REPORTShadow Man
Dreamcast[海外]
1999年12月6日発売発売:Acclaim  

  アメコミが原作でPCからの移植モノらしい、ダークな雰囲気の3Dアクションゲーム。


  主人公の「Mike LeRoi」は32歳の黒人男性。 かつて、ギャングの金を盗み、それで小さな弟「Luke」の手術代を払ったり両親に贈り物をしたんだけど、 ギャングからその報復として家族全員が旅行中に銃撃され、幸か不幸か、Mikeだけが瀕死の重傷を受けながらも生き残ってしまう。 そこから、紆余曲折を経て、彼はブードゥーの力を備えて現実世界(Liveside)と死の世界(Deadside)を行き来する「Shadow Man」となる。
  ある日、彼のマスターでブードゥーの女司祭である「Mama Nettie」が、将来、ハルマゲドンが起こるという予知的な悪夢を見る。 その背後にDeadsideの5人の凶悪連続殺人犯の魂があるのを見て取ったNettieは、Shadow Manに、 それそ阻止するべくDeadsideに向かうように指示を出したのだった・・・というのが、話の大まかな導入(なハズ)。

  アクションのベースは『トゥームレイダー』に近い。 視点は主人公の真後ろに固定されており、アナログスティックで前進後退&左右旋回、そしてR+レバー左右で左右平行移動。 また、近くに敵がいるときにRボタンを押すと、ロック状態になり、その敵を中心に動くようになる (ただ、捕捉力はさほど強くなく、『ゼルダ 時のオカリナ』のようにその敵をガッチリと画面中央に捉え続けられるわけじゃない)。 主人公のメインウェポンは銃で、ある程度、自動的に敵を狙ってくれる。 足場の淵にぶら下がってから「うんしょっ」と上に上がるという、お馴染みのアクションもあるし、 淵に掴まったまま左右に動けたり、そこでジャンプボタンを押すことで真後ろにジャンプできたりも。 直前にプレイした『MDK2』と比べると、周囲を自由に見渡すことができない(ちなみに、十字キーの上で主観視点モード)ので不自由さを感じたものの、 好きなタイミングでジャンプできるその操作感覚は『トゥーム』よりも遥かに軽く、 視点が背後に固定されている分『ソウルリーバー』よりも操作感はひと回りくらい良い印象。遊び易い。
  操作面で不満点は、180°ターン的な操作が用意されていないことくらい。 前述の通り、敵ロック状態の捕捉力が弱いので、常に敵を中央に捉えながら戦闘を続けることは難しく、敵から逃げるような場面もちょいちょい生まれる。 となると、そこから反転してすぐに反撃できるような操作が用意されてないってのは、不親切に感じられた。

  一方、ゲームの形式としては『トゥームレイダー』のようなステージクリアタイプではなく、 どこかで新しいアクションを得、それを用いることで行動範囲が広がっていくというタイプ。 自分が最近プレイしたゲームだと『ソウルリーバー』なんかに近い。
  主な舞台となるDeadsideでは、「Paths of Shadow」という細めの通路が全体に配置されていて、そこからイロイロなステージへの入り口がある。 各ステージの広さはかなりのもので、一応、先読みがされてるらしく、ステージ内での読み込みは皆無な一方で、ステージからステージへの移動時のロード時間は相当長め。
  当面の流れとしては、各所にある「Dark Soul」というアイテムを集めていき、一定数のDark Soulを集めるとShadow Manの「Shadow Level」が上昇。 Paths of Shadowには、Shadow Levelに応じて開けることができる扉が点在しているので、Shadow Levelが高くなるにつれ、行動範囲が広がり、新たなステージへ行けるようになる。 また、基本攻撃となる「ShadowGun」はボタンを溜めることによって攻撃が増すんだけど、その溜め時間の長さはShadow Levelに依存。 つまり、攻撃力アップも兼ねているということになるわけだ。
  それ以外にも、ブードゥーの武器を得ていき、それを用いることによっても行動範囲が広がるし、 3つの寺院で炎に対する耐性が3段階に上昇する(まず燃えている手すりにも掴まれるようになり、そして炎の床の上を歩けるようになり、さらに火の海に潜れるようになる)ので、 これによっても行動範囲が広がる。 後で手に入れた手段を最初の方のステージで使うなんてことも多々あるので、できれば、最初から何か気になるものがあったらメモしながらゲームを進めるのがベスト。
  非常に広い上にゲーム中にマップが存在しないんで相当迷うと思うけど、 Paths of Shadowと各ステージとの繋がりが同梱のマップに示されているのが救い。 Shadow Levelによって開く扉や、各アイテムの大まかな場所も示されているので、大いに役に立つ。

