REPORTデュアルハーツ
PlayStation2
2002年2月14日発売発売:SCE  開発:マトリックス  

  PSで『アランドラ』『アランドラ2』と作ってきたマトリックスの最新作(ただ、スタッフはあまりカブってない模様)なんだけど、 TVCM無し、ゲーム雑誌等でのアピールも弱と、初週3000本(電撃データ調べ)という驚きの埋もれっぷりとなってしまった。
  自分の場合、つい先日、新品を\2500で購入・・・。


  発売前に、N64『ゼルダ』と画面構成が似てるということでちょっと話題になったんだけど、 ゲームの内容もやはり同系で、いわゆる育成要素がなく、イベントによってアクションが増えていくタイプのアクションRPG。 基本的に、それなりに丁寧に作られてるゲームなのは確か。
  主人公のトレジャーハンター「ランブル」は、「夢の神殿」の中にあるという秘宝「夢見る宝石」を求め「ソンノ島」にやってくる。 そして、夢に入り込む能力を持ったバク「タンブル」と一緒に、住人の夢の中に入り込んで、神殿の扉を開く為の鍵を集めることになる。
  現実世界では体力とかアイテムとか謎解きとかの要素はなく、ほとんど夢に入り込む機会を探すだけの場と言ってもいい。 で、夢に入ってボスを倒して鍵を見つけ、神殿に行って試練の場という非常に短く簡単なダンジョンをクリアすると、 「神具」というアイテムを得られ、それによってアクションが増え、また違う人の夢の中へ、というのが大まかな流れ。

  基本操作は、左スティックでキャラの移動、 ×でジャンプ、□、○でそれぞれ左右の手に装備したアイテム(武器)の使用、L1はカメラリセットとロックオンの兼用で、R1で防御。
  周りを見渡す右スティックの操作性は、このゲーム第一の難点で、 自由に見舞わせるわけじゃなく、上下は遠近3段階の変更で、左右はスティックを1回入れる毎に45°視点が回転するという デジタル操作チックで非常に中途半端な仕様になってるというのが謎。 さらに、上から見下ろすにはレバーを下に入れなくちゃならないのに、 R3押し込みで移行する主観視点では下を見るにはレバーを上に入れなくちゃならないという操作系のネジれも問題。 設定で逆転可にするのがベストだろうし、じゃなくても通常時の右スティックの上下操作は逆にするべきだったはず。
  このゲーム最大の特徴は、常に、タンブルという相棒と一緒に行動するというところだろう。 主人公ランブルの動きは意外と重く、ジャンプもモッサリとてるし、走るスピードも遅め。 ただ、R2ボタンでタンブルへの乗り降りができ、タンブルに乗った状態だとそれなりに速くキビキビと移動できるようになる。 移動するときはほとんどタンブルに搭乗すると言ってもいい。 さらに、ジャンプも格段に高くなり、ダッシュやジャンプからのヒップドロップや、途中で「およぐ」「とぶ」等のアクションもゲットしていくし、 タンブルに乗った状態ではブレス攻撃ができたり、エサモンを敵に投げつけることで敵に突進させたりなどの攻撃手段もアリ。 その代わりというか、タンブルのアクションには「おなかゲージ」が必要で、草などを斬って出現する「エサモン」を、タンブルが勝手に吸い取っておなかゲージが溜まっていく。

