REPORTE.O.E −崩壊の前夜−
PlayStation2
2002年5月23日発売発売:アイドス  開発:ユークス  

  PS『双界儀』、DC『ベルセルク』と、 3Dアクションゲームにはそれなりの実績があるはずのユークスの最新作。 海外では結構前に発売されていて、そこまで高評価ではないにしろ、ボチボチな評価だったはずんだんだけど・・・。


  舞台となるのは、古代金属と人間の精神を融合させた「レガシィ」という兵器が発明された近未来。 主人公「ジョッシュ」は、巨大企業「ウィズダム」によって最新型レガシィ「E.O.E」のコアにされてしまった恋人「エリエル」を人間に戻すために、 ウィズダムに立ち向かっていくことになる。
  ゲームの大まかな内容は、様々な(主に近接)武器を使った戦闘がメインのアクションアドベンチャー。
  基本操作は、左スティックでキャラの移動、×で小攻撃と○で大攻撃、□でジャンプ、 △で装備している武器に固有のアクションを発動(この4つはキーコンフィグで自由に入れ替え可)、そして、L2でガード&敵のロックオン。 視点関係の操作はR2で行うカメラリセットのみで、そのR2を押しっぱなしにすると、キャラの背後にカメラを固定したまま移動できる。
  L1、R1に割り当てられている武器選択の重要さが、このゲームの一番の特色ということになるんだろう。 攻撃中に武器を変えると、通常とは違うモーションの攻撃となり、 通常のコンボより大きなダメージを与えることができるという「武器替えコンボ」がまず第一。 例えば、ソードの小攻撃2発からロッドに武器を変えて2発のコンボでフィニッシュ、とか。 そして、足場の淵に掴まるアクションは素手の時にしか行えないので、ロッドの固有アクションで大ジャンプし、空中で武器を素手に変更して足場の淵に掴まる、なんて操作も多用していく。
  また、各武器(レガシィ)には「精神力ゲージ」を消費して発動する「レガシィドライブ」というボム的な特殊攻撃がある。 レガシィドライブが放てる状態でR3ボタンを押すと、レガシィドライブ入力画面になり、そこで画面に表示される各レガシィに固有の記号を右スティックで入力することで発動。 これは単なる攻撃手段ではなく、火属性のレガシィドライブで何かに火をつけるといった謎解き的な使い方もする。 レガシィをゲットしても、さらに赤青2種類の「レイシード」というアイテムをゲットするまではレガシィドライブは使えないので、 ステージにあるレイシードを探してゲットして、それで使えるようになったレガシィドライブで先に進めるようになって、 ボスを倒して新たなレガシィをゲットして・・・というのが基本的な流れになってくるわけ。
  ってのが、このゲームの概要。

  ・・・で、もうどこからつっこめばいいのやら・・・

  とりあえず、ゲームの基本的な部分を見ていこう。
  まず、その中でも最も基本的というか、根本的というか、ここさえマシだったらもうちょっとはなんとかなってただろうというのが爽快感。 とにかく、攻撃が当たった時のヒット感が弱すぎで、こちらの攻撃に全く爽快感がない。 ゲーム的な問題もあるんだろうけど、やはり効果音の弱さも明らかなとこだろう。
  で、ありがちすぎな話なんだけど、やっぱり視点に問題大アリ。 その問題点も、視線が低いキャラまで近い、R2のカメラリセットはモッサリというありがちなもので、 レーダーというフォローがあるものの、周囲の状況が把握し難い。 バトルがメインのゲームであるなら、もうちょっと引き気味にして、もうちょっと俯瞰気味にすべきだったろう。 ただ、このゲームはジャンプアクションの要素もかなり大きいわけで、周りを見渡して活路を見出すシーンが多い。 そこで、L3ボタンで主観視点モードになってその間は時間が止まってくれるという、なんともイビツなフォローがあるわけなんだけども、 だったらそれ以前に、移動しながら周囲を見渡せるような、もっとプレイヤーが自由にカメラ操作できるような形にするべきだったんじゃないかと思う。
  ザコ敵の防御行動が鬱陶しいというのも、このテのゲームではありがちな話で、 特に中盤以降では、ザコ敵が普通に防御行動をしてくるし、プレイヤー側にはそれを崩す手段がない。 格闘アクションゲームにおいて、ザコ敵の防御行動はかなり慎重に扱わなければならない要素。 よっぽどアクションゲーム作りに自信がない限り、個人的には、取り入れない方が無難だと思うな。
  L2での敵のロックオンの使いづらさも、やはりありがち。 周囲の状況が把握し辛いという視点の問題からきている部分もあるけど、実際にロックオン状態になるまでやや間があるので使い難いし、 L2を押しっぱなしにしても、勝手にロックの対象を変更させられてしまうという典型的なNG仕様に加え、 かといって一番近い敵にサクサク切り替わってくれるわけでもないという追い討ち付き。
  そもそも、なんでロックオンが必要だったかということになるんだけど、 どうやら各種武器のモーションは対戦格闘ゲーム『ソウルキャリバー』から影響を受けてるものが多く、 要するに、1vs1という範疇以外での配慮が欠けてるからだと思う。 だから、通常攻撃時にも勝手に敵の方向に補正するようなフォローが付いちゃってるんだろうし、 より正確に攻撃をヒットさせる(させ続ける)ためにはロックオンが必要、と。

