REPORTボクは小さい
PlayStation2
2002年7月11日発売発売:ビクターインタラクティブ  

  自称「頑張らないアクションアドベンチャー」というこのゲーム、 とにかくヒッソリと発売され、なんせPS専門誌をロクに読まない自分は発売前週の雑誌レビューでその存在を知ったくらいだった。


  物語は、スペースパイレーツである凶悪犯「シルバー」が未知の星「チキュウ」に逃亡、その原住生物の住居の中に姿を隠したところから始まる。 宇宙パトロール隊「プッチメン」がシルバーを確保するために、そこに乗り込んでいったものの、連絡は途絶えてしまい、最後にSOS信号が届く。 それを察知した、軌道上でひとり待機していた見習い隊員「ポム」が助けに向かうが、何者かに撃墜され、原住生物の住居に墜落。
  プレイヤーはポムとなり、そこからゲームがスタートする。
  主人公ポムをはじめこれらの宇宙人の体長は5cmほどで、そんなチビキャラが、 彼等から見れば巨大生物であるユウキ一家が住む地球の家屋を冒険するというスケール感のギャップが、このゲーム一番の特徴になっている。
  で、すぐにシルバーを発見するものの、シルバーはまた逃亡、と思った次の瞬間、ユウキ家一体を吹っ飛ばすほどの大爆発が起こる。 ポムは1日前の時間にタイムスリップし、時間がバラバラに砕けてしまった、そこからが本当のゲームスタートということになる。

  その内容は、ジャンプアクションで行うポップな雰囲気のPS『UFOといったところ。
  仲間からSOS信号が届き、そこに添付された数枚の画像から仲間がいる場所を見つけ、仲間を救助していくというのがゲームの基本。 ポムには仲間の能力をコピーするという能力があって、仲間を助けていくにつれ、9つの能力を得ていき、それにつれ行動範囲が広がるし、 仲間を助けたときに得られる「タイムピース」によって、行動できる時間が1時間延びていく。 するとまた新たなSOS信号が届き・・・とゲームが進行していくわけ。
  地球の家に落ちた宇宙人を時間移動しながら救出していく、その概要は、まさに『UFO』と言っても過言ではない。

  ただし、このゲームでの仲間の救出の仕方は、『マリオ64』などに代表される3Dアクションゲーム的なジャンプアクションになっているという点に、大きな違いがある。
  ポムの移動は左スティックで行い、×でジャンプ。
  この部分での(というか、おそらくこのゲーム通しても)一番の難点は視点だろう。 自動的に調整される視点はそんなに酷くはないんだけど、手動で操作する視点操作がマズい。 なんせ、視点操作はR1ボタンでのカメラリセットだけで、R1を押し続けると主観視点になるという仕様。 押し続けると、とは言ったものの、実際は割と直に主観になろうとする(ポムにカメラが寄っていく)ので、 このボタンを多用するとかなりカメラがグリングリンと動くことになって、結構酔い易い気配が漂っているし、 特に狭い場所では自分の向いている方向を見失いがち。 最低限、カメラリセットと主観移行は別のボタンで用意してほしかったし、できれば、客観視点の時にある程度視点を動かせるような形にしてほしかったな。
  また、ジャンプアクションにも、上昇中にはキャラの向きが変えられないと、ちょっとクセがある。 足場の淵に掴まるというお馴染みのアクションが用意されてるけど、この判定もちょっとキビしめ。 ただ、ここらへんはさほどシビアなアクションが要求されるゲームではないんで、それほどの不満にならず。 微妙な操作をし難いというところでは、このゲームがどうのこうのというより、PS2のアナログスティックの使い辛さを痛感する。
  と基本部分では若干雑なところはあるんだけど、 肝心の、アクションが増えてそれにつれ段階的に行動範囲が広がっていくという部分は非常に良くできてる。 そのキモとなるのが、仲間の能力をコピーし、変身するという能力。 パンチによって攻撃ができ、壁に挟まれた間が狭いところを上がっていける怪力「ムッキメン」、 水中を泳ぐことができる「バッシャメン」、離れた足場の淵に手を伸ばして掴み、そこまで移動できる(丁度『天誅弐』の鉤縄に近い)「ニョッキメン」、 落下速度が遅くなり、ジャンプ台から大ジャンプもできる「プックメン」、放電ができ、コンセントからコンセントへワープすることができる「エレキメン」、 主観視点で向いている方向に弾を撃つことができる「ヒットメン」、空中を滑空することができる「パッタメン」、 バイク型になって高速移動ができる「ライダーメン」、住人が話している電話の話し相手の声も聞こえるようになる「ピッチメン」と、 9つの特殊能力があって、最初は地べたを這いずり回っているポムが、これらの能力をゲットしていくにつれ、 ドンドンと行動範囲を広げていく(ちなみに、後者2つは謎解きには使わない)。 自称「頑張らないアクションアドベンチャー」とは言うものの、実際はそれなりに頑張る必要があって、ただの鑑賞ゲームにはなっていない。 その代わり、体力や特殊能力使用で消費する「エネルギードロップ」等による制限はかなり緩め。 ここらへんのシステムはもうちょっと絞る余地があるように思うけど、それが致命的にならない程度に、よくできているわけだ。
  助ける隊員は総勢31人で、これを全員助け、途中で3回のボス戦をこなすと、爆発までの丸一日が明らかになる。 ここまでの流れは非常に面白かったんだけど、質・量共にやや物足りなさが残るのも確か。 普通に進めていけば、ここまでくるのに10時間ちょっとくらいだろうし、ボス戦もアイデアは悪くないのに最初からヒントを与えすぎでエラく簡単になってしまった。 もうちょっと時間変化を応用したトリックが欲しかったし、また、特殊能力の中では、バッシャメンとライダーメンの活躍の場が少なかったのが残念。