  各ステージは各キャラクターの夢の中ということで、それを生かしたステージの雰囲気自体は上々。 絵本のステージなど、一部には目新しさを感じさせる演出もある。 ただ、夢の中ということをアピールしてるのであろう画面端の白いモヤモヤが鬱陶しかったり、 一部に残像処理がキツすぎで見難くなってるステージがあったりするのは問題。 そういった処理の影響か、処理落ちもかなり目立つ。 また、その内容は箱庭的なダンジョンというよりも一本道&一方通行的な傾向が強く、その仕掛けが笑っちゃうくらい単純&単調なのがツラいところ。 謎解きっていうか知能テストみたいなレベルなんだよなぁ・・・。
  んで、戦闘はそれに輪をかけてつまらない。 ザコ戦は、こちらの攻撃が有効な瞬間や、敵の攻撃に判定がある瞬間が絵的にわかり難いのが難点。 敵を倒すことがフラグになってる場所以外では、ほとんど敵は無視して進めてしまった。 これはボス戦にも言えることなんだけど、おなかゲージを消費して、 L2で好きなときに体力が回復できてしまう仕様が緊張感を削いでるのも大きなマイナス。 普通に戦ってる限り、まず死なない。
  謎解きと戦闘、共に言えるのは、多彩なアクションが全く消化しきれてないということ。 例えば攻撃手段は、剣、槍、ハンマー、弓という4種類の通常武器、さらに、爆弾、「スネイクファング」という『ゼルダ』のフックショットのような武器 (ただし、フックを打ち込んでそこまで移動できるというものじゃなく、フックを打ち込んだものを引っ張ってくるというもの)、 3種類のエサモンを吸収することでその属性を得られる「ドローカード」という特殊武器、その上タンブル関係でも、 エサモン投げでのタンブル突撃、タンブルに乗ってのダッシュ、ブレス、ヒップアタックとあるわけなんだけど、 特にボス戦では有効な攻撃が何かが見た目的にわかり辛く、 作り手側の意向で「有効な攻撃はコレ!」と決められてる感じを強く受けてしまうし、それが分かった時点で終わっちゃうくらいに淡白な内容。 これは謎解きにも同じ事が言えて、どのアクションが有効かを判断させるだけで終わってしまうことがほとんど。 使い方を考えさせるようなシーンはほとんど無い。下手げに「ゼルダ」っぽさがあるだけになぁ・・・。

  ちなみに、ステータス系の表示については、 マップの表示場所が左右逆なだけで、確かにN64『ゼルダ』に似てるんだけど、まぁ、これ自体はあり得ない話じゃないし問題ないと思う (さすがに、ロックオン(Z注目)や謎解きが成功したときなど、一部の効果音までそのまんまなのは引いてしまったが)。 ただ全体的に、『ゼルダ』を参考にしたであろう部分が、いまいちプラスになってないのが気になるところ。
  パッと見、似通った印象を与えるてるのが「ボタンインフォ」で、 画面右上に、○、×、□ボタンのアイコンがあり、今、そのボタンを押したときにどんな行動をするかが表示されるというもの。 そもそもは、ショートカット的な意味合いが強く、わざわざメニューを開いて装備を換えるという手間を省かせるのが一番の目的のはず。 が、これが全く機能してない。 例えば『ゼルダ』の場合は、AボタンとBボタンにアクションと基本攻撃が割り当てられていて、3つのCボタンにサブアイテムを装備するという仕様だった。 一方、この『デュアルハーツ』の場合、×ボタンはあらかじめジャンプに割り当てられていて、○、×にそれぞれ武器を装備するという仕様で、 上記のように、武器の種類が多いので、かなり頻繁にポーズメニューを開くことになってしまう。 最低限、特殊武器に関しては、別枠の操作を設けるべきだったと思うし、 そうなると、△ボタンがタンブルに話し掛けることができる「タンブル視点」に割り当てられていることが、非常にムダに思えてならない (これも『ゼルダ』の「ナビィ」ボタンをそのまま流用しただけなんだろう)。
  Z注目ならぬロックオンは、蝋燭台や的など敵以外にもロックできるという作りで、特に、エサモンにもロックできてしまうのが困りもの。 草を斬ったときにでてくるエサモンにロックしてしまって、なかなかロックしたい対象をロックできないなんてことが多い。 ザコ敵も大抵の場合2体以上出現するし、ロック状態ではむしろ戦い辛い場合も多い。 また、『ゼルダ』と違って狙って撃つという要素が無く、 弓攻撃はロックしてのホーミング弾を撃つという形になっているのも、ロックオンの頻度をムダに上げてしまってるように思う。
  ドローカードにアイテムが保管できるのは『ゼルダ』の「ビン」の変形、ってのは考えすぎかもしれない。 ただ、任意に体力が回復できてしまうので、その有効性は極めて低い(自分は使う機会が一度もなかった)。
  N64『ゼルダ』を参考にするのは大いに結構なことだと思うんだけど、上っ面だけ参考にしてもしゃあないだろうに。 CアイテムにしてもZ注目にしても、その有効性がどういうところにあるのかをちゃんと考えて消化せねば。
  ちなみに、任意でジャンプができるというのは『ゼルダ』との大きな違いなんだけど、その代わりというか、ステップ系の瞬発力のある移動手段がない。 これも戦闘が淡白になってしまった一因だろう。

