REPORT天空 -TENKU-
Xbox
2002年2月22日発売発売:マイクロソフト  

  本体と同時発売されたマイクロソフトオリジナルのスノボゲーム。
  ちなみに、海外では『Amped』というタイトルで去年11月に発売済みで、その日本語版ということになる『天空』では、一応、操作感や難易度に改良が加えられているらしい。 海外での評価、発売の雑誌レビュー共に評価が割れ気味な上に、発売後も感想を聞く機会がほとんどなかったので、思い切ってチャレンジしてみることにした。


  まず、それまで丁度『JSRF』をゴリゴリとプレイしていたこともあって、30fpsなことに初めの内は若干戸惑ったし、目が疲れた (直前までプレイしていたPS2『グランディアX』『ソウルリーバー2』も共に60fpsだったし)。 まぁ、プレイしていくにつれ、その違和感は問題なく消えてしまったし、基本的にフレームレート至上主義ってわけでもないんだけど、残念と言えば残念なところ。

  操作はシンプルだけど独特なところがある。
  最も変わってるのが、ジャンプボタン押しっぱなしでしゃがんでいる時も、通常時とあまり変わらずにターンができるということ。 しゃがみ時にレバーを入れて溜めるというゲームが多いだけに、最初のうちは思いっきり戸惑ってしまい、トリックを出そうとしてしゃがんだままあらぬ方向にターンしてしまっていた。 ジャンプの高さもしゃがみきってしまえば後は一定の模様。 よって、“溜める”という感覚の操作は皆無ということになるわけだ。
  ジャンプの高さは、その時点でのスピードと、何より踏み切りのタイミングが重要で、ここはかなりシビア。 タイミングが遅れるとほとんどターンができないまま跳んでしまうし、タイミングが早いとジャンプ台の端っこにぶつかってコケたりする。
  着地は、さすがにボードが進行方向と直角になってたりするとコケてしまうものの、特にシビアなわけではなく、 空中の姿勢制御はかなり効く部類なので、早めに回転を止めれば大抵の場合無事に着地できる(もちろん、着地地点に障害物があったりするとNG)。
  グラブ系のトリックは、ジャンプ中にAXY、あるいは右スティックの6方向に対応。 最初のうちはボタンを使ってたものの、感圧式に対応しており、“ボタンを軽く押して”というトリックが全く出なかったので、結局、右スティックを使うようになった。 さらに、そこからLRトリガーを押すことでトリックが変化する。シンプルだけど、これも変わってると言えば変わってるか。
  さらに、レールトリックでは、 まずBボタンでレールに乗り、乗ってる間はLRトリガーで左右のバランスをとるようになっている(ちなみに、左スティックでは回転)。 ここらへんは、『Tony Hawk's PRO SKATER』あたりの影響かな。
  独特は独特なんだけど、特に変わったクセがあるわけじゃない。

  コースは、実在の(かつ、世界的に有名らしい)ゲレンデを丸ごと再現した「ブライトン」「ストラットン」「スノーサミット」と、 アルプスの山をモチーフにした「アルティバーン」が、地形そのものは変わらずにスタート地点が拡張されるという形で各2ステージずつで、 さらに、距離が短めでパイプやレールが詰め込まれた感じの「ガニーズガルチ」「Slope Style」「NIXONジブフェスト」があるので、計11ステージ。 前者の4つのステージは使いまわしだし、数だけ聞くと物足りなく感じるだろうけど、 各ステージには複数のスタート地点(ドロップポイント)が用意されており、それによって随分と様相が変わるので、そういう不満は無し。
  モードはキャラクターを成長させながら全11ステージをプレイしていく「SUPERSTAR」、実在のプロライダーを使って自由に滑走できる「ARCADE」、 同時に滑るのではなく1人ずつ滑走してスコアで勝負する「MULTIPLAYER」の3つで、メインとなるのはやはり「SUPERSTAR」モードということになる。
  各ステージには「High Score」「Media」「Sponsor」「Pro」「Explorer」という5つのチャレンジ項目があって、 それをクリアしていくごとにワールドランクが上がって、キャラクターが成長したり、プレイできるステージが増えたり、ウェアやボードがゲットできたり。
  「High Score」と「Media」は、普通にドロップポイントを選んでゲームを開始し、 前者はトリックのスコアの合計、後者はコース内にある特定のポイントで決めたスコアの合計が、規定より多くなればクリアということになる。
  「Sponsor」はドロップポイントが決められていて、指定されたジャンルのトリックを決めてゲージを上げ、ゲージが一定以上にある状態で滑り終えるとクリア。 ゲージは時間が経つにつれ徐々に減っていき、トリックに失敗すると大幅に下がる、と、ここまでは良いんだけど、 指定外のトリックを決めちゃってもゲージが下がっちゃうのが理不尽なところ。
  「Pro」もやはりドロップポイントが決められていて、 プレイヤーはプロボーダーの後からスタートし、特定のポイントでプロとのトリックの点数を競うことになる。 で、4回負けた時点でチャレンジ失敗。
  「Explorer」は、各ステージに8体点在する雪だるまを探しだし、体当たりして破壊するというもの。 一度の滑りの間に全てを壊す必要はなく、すべての雪だるまを壊した時点でクリアとなるんだけど、これが非常に難物。 一応、近くに寄ると雪だるまが声を出して場所をほのめかしてくれることはくれるんだけど、 そもそもが自由に周りを見渡せるようなゲームじゃないし、それぞれのステージが非常に広いので、とにかく見つからない。自分はこれだけは断念。諦めた。
  ということでわかるように、レース要素が一切無いというのも、このゲームの大きな特徴だろう (ちなみに、この『天空』の副題は「Freestyle Snowboarding」)。