  ただ、ここでゲームは終りではなく、爆発までの時間をオープンした後には、爆弾解除という段階が残っている。 これは、それまでの住人を観察して、爆弾が仕掛けられている場所を探し、それを解除するというもの。 これが意外にボリュームがあって、爆弾解除に関係ない住人観察なども含めると、結局プレイ時間は15〜20時間というところ。
  ちなみに、それ以外の要素としては、まず、住人観察シーンでの視点を増やすカメラが各部屋に6つある。 行動範囲が広がるにつれ、高い位置のカメラを見つけられるわけで、必然的に部屋全体を見渡し易い視点が増えていくことになる。 よって、住人観察をするのは、ある程度ゲームを進めてからになるわけだ。 また、各所にあるアイテムカプセルの中には、攻略に関係なかったりする情報が得られる「INFOチップ」や、体力がアップする「ライフカプセル」などがあるものの、 どのステージのいくつのアイテムカプセルが残ってるかがわからないので、根詰めて探す気にはなれず。
  このプッチメン達のやり取りは、実にゆる〜い感じ。『UFO』のようなシニカルさは皆無。 この雰囲気は結構ツボだったし、無機質な感じのポムも、その仕草は実に可愛らしい。

  そして、このゲームのもうひとつの面白みは、ユタカ一家を観察するという部分。 「パパ」、「ママ」、女子高生「ルリ」、幼稚園児「タクヤ」という家族に加え、 未来からやってきたタイムパトロール隊員「イチロー」と、やはり未来からやってきた犯罪者コンビ「毒蛇兄弟」が登場。 割と個々のイベントの関連性は薄く、日常的なシーンを楽しむという傾向が強めながらも、 結構伏線が絡み合ってるところもあるし、まぁ感動とかそういうものとは無縁なんだけど、 各エピソードは微笑ましく、思わせぶりにしといて「なーんだ」という展開も良い感じ。
  ちなみに、プッチメンは人からは見えないという設定で、 原住民の生活に手出しをしてはいけないという規約があるという設定なもんで、ストーリーそのものに介入することはできない。
  拠点となるPFO内では「CAMERA」というメニューがあり、これによって住人がどの時間にどの部屋にいるかというチェックができる上に、 前述のカメラからの視点によって、各時間のそれぞれの登場人物の動きをチェックすることができる。 ゲーム中の1時間は約15分かかる上に、大したイベントがない場面も多いので、 できればこの再生モードでは、早送り・巻き戻しができるようにしてほしかったな。


  アイデアそのものは借用した感が否めないものの、 スケール感のギャップや、プッチメンたちのユルい雰囲気、住人たちの日常的な雰囲気がそれぞれ生きていて、それらを上手い具合にゲームに仕上げている。 惜しむらくは、もうちょっとプッチメンの救出にボリュームがほしかったところだけど、それでも十分に評価に値すると思う。 ソツない作りをしただけの佳作ではなく、光るモノを持った佳作だった。

2002年7月18日記載