  ローディングは、ステージ間、マップの切り替え時にそれなりに間があって、気になる、気にならないの丁度ギリギリのセンか。 特に「長い!」っていう印象はないんだけど、場合によっては気になることも。
  グラフィックはソコソコ。 人物のモデリングがイマイチなことで印象を悪くしてるし、1個1個のオブジェクトは粗かったりするんだけど、全体的な雰囲気で勝負。
  イベントシーンの鬱陶しさはPS『アランドラ2』を継承。 現実世界、夢ステージ内共に、ちょいちょいと操作不能でテンポを崩すイベントシーンが挿入される。 基本的にプレイヤーから操作を奪うことはマイナス、その上で必要かどうかの判断が必要なはず。 一部の、カメラワークとキャラの演技・セリフのテンポを同調させたかったんであろうイベントシーンを除けば、プレイヤーがスキップできないという作りにも疑問。 そこらへんは、作り手主導で判断して欲しくないところ。 加えてそれらがチープに感じれる原因は、ムダが多くテンポが悪い上に、音声が皆無なこと、 そして致命的なのが、モーションの安っぽさ。 イベントシーンの性質上、できれば音声が欲しかったところだけど、それで売上げが変わるとも思えないんで、まぁ好判断っちゃ好判断なのかも。
  イベントシーンのマズさも手伝って、ストーリーは空回り気味。 愛想が悪くクールという設定のはずの主人公ランブルの中途半端さがまず第一で、 彼が島民やタンブルと接していくにつれ変わってくってのがテーマのひとつなはずなのに、それが全く言っていいほど生かされてない。 せっかくタンブルがマヌケでカワイイキャラなんだから、 もうちょっとタンブルをフィーチャーするような作りにすべきだったようにも思うし、そうしないと「デュアルハーツ」っていうタイトルも生きんだろうに。 特に、女盗賊「バルー」とランブルの過去の絡みは、非常に蛇足に感じられた。 また、夢と現実の対比を生かすためにも、もうちょっと現実的な世界観&各種デザインを心がけるべきだったんじゃないかな。 架空の世界でサンタクロースを普通に登場させちゃうあたり、個人的には信じがたいものがある。


  とにかく、ゲーム的にもストーリー的にも、詰め込めんだはいいけど全く消化しきれてない印象を受けた。 ゲームの要素もにしても、ストーリーの要素にしても、イベントシーンにしても、 あればあるだけ詰め込むんじゃなく、ムダなものは削らなくちゃいけないという意識が必要だろう。
  ただ、N64『ゼルダ』と比較されるような作りにしてしまったのは自業自得だし、 ギリギリで佳作にも及ばないようなゲームとはいえ、ある程度は丁寧に作られているし、 タンブルというキャラには愛嬌があるので、ジャンル的に好きならそれなりには楽しめるはず。 さすがに初週3000本という売上げには同情してしまうな。 SCEはTVCMに頼らないゲームのアピール方法をもうちょっと考えないと、また同じ事を繰り返すことになると思うぞ、と。

2002年4月12日記載