REPORTガンヴァルキリー
Xbox
2002年3月21日発売発売:セガ  開発:スマイルビット

  最初は、ガンコンと通常コントローラーを併用するDCのゲームとして企画されてたタイトルで、 企画内容、ハード共に変更されXboxで登場ということになった。


  左スティックでキャラクターを操作、右スティックで視点操作という話を聞いたときには、 DC『MDK2』のようなFPSに近いタイプのアクションシューティングを想像していたんだけど、その想像からはかなり別モノだった。
  左スティックの左右は、左右平行移動ではなく左右旋回になってるし、 右スティックは、キャラの移動には基本的に関係のない視点操作&照準操作(特に左右は照準操作の意味合いが大きい)。
  その上、このゲームの特徴は、左スティック、右スティックのクリック(PSデュアルショックでいうL3、R3ボタン)を多用することにある。 最重要操作は、左スティックを倒しながらクリックで行う「ブーストダッシュ」。 前後左右にダッシュする操作で、空中でも可、というか、空中でのブーストダッシュが何より重要。 右スティック+クリックで行うターン(左右+クリックで90°、下+クリックで180°ターン)、 さらに、両スティックを同時に押し込むことで発動する「GVナパーム」も、中盤以降、重要な操作になってくる。
  で、Rトリガーでショット、Lトリガーでジャンプというのが基本操作。
  攻撃は、視界内に敵がいればアバウトに敵をロックオンしてくれる仕様で、敵を細かく狙っていくゲームじゃない。 ここらへんも一般的なFPSとは違うところ。
  そのプレイ感覚は、むしろ『パンツァードラグーン』『罪と罰』なんかの アクションシューティングに近い(というか、その延長的な)ものがある。

  自分は、どうしてもFPS的な感覚が抜けきれず、とにかくこの操作感に慣れるまでが一苦労で、 最初のウチは相当にイマイチな印象だった。 が、慣れていくにつれ、その面白さは二次曲線的に増大
  ちなみに、プレイヤーキャラは「ケリー」と「サブロウタ」の2人。 一応、機動性重視で初級者、中級者向きのケリー、攻撃力重視で上級者向きのサブロウタということになってるんだけど、 ボス戦ではケリーしか使用できないということもあって、とりあえず1周目はケリーでプレイするような形になってるんだと思う。
  デモプレイを見ると分かるように、このゲーム、地上に張り付いて攻撃するのは相当にキビしく、 敵がいたらまず空中に跳び、敵の届かない上空から銃撃、殲滅するのがメインになっている。 まず、ここを理解するまでが第1過程。
  で、中盤のボスを倒すとケリーがパワーアップし、空中GVナパームをゲット。 これは、シューティングゲームでのボム的な存在である地上GVナパームとは違って、 好きな方向に突進する攻撃で、通常ジャンプよりも高さが稼げるのが最大のポイント。 徐々に、空中GVナパームで上空へ→ブーストコンボを繋げて「GVフュエルゲージ」(GVナパームを出すのに必要)を溜める→空中GVナパームでまた上空へ、 という流れで、空中に浮き続ける時間が長くなってくる。 ここが第2過程。
  さらに終盤には、ブーストコンボを25回繋げることで一定時間無敵になることを利用していくことになる。
  ラスボスを倒す頃には、相当空間を自由に動き回り、ターンも駆使して敵を殲滅できるプレイスタイルが確立。 クリア後に、今度はサブロウタを使ってプレイするでよりそのスタイルが洗練されていく。
  最初見たときは「なんじゃこりゃー」と思ってたデモプレイのようなプレイを、 いつの間にか実際に自分もプレイしているようになってるあたり、まさに初代『ジェットセットラジオ』の再現だった。

  世界観も操作法に負けず劣らず独特。 1835年のハレー彗星大接近の時に「ハレー・セル」というエネルギーが降り注ぎ、そこから今の現実世界とは違った方向に世界が発展していったもうひとつの世界が舞台。 世界はハレー・セルからエネルギーを抽出することに成功し、1906年というゲーム開始時の時点で既に宇宙を開拓する文明レベルに到達しており、 プレイヤーの二人はハレー・セルとの接触により超人的な力を得てしまった「ハレー超人」という設定になっている。 大英帝国の殖民惑星のひとつ「ティルナグ」で、突如開拓民が消失、その代わりに巨大な蟲が異常発生。 その調査に、世界中のハレー超人を集めた軍事組織(特殊警察みたいな感じ)「ガンヴァルキリー」から二人のハレー超人が派遣された、という感じでゲームがスタート。 ティルナグで起きている異変の背後には、4年前に失踪した、 最初のハレー超人であり、ハレー・セルのエネルギー化を実現した天才科学者である「ドクター・ヘブル」の影が・・・というストーリーになっている。 ちなみに、プレイヤーの上司にあたる「ミリディアン・ポゥ」中尉は、ドクター・ヘブルの娘で、 ドクターはその体と一緒に失踪、現在は首だけが生命維持装置に埋め込まれて生きているというキャラ。実にサイバー。
  オープニングとエンディングを除けばイベントシーンは皆無に近く、 ストーリーの大部分は、ブリーフィングメニュー内の「POE'S REPORT」にゲームが進む毎に追加されていくポゥ中尉からの報告テキストがメインとなる。 ストーリー要素の強いゲームではないけど、その退廃的で陰鬱な雰囲気は上々。
  しかし、オープニングとエンディングの字幕はちょっとハショりすぎなんじゃ?   英語音声の内容とにギャップすら感じる。