  戦闘は若干淡白。 攻撃を受けた後の無敵時間がない代わりに、単発のダメージは控えめだし、 敵を倒すと僅かながらも体力が回復する「Lifeforce Energy」というアイテムが出現することもあって、 動き回って撃ってれば大抵なんとかなってしまう。戦闘そのもので窮地に陥ることは滅多にない。 ボスクラスの敵もその攻撃に全くと言っていいほどヒネりがないので、そこまでの面白みもない。
  また、即死的なトラップもほとんどなく、ジャンプアクションが特にシビアなわけでもないし、謎解き要素もそんなに強くないんで、 地形の把握というか、迷路的な部分に一番のウェイトがあるということになっている。 そういう意味で、立体的になかなか作りこまれている各ステージの作りは上々。 Paths of Shadowに代表されるように、全体的にちょっと入り組みすぎの感はあったが。

  難易度的には比較的遊び易い部類。 ステージからステージへ移動しなければ、一度倒した敵が復活することもないし、 もし死んでしまっても、敵やマップ等の状況が保存されたまま、そのステージの復活ポイントからやり直しになるだけ。 必要以上にマップが入り組んでて、行ったり来たりがちょっと多すぎる感じはするものの、まぁ許容範囲。

  そんなこんなで、ゲームとしては、それなりの佳作といったところか。 ただ、総合的な雰囲気作りが秀逸だった。

  例えば、MikeがLivesideからDeadsideを行き来するときに使うアイテムは「Luke's Teddy Bear」。 弟Lukeの形見である、手足がもげ、お腹から針金が飛び出してたりするクマのヌイグルミで、死んだ弟に対する強い想いが彼とDeadsideを繋ぐ鍵ということらしい。 これを使用したときにどこからともなく聞こえてくる男の子の声がちょっとコワい。
  Deadsideでは、“ノッペリとしたゾンビ”という外見をした死者の魂が序盤の敵。 うめき声を上げながら近づいてきて、銃で撃って倒すと、思いっきりのたうちまわりながら叫び声を上げ死んでいく。 Paths of Shadowや各種寺院も非常に雰囲気があって良いんだけど、本番は、全ての殺人者と狂人の魂が収容されるという「Asylum」の城と、 5人の凶悪連続殺人犯が復活(?)したLiveside側のステージだろう。非常に凄惨。ブラッディ。 Asylumは、Deadsideの他の場所と違って機械的な仕掛けもありながら、サイコで陰鬱という独特な雰囲気。 敵もただの死霊ではなく、チェーンソーや銃を持ってたりとかなり敵対的。 Livesideは一応現実世界とは言うものの、首のない死体がゴロンゴロンころがってる刑務所であるとか、かなり尋常ではない状況。 共に、壁のラクガキ、たかってるハエ等の小ネタ的な描写も凝ってる。
  グラフィック同様、音関係も非常に上手い。 不快音を取り入れながら、子供の泣き声や笑い声、叫び声が入り混じったようなBGMだったり、 賛美歌であるとかピアノソロが流れ出したりするのも、舞台が舞台なんで余計に不気味。
  単に残虐なのではなく、ちょっと品があるというか、サイコで雰囲気のある描写なのがグッド。 精神的な圧迫感という意味では、初代『サイレントヒル』なんかに通ずるものがある

  最後に、意外に苦労させられた英語に関して。
  元がアメコミということもあってか、それなりに設定が凝っているので、パッと見シンプルそうなゲームなのに、説明書の英語量も若干多め。 また、ゲーム中に手に入る3冊の本系アイテムも結構な文章量で、あからさまにヒントなところ以外は無視してしまった。
  さらにキビしいのがイベントシーン。 一応字幕付きなんだけど、実際のセリフと字幕のテンポがビミョーにズレてることが多い上に、 英語そのものが、聞きなれない単語が多かったり、ヘンな訛りがあるキャラクターがいたりと、 自分でもビックリするくらいに頭の中に入ってこなかった。 「英語を100%理解してればもうちょっとスムースにゲームが進行したんだろうなぁ」とは思うものの、 逆に言えば、それでも普通にプレイできる程度の難易度ってことでもあるか。


  ゲームとしての独自性っていう意味では、『ソウルリーバー』ほどじゃないけど、3Dアクションゲームとしてなかなか良くできてると思う。 さらに、その強烈な世界観が思いっきりツボにハマってしまい、穴馬的に非常に楽しめた一本だった。

2002年2月21日記載