REPORTジェットセットラジオフューチャー
Xbox
2002年2月22日発売発売:セガ  開発:スマイルビット

  2000年6月にDCで発売され、発売前の雑誌レビューでの評価はそれほどではなかったのに、 「アクションゲームの復権だ」くらいの勢いで、強固な支持層を生み出した『ジェットセットラジオ』の続編。 (とりあえずは)このためだけにXboxを買ったという人も、自分だけじゃないはず。


  “箱庭的な街をローラーブレードで走り回り、街の指定のポイントに「グラフティ」(簡単に言うとラクガキ)を描く”という基本路線は変わらないんだけど、 パッと見から受ける印象以上に、さまざまな点で意欲的な変更がなされた。
  まず、ストーリー&設定のノリが変化。 前作にあったおバカなノリはほぼ皆無になり、クールでシリアス、そしてタイトルの通り若干近未来色が強くなった。 キャラクターは大半が前作と共通なものの、その設定はパラレルワールド的なもので、 例えば、今作ではいきなりヨーヨーを操作することになってたりするし、ノイズタンクはロボ風コスチュームじゃなくて、まんまロボットになったり。 ソーダやキューブのようにほとんど前作と変わらないデザインのキャラもいるけど、その大半が随分と様変わり。 白髪になったプロフェッサーKも、よりホンモノのDJ風なノリに。
  操作もイロイロと変化。 一番目立つのはグラフティに関してで、前作では、中型・大型のグラフティを描くときには立ち止まって、 レバーをクルクル回すコマンド入力シーンになったんだけど、今作ではそのシステムは廃止。 大きなグラフティも、前作での小型グラフティの集合という感じになって、動きながら描けるようになった。
  Rトリガーでのダッシュも廃止され、レバーだけで前作での最大速度程度は出るようになった。 で、その代わりにBボタンで「ブーストダッシュ」ができるようになったものの、スプレー缶を10本消費するということもあり、前作でのダッシュと違ってピンポイントで使っていく。
  グラインド中にXボタンでグラインドの構えを変える「グラインドトリック」が行えるようになって、 これを連続で行うことでグラインド中にも加速できるようになったのも大きな変化。 ポンポンポンとテンポ良くボタンを押していくだけなんだけども、グラインドしてる時間が長いゲームなだけに、 これだけのことでもグラインド中にやることがあるというのは、アクセントとしても良かったと思う。 また、グラインド中に進行方向と逆にレバーを入れることで減速できるようにもなった。
  ハーフパイプの淵でXボタンを押しっぱなしにすることで、 その淵で逆立ちをして留まることができるようになった(その後、加速する)ので、ハーフパイプの操作性もビミョーに向上。
  浮遊感がやや強くなって、空中での制御がより効くようになって、 グラインドの判定が甘くなって、と、基本操作感にも変化アリで、より遊びやすくなった感はある。 で、それらの変化が必要だったってのは、それぞれのステージが前作とは比べものにならないくらい広くなったからだろう。
  とにかく、今作のステージは広い。水平的な広さだけじゃなく、高さ的にも非常に広い。 前作の場合、どちらかというと“どこかで見たことある”そんな風景が多かったんだけど、今作では、“こんなのあり得ん・・・”というある意味で幻想的なマップが多い。 途中にローディングを挟むことなく、これだけ広い空間を表現できていること自体に驚き。 電柱であるとか、縦方向にグラインドできる場所が設けられたことにより、移動がより立体的になったのもポイントで、より空間をハデに動き回るようになった。 制限時間もなくなったので、“敵や時間が相手”というよりも、 “地形が相手(地形の把握がゲーム的な大きなポイント)”という傾向が随分強くなった感がある。
  しかし、これだけ見える範囲が広いのに、これだけの数のオブジェが描き込まれているってのは、 まさにXboxパワーというところか(処理オチするシーンも少なく、比較的安定して60fpsだし)。 移動の自由度の高さも相まって、これまでのゲーム機のゲームでは得られなかった感覚的な楽しさがある。
  取るとグラフティの種類が増える「グラフティソウル」にも変化アリ。 前作同様、ステージに最初から配置されているものもあるけど、今作の場合、まず比較的分かり易い場所にある「ナゾテープ」というアイテムを取り、 それで表示される5つの課題(“トリックを60回繋げろ”とか、“トリックで100000点以上を出せ”とか)をクリアしたときに、 1つずつマップに出現するというのもあって、こちらがメインという感じ。 マップにグラフティがある場所が表示されるようになったのも嬉しいところで、このグラフティ集めもゲームのかなりのウェイトを占める。 これも“地形が相手”という色が強めることになった要因だろう。
  一方で、敵にスプレーをかけることで敵を倒せるようになったのも新しいファクターなんだけど、狭いスペースで行われるザコ戦は面白くないし、ボス戦も淡白。 前作では苦労させられたライバルチームとの追いかけっこも、かなり物足りないものになってしまった。

