REPORT侍 〜SAMURAI〜
PlayStation2
2002年2月7日発売発売:スパイク  開発:アクワイア  

  『天誅』シリーズを作ったんだけど、『天誅弐』開発中に無断で権利が譲渡され、 『天誅参』の開発からは外されてしまったというアクワイアの最新作は、戦闘と移動がシームレスに行われる自称“本格時代劇アクションアドベンチャー”。


  舞台は明治10年。 昔から一帯を仕切っている武家の「黒川家」と、明治政府打倒を目指す浪人侍の集まり「赤玉党」が対立している「六骨峠」に 浪人侍の主人公がフラリとやってきたところからゲームがスタート。 黒川家に立ち退きを迫られてる宿場の住人や、侍を時代遅れのものと考える明治政府の役人が絡んでストーリーが進行していき、 プレイヤーの自由な行動が物語を変化させていくというのが、一応、このゲームの最大のウリだったはず。
  その特徴は、2日間という限られた時間を何度も繰り返して遊ぶというプレイ形式にある (N64『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面』のADV的な部分を想像するとわかり易い)。
  六骨峠は意外に狭く、「黒川家の屋敷」「赤玉党本拠地」「宿場」「一本松」「橋」「神社」「鉄道」「高炉」という大して広くもないステージ7つ分で、 各ステージから違うステージの移動するときのロード時間の長さにまずゲンナリ。 大して広くもなく見所もないのに、ステージからステージに移動するだけで、いちいちかなりのロード時間がかかる。 こういう作りにするのであれば、それほど作りこまれて納まりが良いっていうステージでもないんだから、 ステージとステージを繋ぐ部分にムダな空間を作り、データを先読みして体感ロード時間を減らすような工夫が必要だったろうし、その余地もあったはず。 メディアがCD-ROMなことも足を引っ張ってる。

  アドベンチャー部分の不満点は、期待していたほどの自由度はないということだろう。 「黒川家」「赤玉党」以外の普通の住人がほとんどおらず、店がひとつしかない宿場はほとんど廃墟状態。 細かいイベントはちょいちょいあるんだけど、話的には大した分岐がなく、イベント同士の関連性も極めて低い。 ちゃんとした時間軸が存在するわけじゃなく、あるイベントをこなすと時間が進むという形式なのも肩透かしで、これじゃ普通に分岐のあるADVと大差ない。 最後には大まかに3つの路線を強制的に選択させられ、エンディングも大まかには3種類(一応、全6種類)しかないわけで、 辻斬りができるのは確かだけど、結局、それに終始するような2日間は過ごせないとうことになる。 物語に干渉せずというエンディングの選択肢がない分、非常に窮屈な作りになってしまったのだと思う。 辻斬りはできるというだけで、それがストーリーに大きな影響を与えることはない。 ウィザードリィじゃないけど、GOOD or EVIL、LAWFUL or CHAOSのような二つの評価軸を用意して、 それによって主人公の立場、話の流れが変わっていくような作りが求められたろうし、 もっとリアルタイム性を高めた、黙ってると時間が過ぎていくようなゲームにすべきだったんじゃないだろうか。 2日間という極めて短い期間に区切ったのだから、もうちょっとマシな自由度を設けることができそうなもんだが・・・
  なんで見知らぬ(事もある)鍛冶屋に「悪者をやっつけるから手を貸してくれ」と急に頼まれるんだ?とか、イベントの関連性に説得力が欠けてるのもイタい。
  イベントシーンのスキップができないことを不満点に挙げる声も大きいようだけど、 それ以前の問題として、主人公が介入できないイベントシーンが多すぎることの方にまず問題があるように思う。 もっとリアルタイム性を上げて、主人公が動けたり話への介入できたりする部分を可能な限り多くするべきだったろうし、 その上で、主人公が干渉できないイベントシーンはスキップ可にするような仕様が必要だった。

  主人公の戦闘能力は、完全に刀の性能に依存。 40種以上あるという刀は敵を倒すことによってゲットでき、それぞれに使える技が違って(脇差、片手刀とか大まかな種類があって、ほとんどの技はそれで決まっている)、 同じ刀を使い続けると急に技を憶えていったりもする。 それぞれの刀には、体力ボーナス、攻撃力修正、防御力修正などがあり、 敵を倒したときにときおり出現するアイテムによってそれらは上昇、その刀を装備している状態だと主人公の能力が上下することになる。 で、エンディングを迎えれば最大3本まで所持できる刀はストックされ、次回ゲーム開始時にはそれを持ってゲームを開始することができるので、 要するに、「不思議のダンジョン」シリーズのような感覚で刀を強化していくことがゲームを進める上でのポイントになってくるわけだ (ちなみに、ゲーム開始時に刀をチョイスすると、ストックからはその刀はなくなってしまい、ゲーム中に死亡したりリセットしたりするとその刀はなくなってしまう)。