  で、ここからはこのゲームの特徴になるはずだったレガシィ(武器)に関して。
  レガシィの選択は「レガシィルーレット」というものに自由に並べ替えて行うようになっており、 実際のゲーム画面では、画面右下に今のレガシィとその前後のレガシィが表示されている。 問題はその操作で、例えば、ロッド、ソード、素手という並びになってる時はソードを装備していて、そこからR1を押すとロッドに、L1を押すと素手になる。 いや、ルーレットが回転してるという意味はわかるんだけど、どう考えても直感的ではないし、 このゲームのキモとなる操作なわけだから、最低限、設定でL1とR1を入れ替えれるようにすべきだったろう。
  そして、より重要なのはレガシィドライブの仕様。 右スティックを使ってレガシィドライブの入力は新鮮味があるんだけど、なんでその時に時間を止めてしまうのかが理解できない。 むしろリアルタイムで行わせた方が、ゲーム的には面白かったはず。 さらに、使う機会が限られすぎ。 それぞれ精神力ゲージを半分消費する上に、その回復手段が限られているので、 結局、中盤に出てくる体力回復のレガシィドライブ以外はマトモに使う機会はなかった。 精神力の主な回復手段は「レイライン」というプレイヤーの体力&精神力を全快する地点。 これは、一度接触しても、ちょっと待つだけでまた使えるようになるというヌルさで、 レガシィドライブを謎解き的に試行錯誤させることに対してのフォローのつもりなんだろうけど、 精神力の回復については、戦闘に絡ませる(例えば、攻撃をヒットさせると回復するとか)、あるいは時間と共に回復していくという形にするべきだったろう。 そうなればボス戦等でも生きてきたはずだし、それをより生かす為にも、体力回復のレガシィドライブは必要なかった。
  やや話は逸れるが、そのレイラインで体力をいくらでも回復できてしまうという仕様は、ゲームバランスを雑にするだけの誤魔化しでしかない。 思うに、なんでこういう形にしたのかっていうと、落下によって不意に大きなダメージを喰らうことが多く、そのフォローのつもりなんだろう。 だったら、その根本的な原因からまず考え直すべき。 体力回復も、敵を倒したときに(多分)ランダムに出現するというのではなく、マップに体力回復薬を隠しておくような形の方がベター。
  緊張感の無さに拍車を欠けるのが、セーブ&コンテニューの仕様。 まず、コンテニュー自体が不要だった。セーブしとけってこった。 んで、セーブにしても、レイラインを完全にセーブポイント的な存在とした方がわかり易いだろう。 思えば、DC『ベルセルク』も安易なフリーコンテニュー仕様が(少なくともそれを利用する人の)ゲームの緊張感を削いでしまっていたわけで、 同じ失敗を(しかもより悪い形で)繰り返してしまっている。
  レガシィにもう一度話を戻して、ミもフタもないことを言わせてもらえば、レガシィの種類が多すぎた。 最終的には、9種類のレガシィが手に入る(さらに別に素手状態がある)わけなんだけども、消化しきれなすぎにもほどがある。 “レイシードを探してゲットして、レガシィドライブで先に進めるようになって、ボスを倒して新たなレガシィをゲットしてステージクリア”という流れが、 終盤のとあるステージで破綻して、3つのレガシィが手に入ってしまうという寸詰まりさは、まさにその象徴。 アイテム固有アクションで使うのは、ロッドでのハイジャンプだけと言っても過言ではなく、大抵、バック転などの意味のないもので、 一応、チェーンソードは伸ばして壁に突き刺してそこまで移動するというものなんだけど、それを使わせるシーンは自分の記憶のなかでは1箇所だけ。 レガシィドライブを使った謎解きにしても、あからさますぎな上にバリエーション少なすぎ。全くと言っていいほどゲームに生かされてない。 攻撃手段としても、結局、終盤で手に入る大剣と斧でゴリ押しになってしまうし、その武器なりの有効性というものがイマイチ見えてこない。
  ジャンプにもクセがあって、その場ジャンプと、走りながらのジャンプにギャップがありすぎなタイプで、 走りながらだとかなりの移動量をビョーンと跳んでしまい、空中での制御の効きも弱い。 ダイナミックに移動させたかったんだろうけど、そういうのはそれこそアイテム固有アクションに任せるべきだったんじゃないだろうか。

