦闘後に得られる通常経験値が増加するのは、 それぞれの戦闘にある程度の目的を与える試みとしてグッド。 MPを回復する手段がかなり限られてるし、 必殺技で戦闘を終了させると「必殺技フィニッシュ」となりスキル経験値が増加することもあって、今作の戦闘ではかなり技の占めるウェイトが高くなった。 ただ、スキルアップの為には弱いザコ敵をガンガン蹴散らしてるのが一番効率的ってのは、ちょっと理不尽な印象も受ける。
  前作の反省もあってか、魔法にしても技にしても演出はアッサリめ。 このこと自体は実に結構な話なんだけど、発動する機会が限られてる合体必殺技まで演出をアッサリにする必要はなかったろうに。 通常技や単独の必殺技に毛が生えたような演出なんだもんなぁ・・・。
  また、相変わらず、キャラクターが互いに向かって走ってきて、 お互いがお互いを避けようとしてあらぬ方向に2キャラが並走していく(で、攻撃しようとしたキャラが攻撃中断となる)なんてことがしばしば。 さらに、次の敵を狙おうと振り返ってる最中に敵のいない方向に攻撃しちゃうなんてこともちょいちょい。 もうひと調整、あるいは、そろそろ戦闘と移動のシステムを根本的に考え直す必要があるかもしれない。
  エンカウント(シツコイけど和製英語)関係では、 これまでのように背後から敵に接触すると不意打ちになり、敵がこちらに気付いてない状態で敵と接触すると先攻になるというんじゃなく、 ×ボタンで「構え」ができ、構えていない時に敵から接触されると不意打ちになるという形に変更された。 構えるにはワンテンポ時間がかかり、構え中には動きが遅くなるんだけど、ミニマップには敵のアイコンが表示されるし、危険度センサーみたいなものもあるので、 よっぽど気を抜いていない限り、不意打ちは食らわなくなってしまったし、どういう時にこちらが先攻になるのかという基準も曖昧に感じられる。 おそらく、ゲーム的にどうこう以前に、イマイチな操作性のフォローのつもりなんだろうけど(実際、この操作性で以前のまんまにシステムじゃ悲惨なことになったろうし)、 「構え」がローリスクすぎて、システムとしては練り込み不足の感がある。 構え中にはSPを消費するとか、もう一工夫欲しかったところ。 欲を言えば、一般的なアクションゲーム並の操作性を確保した上で、これまでのシステムを継承するのが良かったとは思うが。

  ストーリー関係はお粗末の一言。 いくら“戦闘に特化したRPG”とはいえ、こりゃいくらなんでもあんまり。 ストーリーの大筋がそこまで酷いとは思わないけど、とにかく脚本的な部分とその演出がお話にならない
  導入で、肝心要の精霊暴走についての説明とエヴァンの過去(クロイツとの確執の原因)が語られられず、 プレイヤーの主人公エヴァンとの同調を甚だしく阻害。 結局、上の2点は最後まで語られることがなく、このことはシナリオ全体のマズさを代表している。 とにかく、人物描写がずさん(特にノーチス軍側のクロイツ、ディーネ、スペクト)な上に、 世界観の描写もやっぱりずさん(精霊暴走、ノーチス軍など)。 RPGにとって、これらのことは時事説明以上に重要なはずなんだけど・・・。 例えば、エヴァンの始めのモチベーションを考えれば、精霊暴走とそれがもたらした惨状を示すことは非常に重要なことだったはずだし、 クロイツを最初から悪者ムード満点で描くのも、せっかくの人間関係&立場を台無しにしてる。
  主人公エヴァン以外は基本的に自由にメンバーを選択できるというゲーム形式が、ストーリー表現の足枷になってるというのも大きい。 よって、動きのあるイベントシーンやムービーではほとんどエヴァンしか出てこないし、 必要以上にエヴァンの突っ走りっぷり、自分勝手ぶりが目立つ結果となってしまった。 当然のように、このシリーズの特徴でもあった住人たちとの会話にもこれまでのような面白みはない。
  最近のこのテのRPGの流れは、“シームレス”その一言に尽きると思う。 なのに、このゲームではむしろその流れを逆行。 キャラデザ、ゲーム中のポリゴンキャラ、アニメ絵、CGムービー内のキャラ、全てがバラバラで、それぞれに与えられた役割を果たしていない。 これまでの『グランディア』や一昔前のRPGに大部分がそうだったような、 キャラクターとしてのひとつのイメージ(このシリーズの場合はアニメ絵)があって“通常ゲーム画面内のキャラは記号に過ぎない”という形と、 DC『エターナルアルカディア』などが体現した、“ゲーム中のキャラクターそのものがキャラクター”という形の間で、非常に中途半端な形で落ち着いてしまった。 イベントシーンではそれなりにカメラが動いて、キャラが演技して、時には音声が流れたりするものの、 表情の変わらないポリゴンキャラには何とも不釣合いで違和感アリアリ。 ゲーム中のキャラは総じて年齢不詳、建造物・地形などのスケール感も中途半端。 CGムービーはいわゆるハイエンドCGという位置付け(この発想自体が古臭い)で、パーティキャラの中でほとんど唯一の登場人物となるエヴァンは全くの別人。 そこで生まれるのはイベントのドキドキ感じゃなく、違和感、不釣合い感でしかない。
  思うに、こういうゲーム形式であるのなら、例えばPS『ベアルファレス』のように、 音声やムービーが無い代わりに、パーティの組み合わせによって多彩にテキストが変化するような形を目指すべきだったんじゃないだろうかね。