  ストーリーをクリアした後には「トライアル」が出現し、 できるだけ短い時間で全てのグラフティポイントにグラフティを描くという前作に近いテイストの「ジェットグラフティ」、 制限時間内にできるだけスコアを稼ぐ「ジェットテク」、なるたけ早くコースを一周する「ジェットダッシュ」、 ステージ内に次々と現れるフラッグをなるたけ短い時間でゲットする「ジェットフラッグ」の4種類でスコアアタックが行えるようになる。 で、各ステージの評価で最高位の「ジェット」をゲットすると、隠しキャラが増えていく。
  タイムアタック系は、本編にはなかった緊張感があって面白い。 惜しむらくは、ジェットを取るのが簡単すぎることか。 ストーリーをクリアした人の為のモードなんだから、もうちょっとキビしくても良かったんじゃないだろうか。
  ただし、ジェットテクは全然面白くない。 というか、基本的なスコア算出方法に問題アリ。 前作とは違って、グラインドからジャンプした時点で加算ボーナスがリセットされてしまうので、技を繋げることが得点に繋がらないようになってしまった。 さらに、グラインド時の基本得点は、グラインドできる場所によって決められている (しかも、その基準が不明なので、実際にグラインドしてみないと点数が分からない)。 つまり、基本得点が高く長い距離グラインドできる場所を探し、そこを延々と往復するのが高得点のゲット方法ということに。 まぁ、無限にトリックをループできる場所はいくらでもあるし、このゲームの性格上、トリックの失敗という要素は加えられなかったろうから、 こういう仕様にしたのもわからんではないんだけど、だったらだったでジェットトリックそのものがいらなかったろう。 欲を言えば、どう技を繋げるかが点数に反映されるようなスコア算出方法にしてほしかったところだけど。

  ゲームを通して、非常に気になったのは視点に関して。 調整不足感がアリアリで、カメラリセット時に目の前が壁に遮られてキャラクターが全く見えないなんてことが目立った。 キャラクターを半透明にするのは問題なくできそう(実際、そういう風に処理してることもあった)なんで、 カメラは地形にめり込ませずに、キャラクターに寄らせるような処理をするべきだった。 グラフティを描いているときの視点も操作し辛い。 また、いくら使用頻度が低いとはいえ、主観視点時の上下操作は設定でリバースできるようにすべきだったろう。 まぁ、視点と操作が切り離せないゲームなだけに、いつでも右レバーでグリグリと視点を動かせるようにするのはムリだろうけど、 欲を言えば、グラインド中は周囲を見渡せるような作りにしてほしかったところではある。
  ソフトリセットに未対応な上に、ポーズメニューからタイトルに戻ることもできないのは論外。 ソフトリセットが徹底されていたことはDCの美点のひとつだったと思うので、そういうところは他機種にも継続していってほしい。
  細かいところでは、オープニングデモは、シブヤターミナル以外のステージのも用意して欲しかったな。 前作ではデモを延々と眺めてたもんで・・・。 独特のフォントは、前作以上にアクが強くて読み辛かったんだけど、結局は慣れてしまった。
  また、これは不満点というよりも要望なんだけど、 グラインドの判定が甘くなったこともあって、前作以上にやりたくないグラインドをしてしまう場面が多かったので、 次があるなら、そろそろグラインドキャンセルボタン(で、押しっぱなしにしていればグラインドをしない、とか)のようなものを考えてみてほしい。

  音楽は相変わらずナイス。前作の曲のアレンジバージョンも楽しい。
  ストーリーをクリアしても、グラフティソウル集めとトライアルによる隠しキャラ集めがあるので、全体的なボリューム感は十分。 自分の場合、そこまででもプレイ時間は30時間オーバー。 さらに、タイムアタック系のトライアルは、やり込みにも耐えられる内容だし、自分は未体験ながらも、対戦モードの評判が上々なことも一言付け加えておきたい。


  ゲーム的にも世界観的にも、前作の路線も捨てがたいけど、今作は今作で、視点操作を除けばほとんど文句ナシ。 前作をプレイした後「こんな続編が出たらいいなー」とイロイロと考えたんだけども、その思惑を遥かに超えてくれた一本だった。 操作感が変わって制限時間がなくなったことにより随分と間口も広くなったし、 周囲の評判を聞いてみても、Xboxと同初のソフトで迷ったらコレってことでいいんじゃないかな。

2002年3月11日記載