  武器を切り替えながら戦わせて、さらにそれが戦闘だけじゃなくアクションにも関わってくるというアイデアは良かったのに、 いくらなんでもその完成度が低すぎ。お粗末。 センス云々以前に、頭を使って考えて、ゲームというものを構築してほしいし、特に、基本的な部分に関しては、お願いだから他のゲームを少しでも研究してほしい。

  また、ステージ中でも結構ちょいちょいと短いイベントシーンが挿入され、その際にボタン入力を要求する「キーロックアクション」という要素があって、 要するに『シェンムー』のQTEなわけだけども、ユークスとしてはDC『ベルセルク』で既に行ってたことなだけに、パクリ呼ばわりは筋違いってもんだろう。
  しかし、それがゲームとしてちゃんと生かされていたとは言いがたい。 演出的にも全く盛り上げられておらず、いかに『シェンムー』が上手くやってたかがわかる内容なんだけど、それがゲーム的に生きてないというのが一番イタい。 なんせ、ほとんどがダメージを喰らうだけなので、前述の体力回復関係の仕様のお陰でほとんどリスクが感じられなくなってしまった。 そうならそうで、状況が変化するような分岐を設けるとか、『シェンムーII』のように戦闘(特にボス戦)に絡める等の工夫がほしかったところ。

  ストーリーにしても世界観、設定や大筋は悪くないと思うんだけど、 例えば、エリエルは人型にもなれるわけで、どうしてそこまでのリスクを犯してエリエルを人間に戻そうとするのか、 そこらへんの主人公のモチベーションの描写が弱いとか、各キャラの描写が甘くて説得力に欠ける上に、特に後半は話の流れが唐突なのも気になる。 個人的には、あくまでも“恋人を人間に戻すんだ!”というのをメインにして、それで押し切った方がマシなモノになったんじゃないかと思うな。

  グラフィックはボチボチ。 頭でっかちな感じのビミョーな人間のモデリング、 主人公二人の冴えない服装、肝心要なのにチャチでオモチャのようなライトセイバーの表現等で印象を悪くしてるけど、 背景の雰囲気は悪くなく、結構描き込まれてて、全体的にはそんなに悪くない。

  笑ったのが、日本語、英語だけでなく、 フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語の音声でもプレイできるということ。 言葉自体もそうだけど声優の雰囲気も違うので、これが意外に楽しかったりする。
  しかし、クリア後には武器のレベルを維持したまま、新しい武器が1つ追加されて最初からゲームをプレイしなおせるんだけど、 その時に、声の言語と、ゲームの難易度を変更できないというのが、繰り返しプレイする意欲を激しく減退させる。 武器のレベルといっても4段階だけだし、それで大きく攻撃力が上昇するもんでもないわけで、あえてこういう仕様にする理由がわからない。 ゲームのデータ上の自分のプレイ時間は6時間弱。 このこと自体に文句を言うつもりはないから、せめて、より繰り返しプレイさせる努力をしてほしかった。 短いと言われた『ベルセルク』なんかの場合、繰り返しプレイしても面白かったし、自分的にはそういう不満はなかったわけで。


  とにかくお粗末な一本だった。『バウンサー』級。 その『バウンサー』と比較すると、絵的な魅力がほぼ無くて、ゲーム的にもっと面白いものになりそうな余地は大きかった、そんなゲーム。 まぁ、“グラフィックだけ”にはいくらかでも金を出す価値があるだろうけど、“余地だけ”に対して金を払っても仕方がないわけで・・・。
  導入は悪くなかったんだよなぁ・・・。 視点とヒット感の弱さこそどうにもならなかったけど、話の導入はなかなか上手いと思ったし、 アクションにしても、“これが基本で、この先レガシィが増え、アクションが増え、応用問題が増え”という想像からすると、 もっと面白いものになりそうだったのに・・・。

2002年5月30日記載