REPORTガングレイヴ
PlayStation2
2002年7月18日発売発売:レッド・エンタテインメント  開発:戦船 / ポジトロン  

  漫画「トライガン」の作者である内藤泰弘氏がキャラデザと原案を担当しているアクションゲーム。 発売は先日セガの傘下に入ったレッド・エンタテインメントからなんだけども、 レッドとして販売ということになると、これまで通して考えても、おそらく初めてのタイトルということになるんじゃないだろうか。
  開発に携わったポジトロンは、PS『iS internal section』(発売はスクウェア)以外の実績は見当たらず、 一方の戦船は、ESP系のRPGのスタッフロール見かけたことがあるし、アニメ等でも主にメカ関係のデザインの仕事を行ってる会社な模様。


  その内容は、主人公「グレイヴ」が二丁拳銃で撃ちまくるという、他ではないほどの攻撃偏重のゲームになっている。
  基本操作は、□でショット、×でジャンプ、△で「DEMOLITION SHOT」というゲージ消費必殺技、○で走り、 L2で180°ターン、L1で敵のロックオン、R1で背負った棺桶を振り回す近接攻撃。 このボタンの配置は自由に変更可。
  グレイヴの移動スピードはかなり遅めで、L3ボタンを押しながらの速歩きでも速いとは言えず、○ボタンで走ってる最中は攻撃不可。 また、停止中にショットを連射すると、「バーストモード」という撃ちまくり状態になって、歩きながらショットを撃つよりも連射が効く状態になる。
  さらに、グレイヴには一定時間ダメージを受けないと回復するシールド(丁度『HALO』のシールドと同じようなもの)があって、 シールドがゼロになって初めて体力がダメージを受けるという仕様なので、ある程度敵がいて攻撃をしてきても、 こちらも足を止めてガンガン撃ちまくって敵をなぎ倒すなんていうシーンが非常に多くなってくるわけだ。
  そして、その動きの遅さをフォローするのが、レバー入れながらジャンプボタンで行う横っ跳び。 ほとんど高くは上がらず、前後左右に一気に大きく移動する。 さらに、横っ跳び中にショットで、集中的にショットを撃つこともできるので、この横っ跳びショットとバーストモードの攻撃がメインの攻撃手段になってくる。
  一応、ロックオンも用意されているものの、通常のショットもかなり自動的に敵を狙ってくれるので、かなり補助的というか、一部のボス戦でしか使うことはない。
  他のゲーム的な要素ということでは、物や敵を撃つたびにカウントされていく「ビートカウント」というものがあって、 間をおかずに攻撃し続けることで、このカウントがどんどんと増えていき、 このビートカウントが繋がれば繋がるほど、必殺技を使うために必要な「DEMOLITION SHOTゲージ」(以後DSゲージ)がドンドン溜まっていく。 で、このDSゲージを消費してDEMOLITION SHOT(シューティングでいうところのボム的な必殺技)を発動したり、 体力回復ができちゃったりもするので、ビートカウントを繋げていくことが、ラクに戦えることに繋がっていくわけだ。

  ステージは全6ステージで、プレイ時間は初回で2時間程度、2回目からは1時間程度でクリアという短いものだけど、 各ステージ終了時には、ビートカウントの最大値、敵キャラを倒した割合、クリアタイム、体力の残量、 そして「アーティスティックボーナス」という5項目で、5段階の評価が与えられ、ゲームクリア時にはその各項目の合計評価と、それによっての総合評価が得られる。 それによって隠し要素が現われていくようなので、作り手側の意図としては、何度も繰り返しクリアするようなゲームを目指して作ったのだろう。
  その考え自体は悪くないと思う。 ゲームのルールそのものがシンプルなだけに、単純にステージ数を増やしても間延びするだけだろう(それでも、あと2、3ステージはほしかったところだけど)し、 かといって、これ以上ゲームを複雑にする余地も、意外に無いようにも思う。 FPSのように上下にも撃ち分けるようなシステムも考えられるんだけど、それに日本のプレイヤーがついていけるかっていうと疑問もあるし (ただし、“より立体的な戦いを”が課題のひとつなのは確か)。
  だったらだったで、繰り返しプレイする為の環境作りに、もうちょっと気をつかってほしかった。 繰り返しプレイさせるためのエサを上手にまいてほしかったというか。
  隠し要素に魅力がないというのがまず第1だし、その出現条件がハッキリしないというのが第2。 例えば、総合評価がBならエキストラオプションのこの空欄がオープンになるとか、そういうものを明示した方が、良かったように思う。 そして、せっかく難易度をハードにすると結構キツくて面白いのに、データに残る評価が、難易度に関係なく1つだけというのも疑問だ。
  評価項目の中では、アーティスティックボーナスがちとわかり難いというのも難点。 一応、カッコよく戦えばボーナスが付くというものらしく、横っ跳び攻撃をしたり、近づいて攻撃したりすると上がるらしいんだけど、プレイしてても、正直よくわからんことが多い。 プレイ中にボーナスを得たり、減点となったりしたときに、それを教えてくれると良かったんじゃないかな。
  また、とりあえず誰でもクリアできるようにしたというのも良し悪し、 というか、ゴリ押しプレイに対して寛容すぎるように思う。 一応、DSゲージを使って随時体力回復ができちゃうということに対しては、 ステージクリア時の体力の残量に関する評価が最低になるというデメリットはあるものの、ゲームをクリアするという意味においては、ほとんどマイナスにはならない。 フリーコンテニューという仕様にも同様の疑問が残るし、コンテニュー時にDSゲージが継承されるというのもヌルすぎる (よって、ゲージを溜めるだけの捨てプレイなんてこともできちゃう)。 体力回復に関しては、そのこと自体の問題もさることながら、ゲージの主な使い道であるなずの必殺技DEMOLITION SHOTに魅力がないというところにも問題がある。 どういう風にビートカウントを繋げるか、そして、どういう風にカッコ良く戦うかというゲームなのに、 DEMOLITION SHOTを使うとそこで戦いが途切れてしまうし、それがアーティスティクボーナスにプラスになってるのかどうかもアヤシイ。