  BGMも、単純に“○○風”とは表現し辛い独特なもので、個人的には結構ツボにハマった。
  一方で、SEは意外に弱いか。特に攻撃のヒット感が弱いのが残念。 エフェクト、SEを工夫すれば、もうちょっと破壊の爽快感が得られたように思うし、 一部のボス戦ではこのヒット感の弱さが、攻略をヘンに難しくしてる感も。
  グラフィックは、序盤こそ“思ったほど広い空間じゃないな”って感じだったものの、 後にかなり広い空間が出てきたり、ワラワラと蟲が湧いてきたり、 その割には処理落ちがほとんどなかったりと、やはり現状の他ハードでは再現が難しいかもしれない。 質良く細かく描かれていて、十分以上に美しいけど、絵的にこれまでのハードと異質の感動が得られるようなもんではないか。 一番奥になる一枚絵の背景がなんだか絵っぽいタッチなことが、印象を悪くしてる感じも受けた。
  プレイヤーキャラに代表される各種メカや、敵クリーチャーのデザインは上々。
  その一方で、ポリゴンじゃない部分のデザインは芳しくない。 メニューの全体的なデザインはまだしも、ゲージ関係には洗練の余地があるように思う。 さらに、フォントの使い方も疑問で、ベースとなるフォントの形自体は結構なんだけど、 その装飾が上手くなく、ステージ開始前のロード時間に表示される一枚絵のステージ名とか、非常に安っぽい。 説明書のデザイン&構成も無難すぎる作りで、せっかくの独特の雰囲気を生かしきれてないのが残念だったな。

  一部にキーコンフィグの要望があるようだけど、その必要は無し。 というより、このゲーム内容を維持したままでは、その余地が無いように思う。 例えば、左スティックを前進後退&左右平行移動と設定できるような内容ではないわけで。 ただし、上下操作を逆転できるようなオプションは必要だったろう。 これはキーコンフィグとは別問題で、視点を上下に動かすゲームではこのオプションは必須としてもらいたいところ。

  そして、新しい発想から生まれたゲームだけに、ゲームとして粗さがあるのも確か。
  肝心のブーストコンボによるパワーアップ、特に最後の無敵化は必要なかったろう。 このお陰で、攻略性が弱まってしまってる部分が多々ある。さらに、このブーストコンボがスコアに関わってくるのも×。 高得点を得るためにはブーストコンボを繋げなくちゃならず、結局、ブーストコンボが途切れてしまうドライブガンを使わなくなってしまう。 共に、プレイヤーにブーストコンボを使わせるとっかかりになるという意味では必要だったんだろうけど、ゲームを通して考えてみた場合、マイナスになってしまったと思う。
  ジャンプやホバリングを挟むとコンボが途切れてしまうという仕様にも不満アリ。 特にホバリングは暴発し気味で、ゲームに慣れてからのコンボが途切れてしまう原因は、ほとんどがこのホバリングの暴発にある。 思うに、ホバリングは標準で行える特殊移動行為というより、完全に武器に依存した能力とした方が良かったんじゃないだろうか。
  空中GVナパームをゲットしてからは、第3の武器であり特殊移動能力を持つプラズマフックの必要性が皆無になってしまい、 ゲームを通して、ほとんど生きる機会がなかったのも残念なところ。
  まとまめると、ブーストコンボは純粋に移動能力にしてしまった方が良かったと思うし、 もっと武器の使い分けが重要なゲームにしてほしかったということになる。
  また、依存度が高い割に使い勝手の良くないマップもマイナス。 “敵を殲滅しろ”というミッションが多いので、 どうしても、ちょいちょいとゲームをストップしてその敵が表示されるマップを見なければならず、ゲームのテンポが悪くなってしまっている。 その割に、自分がいる区画のマップしか見れないし、敵との上下関係が表示されないので、あまり使い勝手が良くない。 次作があるのであれば、マップは廃止し、常に表示されているレーダー的なものを希望。
  頭上が開けてるマップでは、意外にステージが高さ的に狭く、頭上に透明な壁を感じてしまうのがいただけない。 空中GVナパームをゲットして、空中を自在に飛びまわれるようになってからならまだしも、そうなる以前にも頭上の透明な壁にぶつかってしまうことがあったのは残念だし、 各ボスステージでの高さ的な狭さ(しかも、透明の壁という形での)も気になるところだった。
  操作に慣れるまでのハードルの高さと、ボス戦での攻撃が有効な状況・基準のわかり難さだけが問題であって、 実は、ゲームそのものの難易度はそこまで高くないんじゃないかという気も。 結局、制限時間のあるミッションでその制限時間を超えたことはなかったし (単純にダメージで死亡というのはあったけど)、体力回復アイテムも一度も購入しなかった。 さらに、(これは優秀なゲームであることの証でもあるんだけど)一度クリアして2周目をプレイすると、最初から最後までかなりラクチンになってしまう。 むしろ、もっと敵の攻撃が激しいハードモードが欲しかったな。


  とはいえ、アクションゲームでここまで熱くなったのは、初代『ジェットセットラジオ』以来だった。 恐るべし、スマイルビット。 ゲームに慣れてきてからもしばらくは「それでもFPS的な操作系にした方がベターだったんじゃ」と思ってたものの、 終わってみれば「これはこれで良かったんじゃないか」という気がしてきた。 慣れきってしまえば、まさにパッケージ裏に書いてある通りの “高機動全方位型アクションシューティング”が姿を現すことになる。 まさに、今は亡きXboxのキャッチコピー“アドレナリンブースター”の具現化だ。
  ただ、『JSR』とは違い、その敷居の高さは独特の操作方・操作感にあるので、 さすがにアクションゲームが苦手な人には薦めにくい。 まぁ、こういうゲームにした以上、極端に敷居を下げることもできなかったろうし、意味のある間口の狭さだろう。

2002年3月28日記載