  実際のゲレンデを自称“林の中まで忠実に再現”したということもあって、その“ゲレンデ感”は秀逸すぎ。 例えば、PS2『クールボーダーズ コードエイリアン』もなかなかの“雪山感”だったわけだけども、“ゲレンデ感”という意味では全く比較にならない。 30fpsとはいえ、その開かれた視界の広さ、雪面・オブジェ等の各グラフィックの質、共に地味ながらも非常にハイパワー&ハイレベル。 特に、滑ってるときやジャンプしたときの雪面から雪が舞い上がるエフェクトは素晴らしい。 他のボーダーが(もちろんそんなに多い人数じゃなくて、画面中に現れても1人、2人程度なんだけど)勝手気ままにゲレンデを滑ってたり、 ゲレンデに点在しているカメラマンがセリフを言ってきたりするのも、コースに華を加えていて、ヘンに無機質になってしまうようなことがない。
  一点残念だったのが、SEが弱いこと。 実際に足の裏から感じるような強いSEではなく、あくまでもウォッチャーから見た状況でのSEという感じなので、 “雪面感”という意味では、N64『1080°』に一歩及ばない感じがする。

  一方で、ゲームとしての作りの粗さがちょいちょい目に付くのも確か。
  まず、トリックの点数の基準がよくワカラン。 トリック中に表示されてる点数も、よくわからないタイミングでガクンと増えたり減ったり、着地時の点数の上下も意味不明で、着地して「高っ!」とか「低っ!」と感じることが多い。 また、レールトリックの点数を行ってる時間の長さに比例させたのも疑問で、低速でレールの上に乗っかると異常に点数が稼げてしまう。
  コースを選んだ後にはそこそこのロード時間があるのに、コースを実際に選択しないとそのコースのクリア状況がわからないのも×。 ロード時間そのものがそこまで長いわけじゃないのに、ムダにロードのストレスを感じさせてるということになるわけで、メニューの構成にはもう一工夫必要だったろう。
  斜面の勾配に対する向きの変更が若干ニブいので、なかなか思ったように進むべき方向を向いてくれないことも。 ここらへんは重力を弱めに設定した(であろう)ことの影響ってのもあるんだろうし、レース要素がないからそこまで致命的ってわけじゃないんだけど、 もうちょっとシャキッ!と切り替わるようにするべきだったし、例えば、小ジャンプをしたら瞬間的に下の方を向くなどのフォローもほしかったか。
  視線が低いのは良し悪しか。 目前の状況が見辛い(というか見えない)のは、タイミングがシビアなゲームなだけに気になるところ。 ただ、ライダーに近い視線ということで、坂を下ってるのに、なんだか逆に上ってるような感覚がしてしまう、なんてことはない。 ライダーに近い遠いだけじゃなく、視線の高い低いに差がある視点も用意するとか、ライダーを半透明にできるとか、そういう仕様があればベターだったろう。

  サイケな背景の上でコラージュ的な絵がアニメーションするスクラップブックのセンスは、個人的には好きなんだけど、拒絶反応を示す人もいそう。
  Xbox本体内には(確か独自の圧縮方式で)CDから曲を録音することができ、 このゲーム中でもそれを流すことができる(要するにCDから落とした曲をBGMにすることができる)のに、 そのことにが全く説明書に書いてないのにはビックリ。
  BGMといえば、アメリカのインディーズレーベルが提供した曲が230曲も収録されているというのもウリのひとつで、 「Techno, House」「Emotional」「Hip Hop」「Punk」「Rock」「Ska Reggae, Surf Rock」という6つのジャンルごとに、オン・オフの切り替えができるようになっている。 さすがに内容にはムラっけがあるものの、白ボタンで随時曲をスキップできるので問題なし(自前で曲を用意した場合でも同様)。 これは地味ながらも嬉しい機能だった。


  これでもか!というくらいにトライ&エラーなシビアさに熱くなったのも確かなんだけど、 何より、ゲレンデを滑っているだけで気持ちいいという、超穴馬ソフトだった。 例えば、ファミ通Xboxのローリング内沢氏のレビューでは 「ただ、選手を育てる育成部分、トリックの爽快感、なにが特出したウリなのかが見出しにくかったです。気持ちよさ、楽しさの核はどこなのか。」とあった。 このゲームの場合、それはまさに“ゲレンデ感”にあると思うし、それが実感できないと、評価がイマイチになってしまうのも理解できないではない。 スノボ(あるいはスキー)経験者にはオススメしたい一本。

2002年3月8日記載