  ということで、ここからはゲームそのもので気になったことについて。
  ゲームの概要を変えるのは難しいにしても、もうちょっとアクションを多彩にしてほしかった。 例えば、階段の上から後ろ向きにジャンプすると自動的に銃を連射するという、モロにジョン・ウー的なアクションがあって、これが実にカッコよかったんだけど、 結局、あまり生きる機会がなかったのが残念だし、このような地形とアクションを組み合わせた演出がもっとほしかった。 さらにそういう意味では、DEMOLITION SHOTも、もっと上手にゲームに絡ませることができたはず。 現状ではシューティングゲームのボム的な存在になってしまっているんだけど、 むしろ、対戦格闘ゲームの必殺技のような存在にして、ゲームを途切れさせないようなものにするべきだったろう。 近接攻撃にもバリエーションを増やす余地はあるように思うけど、あくまでも2丁拳銃をメインにするということでは、むしろ改悪になるか。
  ただ、それ以上にもっと根本的なところで気になったのは基本の操作感だ。 アナログスティックでしか操作できないのに、操作は全くアナログに対応してないというところに、個人的には最大の不満がある。 L3を押しながらレバーを倒すと速歩きになるって、そういうのはアナログで対応しろよ!ってこったし、 横っ跳びが前後左右4方向にしかできないのにも不満が。 一応、左右+180°ターンボタンで90°ターンができるんだけど、 アナログスティックなだけにこれを意図的に操作するのは難しいし、逆に、180°ターンをしたいときに暴発しがち。 っていうか、明らかに十字キーでの操作を前提に作られてるとしか思えないんだが・・・。 というわけで、そうであるなら、最低限、十字キーでも操作できるようにしてほしかった。 PS系のゲームってなぜかアナログ操作への対応が中途半端なのが多いんだよなぁ・・・。
  また、その操作法のせいでジャンプが生きなかったのか、ジャンプが生きなかったからそういう操作にしたのかは不明だけど、 スティックを入れながらジャンプは普通にジャンプするようにして、横っ跳びはスティックとジャンプの同時押しにするのが筋ってもんだろう。

  グラフィックは文句ナシ。 セルシェーディングを使ってるわけじゃないんだけど、 どこかアニメチックで平面的な質感で、シブめの色調で統一されたグラフィックには見るものがあって、背景もかなり描き込まれてる。 プレイヤーキャラのグレイヴがかなりデカく画面中央に描かれてる割には、それが邪魔になることが意外に少ないというのもポイントが高い。 敵が多数いるところで撃ちまくると簡単に処理落ちしてしまうんだけど、ジョン・ウー的なスローモーション演出って感じになってて、マイナス印象は残らず。
  シブめでハードボイルドさを打ち出した全体的な雰囲気も良好。
  特にムービーシーンは、一見するとセルアニメのようだけど、実はセルシェーディング処理をしたCGムービーとなっていて、 キツい陰影もこの手法にマッチしており、新しい感覚で非常にグッドだった。 この手法を使ったTVアニメが現われてもおかしくないんじゃ?と思ったくらいで、セルシェーディングの可能性を垣間見た気がする。 欲を言えば、(特にキャラクターは)このクオリティーをゲーム中で再現してほしかったけど、それはさすがにムリな話だな。
  ストーリーに関しては語られず終いな部分も多いんだけど、 説明過多になったり、陳腐なラブストーリーを語られるよりはよっぽどマシ。これはこれでアリだろう。
  演出で一点気になったのは、ボスにトドメを刺す時のFINAL DEMOLITION SHOT。 ボスの体力を一定まで減らしてからDEMOLITION SHOTボタンを押すと発動し、全く操作不可の演出シーンに移るんだけど、 なぜか墓場のようなところに移ってしまい、グレイヴが棺桶を変形させて大型火器を発射するというもの。 これがかなり淡白で肩透かし。 どうせ操作を奪うなら、例えば巨大ボスに飛びついて敵の急所に2丁拳銃を乱射するとか、もっとカッコいい演出がいくらでもできたはず。勿体無い。
  細かいところでは、スタッフロールに工夫が見られなかったのが×。 黒をバックに、BGM付きで味気ないフォントのスタッフロールが流れていくだけ。 雰囲気にこだわって作られたゲームだけに、やはり勿体無い。


  撃ちまくりで攻撃偏重というのをゲームにまとめたところは評価したいし、 撃ちまくる爽快感は十二分に表現できていると思う。 ジョン・ウー的な演出を狙ったアクションゲームという意味では、PS2『デビル・メイ・クライ』なんかより、よっぽど正しい方向性に向かってるんだけど、 完成度という意味では習作どまりという感が拭えない。 ゲーム本編のシステム的な部分もそうだし、その遊ばせ方としても、繰り返しプレイさせるゲームにするなら、 繰り返しプレイさせる工夫をシッカリとしなければならないだろう。その余地はいくらでもあるんだから。
  ゴリ押しプレイでクリアしたら終了という人向きじゃないってのは当然としても、自分なりの目標を設けてやり込める人以外には薦めることができないな。

2002年7月24日記載