  とはいえ、それじゃあストーリー関係を除けば文句なしに優秀なRPGなのかっていうと、必ずしもそういうわけでもない。
  前述の通り、操作&視点の未熟さが第一。
  そして地味なポイントながら気になったのが、ユーザーに対する情報提示の下手さ。 例えば、メニュー内では、ステータス、スキル、魔法、それぞれが見たい並びにまとまってないことが多いし、装備しないとマナエッグに付いているSFが表示されない。 ショップであるアイテムを買おうとした時に今そのアイテムをいくつ持ってるかが表示されないとか、戦闘時でも、今誰のターンなのか、どの敵を狙ってるのか等が直感的にわかり難い。 それなりにRPGを作ってきたメーカーとは思えないくらい、イロイロな場面でその情報提示に拙さを感じてしまう。 また、これは前作からその兆候があったんだけど、使用しているフォントに統一感が感じられず、画面全体にも統一感が感じられない。 ゲージ関係の造形もどうにもムダが多い印象だし、アイコンを多用してる割にはそのデザインがイマイチでまとまりに欠ける。 どうにもこのゲームには、“機能美”という感覚が欠落してるように思えてならない。
  戦闘時の視点のマズさもその一環だろう。 基本的な問題点は、操作できない時にキャラクターに寄り過ぎなことで、周囲の状況が見えないことが多く、与えたダメージ数が提示されないままに敵を倒してしまうなんてことも多い。 自称“戦闘に特化したRPG”にしては情けない話だ。 もっと引いた視点にするのがベストだと思うんだけど、最低限、それを選択できるような仕様にするべきだった。 ボス戦でボスの体に遮られてキャラクターの位置がよくわからないなんていう状況が結構あったのも気になるところだったし、 ある程度視点をユーザーが自前で調整しながら進めるような戦闘にするべきだったんじゃないだろうか(LRで視点が回転できる、とか)。

  このゲーム最大の美点は、ロード時間のストレスの少なさかもしれない。 戦闘突入時、戦闘終了時の体感ロード時間は皆無だし、戦闘以外の部分でも、ロード時間をストレスに感じることは無い。 光ディスク系メディアのRPGとしては最もローディングのストレスが少ない一本なんじゃないだろうか。
  グラフィックは、まぁこんなもんじゃないかなぁ。 質的にはそれこそDCでも可能なレベルだし、PS2っぽいチラツキが目立つ部分もあるし、 大して見える範囲が広くないのに遠くでポリゴンがニョキっと生えてくるのが見えちゃうのは情けないが、その代わりというか、フレームレートは60fpsで安定。
  BGMは単品では悪くないと思うんだけど、肝心の場面とのマッチングがイマイチで、場違いに感じられることもしばしば。よって、印象には残らず。
  難易度は、さすがに前作よりはマシ。 ダンジョン内ではセーブできなくなり、体力回復ポイントもなくなった。 ただ、それでもザコ戦に緊張感があるほどではないし、今回はボス戦の直前にセーブする機会がないということもあってか、ボスもそんなに強くない。 また、特に人数の多さがモノを言う戦闘システムなもんで、戦闘のピークが序盤にあってそこを乗り越えると急激にテンションが下がっていくというのも相変わらず。 ボス戦では、ボスの手足をひとつ倒しちゃったら急にラクチンになってしまったりと、気になるところではある。もう一工夫してほしかった。
  クリア後に出現する100階建てのオマケダンジョン(こっちが本編という話も多々聞くが)も、マッタリとダラダラ続くという印象。 5階ごとに、ダンジョンから脱出する「出口」、次にそこからダンジョンに潜れるようにする「入口」、 HP・MPを完全回復する「回復」、レアアイテムを出現させる「アイテム」をチョイスするという仕様で、 つまり、5階(あるいは10階)潜って入口を作り、さらに5階潜ってダンジョンを脱出と、“3歩進んで2歩下がる”状態でゲームを進めることになる。 こういう形でプレイヤーに経験値稼ぎをさせるのではなく、プレイヤーが能動的に経験値稼ぎをするような作りにしてほしかったところだし、 そうするには、こういうエンカウント形式じゃなく、ランダムエンカウントにした方がベターだったようにも思う(肝心のロード時間は極めて短いわけだし)。 あと、せめて最後にはボスキャラを用意してほしかったなぁ・・・。


  “戦闘に特化したRPG”っていう発想は良かったんだけど、「それがなんでこうなるか?」な一本。 ゲームアーツの社長は、“RPGのゲーム性とストーリー性は水と油”みたいな発言をしてたけど、逆に、それをアリアリと感じさせるゲームになってしまっている。 本来は別に水と油ではないのに、わざわざ水と油なものを用意してゴチャ混ぜに、と。 “戦闘に特化したRPG”を作るということは、それ以外の部分はどうでもいいってことじゃなく、 それ以外の部分も、そういうものに合致するようなものが求められるということを肝に銘じるべきだろう。 また、RPGとしてより基本的な部分では、ロード時間のストレスが極めて少ないことは評価できるものの、 同じくらい重要であるはずの、操作感、情報の整理に拙さがあるのがイタかった。
  にしても、PS2で『ガングリフォン』『シルフィード』『グランディア』と、 ことごとく自らのシリーズを窮地に追い込んだゲームアーツに、果たして明日はあるのだろうか?

2002年2月28日記載