REPORTサクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜
Dreamcast
2002年3月21日発売発売:セガ  開発:オーバーワークス  

  思えば、去年一番のニュースはDC本体の生産中止(セガ、家庭用ゲーム機ハードから撤退)だったわけだけども、 その後に、この『サクラ4』がDCで作られるということが発表されたことにも、相当驚いたもんだ。 そのときには、まさか『サクラ3』に近い規模で売れるとは思わなんだ。おそるべし、『サクラ』人気。
  その『サクラ大戦』が最初にSSで発売されたのが1996年9月27日。 『サクラ大戦4 〜恋せよ乙女〜』は、DCの最後を飾る大作ソフトでありながら、『サクラ大戦』そのもののひとつの区切りにもなる模様。


  発売前から言われていた通り、今作は、これまでのTVシリーズ的な構成ではなくなり、 2時間ドラマ的な作りになった。 戦闘は大きく分けて3回だけだし、普通にプレイすると約10時間弱でクリアできるような内容になっている。 ゲームディスクも1枚だけということで、ムービーの量も少なめ。 ただ、思っていたほど音声は少なくなかった(むしろ多いくらい)。

  今作の見所のひとつは、前作で追加された要素が、帝都という舞台にフィードバックされたところだろう。 言うまでもなく、「ARMS」を用いた戦闘と、ポリゴン光武を用いたイベントシーンということになる。
  ARMSは相変わらずナイスなシステム。 アクションゲームのようなインターフェースで、隊長コマンドがゲームに組み込まれ、それが「ARMSゲージ」という形で絵的にわかり易く提示されてる。
  さらに前作の巴里華撃団同様、帝国華撃団の光武も、隊員ごとの性格付けが強まった。 デザインもそうだし、攻撃、何もしてないとき、走ってるとき、行動終了したとき、と、各光武が実にイキイキと良い動きをする。 これは前作にも言えたことなんだけど、元々無骨なデザインの光武だからこそ、こういう性格付けをしたときにそれがより生きているんだと思うな。
  んで、リアルタイムポリゴンのイベントシーンも、相変わらず冴えてる。 ムービーと組み合わせたり、アニメ調の一枚絵と組み合わせたりとかの工夫も上々だし、エフェクト、カメラワーク、SEと、その見せ方が非常に上手い。 『エターナルアルカディア』『サクラ大戦3』『サクラ大戦4』と、ベタな熱さを表現するポリゴンアニメってことになると、このオーバーワークスは敵無しなんじゃないだろうか。
  ただ、戦闘には相変わらずの難点も。 一番の難点は、言わずもがなの難易度の低さ。 敵からのダメージが少なく、敵の思考はアホと、さらに、より簡単になってしまったようで、前作以上に緊張感が無い。 ゲーム的にどうこう以前に、演出的にも難点になってるというレベル。 最低限、もうひと回りくらいは難易度を上げてほしかったのと、前々から言ってるように、ランク付けであるとか、何かしらの評価的な要素がほしかったところ。 せっかくシステムが面白いのに勿体無い。 また、視点を含めた情報提示に工夫の余地アリなのも前作同様。 全体マップのようなものがないのでマップの全体的な構造を把握するのが面倒だし、 視点が自キャラに近すぎて、攻撃範囲が視界から出てしまい、どの敵にヒットするのかがわかり難いこともしばしば。

  ストーリーに関しては、相変わらず“信じる力”とか“奇跡”とかに頼りすぎなきらいはあるものの、シリーズの中では一番まとまってたと思う。
  そこで改めて感じるのは、前作(巴里)に欠けてた今作(帝都)の素材の良さ。 そのひとつが歌劇という要素。 今作では「あぁ無情」を演目にして、その中のふたつのエピソードから、“親の子に対する愛とは何か?”というテーマと、結婚に関するネタを絡ませてきている。 自分としては、元々このシリーズの重要なパーツのひとつだと考えてたし、今作では一番その要素が生きていたように思う。 そして、男キャラが魅力的なのも大きい。 薔薇組、加山、そして大神同様、このシリーズの区切りであることを象徴することになる米田、と。
  ベタな批判として「短いぞ!」ってのがあるようだけど、長さ的にはそれほど不満は無し。 プレイする前からそういう心構えはできてたし、話的にはまとまってたので、増やすような部分もそんなになかったし。 一点残念だったのが、最終決戦がちょっと淡白だったこと。 これまでの『サクラ』にあったような「これでもか!」という展開に欠けてたように思う。
  ただし、今作はその最終決戦の後が良かった。 思えば、自分が初代をプレイしたのは6年以上も前の話なわけだし、劇中でも4年という年月が経過している。 その重みが、ドーンと腹にきた感じ。 こういう(実際の年月、劇中の年月共にでの)積み重ねで物語を語ることができたゲームというのは、ちょっと他には思い当たらない (というか、ゲーム以外でもあまり思いつかないか)。

  言うまでもなく、田中公平氏による音楽も、 このシリーズの重要なパーツのひとつ(ある意味、最重要かも)。今回は特に、歌の演出に光るものがあった。
  物語そのものが変化するような分岐があるわけじゃないんだけど、なんせヒロインが13人。 さらに、帝国側、巴里側それぞれにヒロインを設定するとその絡みがあったりと、 単純にヒロインを選ぶ部分以外の分岐にも(多大な期待は禁物だが)面白みがあり、より繰り返し遊べる工夫があるのは確か。 まぁ、逆説的に、プレイ時間が短いから繰り返しプレイし易いというのもあるんだろうけど、自分は既に2回クリア済みだし、あともう1回くらいはプレイする予定。
  最後に、欲を言えば、全員の光武が勢揃いしたシーンを一度見てみたかったところではある (リアルタイムポリゴンでは、ハードパワー的に無理そうなんだけど)。


  最低限、前作はプレイしておかないと全く意味がないソフトというのは大前提。 で、前作をプレイしていればそれなりに楽しめるという意見もあるだろうけど、やはり、1からプレイしていてこその内容じゃないかな。
  自分としては、ある程度心構えができていたこともあって、この作り自体には不満無し。 不満は戦闘の難易度と最終戦のみ。色んな意味で感慨深い一品だった。

2002年3月31日記載