  操作は、左スティックで移動、×でジャンプ、□で小技、△で小技、R1でガードというのが基本。 右スティックがカメラ操作に割り当てられてるのは良いんだけど、そのレスポンスが芳しくなく、地形にカメラがひっかかったりするし、 カメラを上下に動かしても勝手に元に戻っていってしまうという仕様も謎な上に、カメラの回転方向の左右を設定で逆にすることができないのも極めて不親切 (先にプレイしていた『グランディアX』では逆に設定してプレイしてただけに、結局慣れきることができなかった)。 また、屋内などで固定される視点も芳しくないし、 そういうシーンではレバーを入れて続ければ視点が変わってもその方向に進み続けるという仕様が中途半端に適用され、瞬時に思った方向に進めないことも。 特に戦闘時にはネックになることが多い。
  戦闘での剣技のモーションはなかなか良くできてて、戦闘がメインになってるゲームにも見劣りしない。 そして、戦闘のシステムにはこのゲームなりの工夫が見られる。 一番の特徴は、「崩し」というテクニックで、小技をガードさせた(した)時にレバーを相手方向や相手と逆方向に入れることで、 相手のことを押し込んだり、押し込んできた相手に対して引いたりすると、相手の体勢が崩れて大きな隙が生まれる。 大技はそのまま出してもまずガードされてしまうので、崩してから大技、というのがひとつの流れになってくるというわけ。 お互いに押し込むと攻撃側が勝ったり、攻撃側が連続攻撃を出せば防御側の崩しは無効化されたりと、この崩しもやや攻撃側優位のシステムだし、 刀を使わない打撃系の技はダメージが低いながらもガード不能だったりと、全体的に攻め手有利なんだけど、 刀には耐久度が設定されていて、一方的に攻め続けられないようになっているし、相手の攻撃がヒットする直前にガードボタンをチョンと押すことで、 『ストリートファイター3』のブロッキングのようなことができたりと、結構イロイロな攻防の形があって楽しめる。 ちなみに、一発の攻撃力はかなり低めに設定されていて、敵を打ち上げてからの空中コンボが大きなダメージ元だったりと、対戦格闘ゲームのようなバランス調整になっている。 本編と別に用意されている対戦モードが結構楽しめる内容になってる一方で、 本編では(特に刀が弱いうちは)ザコ相手にもバッタバッタと斬りまくるとはいかないので、侍っぽさというか刀っぽさという意味ではマイナスか。 ザコ戦とボスクラス相手の戦闘に、もっとメリハリが欲しかったところ。
  と、1vs1の範疇では、なかなかよくできた戦闘と言えるんじゃないだろうか。
  ただそれが、ゲームの大部分を占める多人数戦ではかなり未消化になってしまっている。
  一番頂けないのは、CPUが勝手に相手をチョイスして、勝手に1vs1の形にさせられてしまうこと。 距離が離れたりすると、CPUによって勝手に相手が変更されちゃうし、その変更を制御するような操作は無し。 R2を押しながらレバーでいつでも自由に動けるんだけど、それを使っても狙った相手をターゲットにするのは難しく、 多人数を相手にするときは、画面上のどの敵を狙ってるのかハッキリとは分かり難いことがあり、思ったような技が出ずにイライラさせられることも。 で、1vs1の形になったら周りの残りの敵は何をしてるかっていうと、その戦況を見守ってるだけで全く攻撃してこない (勝手にターゲットを変更させられ、その瞬間にその相手から斬られたりなんてことは多々あるが)。 多人数相手を想定しているような技もほぼ皆無。 要するに、1vs1の形を繋げただけのゲームで、1vs多、多vs多として面白みのある戦闘にはなってないということになる。 多人数を相手にしても全く威圧感が感じられないのは、こういうゲームとしては痛恨で、戦闘にメリハリが感じられない一因になってるように思う。 最低限、ある程度狙う相手を自分で決められるようなシステムが必要だろうし、 本気で多人数を相手にさせたいのであれば、こういうロックオン的なものに頼らない内容にすべきじゃないかな。

  グラフィックはまぁ平凡。 人物のモデリングは悪くないけど、背景ではかなりギザつき・チラつきが目立つところも。 描画される範囲もそれほど広くないけど、その分、フレームレートが高く安定してるのは良い。
  音楽はなぜか非常に無国籍風で、場違いな印象を受けることが多かった。 純和風は難しいにしても、せめて和洋折衷風に止めておいてほしかったところ。 そもそも、水戸黄門にも出てこないような、 アフロ黒人侍金髪娘チャイナドレス侍も、本格時代劇を語るなら必要なかったろうに (ホントにその二人だけが浮いてるし、そういうキャラである必要性も皆無)。 体力回復手段が大根やキノコの拾い食いしかないってのもアレだし、 舞台の雰囲気作りにどこまで本気で取り組んでるのか、かなり疑問が残る。 『天誅』と違って、海外ウケが狙えるような題材じゃないだろうしさ・・・。
  音声は、「あぁ」「ハァ」「おぉ」くらいのが挿入される程度。 「フルボイスにしてくれ」って話もあるようだけど、さらにテンポが悪くなる恐れがあるので、これには賛成できない。
  クリアするごとにプレイ内容にしたがってGPなるポイントが得られ、 その累計ポイントによって、キャラクターのコスチュームや、対戦モードでの使用キャラが増えていき、 全ての要素を出現させるとなると相当なプレイが必要になる。 そういう意味じゃやりこみ要素は十分と言いたい所だけど、なんせ本編がカッタルイので、それほどやりこむ気にはなれず。

  一部にバグ報告があることにも一応言及しておきたい。 ステージから移動できなくなってリセット→成長させた刀がロスト、という話を結構聞く。 まだ詳細がわからないので、そういうバグなのか、ソフトとハードの相性によるものなのかは未知数だが。


  ゲームとしての発想・題材に、 作り手の力量・(プログラミング的な部分以外のも含めた)技術力が全く追いついてないという迷作。 企画としてはチャレンジングだったけど、 あくまでもゲームとしてマトモな形になった時点で初めて評価される程度のものであって、目指しただけで評価できるような目新しさがあるわけでもない。
  また、このゲームの理想の形とは別に、現状としては、刀集めという部分に面白さを見出せないとツラいゲームになっている。 でも、その刀集めが、長いロード時間とスキップできないイベントシーンによって、非常にカッタルイものになってるのが致命的だ。

2002年2月12日記載