REPORTファントムクラッシュ
Xbox
2002年6月20日発売発売:元気  

  光学迷彩を装備したロボット「スクービー(SV)」を操る、近未来の東京を舞台にした対戦形式のロボットアクションゲーム。


  対戦形式と言っても、従来のものとはちょっと違う。 まず最大6体までのSVが入れるステージがあって、SVが破壊されると次のSVが参戦というのが延々と繰り返されている。 プレイヤーはそこに参戦して、敵SVを撃破することでお金を得、自機が破壊される前にある程度時期を見計らって出口から脱出するように頑張る、そんな形式になっている。
  ステージは「新宿」「渋谷」「アクアライン」の3つエリアで、それぞれに昼夜とA〜Dまでのクラスがある(つまり全8クラス)。 で、そのクラスに参加してる敵を全員一度破壊すると、そのクラスのボスが登場、そいつを破壊するとそのクラスを制覇したことになる。 さらに、そのエリアで8つ全てのクラスを制覇すると「エリアランカー」と呼ばれるボスとの一騎撃ちに参加でき、 3人のエリアランカーを倒すと、全SVの頂点にいる「ファーストランカー」への挑戦権を得る。 このファーストランカーを倒すことが、ゲームの目標となるわけだ。
  一度の戦闘で全ての敵を破壊する必要はなく、次の戦闘でも一度倒した敵はカウントされているので、 チビチビと攻略可能で、戦闘→店でパーツ購入&パーツのチューンナップ→戦闘→・・・という大まかな流れからしても、 同じく元気が開発した『首都高バトル』のレースをロボットバトルに置き換えたものという感じが強い。 戦闘そのものはスピーディーながらも、 ゲーム全体で考えるとマッタリと楽しめるというこの形は、元気ならでは着眼点と言えるんじゃないだろうか。

  SVの操作系には若干クセがある。 左スティックは前進後退&旋回で、右スティックは上半身の回転、黒ボタン、白ボタンで左右への緊急回避(ステップ的な移動)、Aボタンでジャンプ。 つまり、このゲームでは、『アーマードコア』などとは違い、左右平行移動は補助的な操作になっているというのが大きなポイント。 プレイ開始直後は、ここになかなか慣れず、不満を感じてたんだけども、慣れてくるにつれ、これはこれでいいんじゃないかという気になってきた。 というのも、SVの足は車輪にも変更可で、その発想はむしろ車両の延長上にあるというのがわかってきたから。 最初のうちは、緊急回避は左スティックのクリックで行うようにした方がいいんじゃないかと思ってたんだけど、 気が付けば、ほぼ自由自在に(Aボタンを押しながらでも)白黒ボタンを押し分けられるようになっていたので、やっぱり大した不満にはならず。
  しかし、スティックのクリックが重要な『ガンヴァルキリー』、 2本のアナログレバーを操作する『HALO』、そしてこの白黒ボタンを使いこなす『ファントムクラッシュ』で、 まるでXboxコントローラーのチュートリアルが完了した感じだ。
  左スティックの操作は下半身の向きに合わせて行われる (つまり、スティックを上に入れると、自機の向いている方向じゃなくて、下半身の向いている方向に進む)。 そこで重要になってくるのが、右クリックでの上半身を下半身の向きに合わせるという操作で、 ここらへんに慣れることが、このゲームの操作のキモということになるんだろう。 ただ、最近になって右クリックをすると上下の向きまでリセットされちゃうのが気になってきた。 上下の向きは移動操作には関係ないので、いらぬお世話に思える。 また、上半身の旋回範囲はもうちょっと広い方が良いかな。操作しきれなくなる恐れもあるけど。
  一方の左クリックはその場からダッシュ。 通常の移動でも2、3歩動くと自動的にダッシュしだすとはいえ、慣れてきてからはこの左クリックの重要性が増してくる。 というか、慣れてきてからは自動的にダッシュしてしまうことが煩わしく感じられることがしばしば。 初心者向けのフォローというのはわかるんだけど、ここらへんはオートマorマニュアルのような感覚で設定で変更できると良かったと思う。
  残りのボタンは、LRで各腕に装備した武器の使用、B、Yで各肩に装備した武器の使用、 Xで光学迷彩のオン・オフ、となっていて、A、黒、白も含めてボタンでの操作は自由に設定変更可。
  疑問視されていた操作系だけど、 (特にXboxのコントローラーでとなると)これはこれで意外に隙が無い作りなんじゃないだろうか。

  そして、このゲームで重要なアクションとなるのが光学迷彩だ。 その特徴は、ミサイル系の武器にロックされなくなることと、絵的にも背景に馴染む感じになって見つかり難くなること。 使用するには時間と共に回復する「O.C TIMEゲージ」が満タンであることが条件で、 回復時間はそれほど長くないんだけど、例えば光学迷彩を解いた(解かれた)直後には隙ができてしまう。 敵の光学迷彩を解除させるには、手動で敵を狙うタイプの攻撃をヒットさせるしかなく、 敵がいそうなところにマシンガン系の武器を乱射したり、バズーカ等で発生する爆風を当てるなどが主な手段になってくる。 まさに攻防のキモとなってくる重要なアクションで、する側としては、発生時間重視、回復時間重視等、SV組み立て時に選択肢が生まれてくるし、 解く側としては、必ず対光学迷彩を想定した武器を装備する必要が出てくるわけだ。

  お次はSVの組み立てについて。
  標準タイプの「ホーリー」、重量タイプの「アーロン」、軽量タイプの「フォトン」という基本の3種類があって、脚部パーツ、武器パーツ共に互換性は全く無い。 さらに、胴体パーツはそれぞれ1種類だけ、脚部パーツは5、6種、武器パーツも腕・肩それぞれ10種類もない。
  となると、かなりバリエーションが少なく感じるんだけど、 その代わり、このゲームにはパーツごとにチューンナップするという要素がある。 これは各パーツごとに重量を軽くするLIGHT、重量を重くするHEAVYという方向に99段階のチューンナップをすることができるというもので、 単純にパワーアップというものではなく、例えば、胴体パーツならLIGHT方向にチューンすると軽くなる代わりに耐久性が下がったり、 脚部パーツならHEAVY方向にチューンすると積載重量・耐久性が増える代わりに移動力が下がったり、 バズーカ系の武器ならLIGHT方向にチューンすると軽くなって弾数が増えて爆風が大きくなる代わり威力が小さくなったりと、その効果は一長一短。 よって、なんでもかんでもLv99にすればいいってもんじゃなく、自分なりの戦い方よってチューンしていく必要があるのが面白い。

  世界観&ストーリーは、いわゆる近未来サイバーパンク調。 ただ、登場人物の年齢設定が若いこともあって、そのノリは軽め(話が進むにつれ若干重たくなってくるけど)。
  その設定の妙は「動物型積層脳素子(チップ)」にある。 これは、漫画「ファイブスターストーリー」の「ファティマ」のような、 SVの操縦者を補助する役目の人工知能で、それぞれが喋ることができて個性を持っているというもの。 登場人物が若めなこともあって、冷静に状況判断をするというその性質上、 登場人物の保護者的な形になってることが多く(一部に例外アリ)、そのミョーなパートナー関係がなかなか面白い。 これを動物に模したところも上手いところで、ミョーに愛着が湧いてしまう。
  テキストではルビが多用されていて、製作者自身が言っている通り、ギブスンの影響大といったところ。 ただ、物語のノリそのものが継承されているわけじゃなく、言い言葉と書き言葉を上手にミキシングしてるという意味で、 (一部にやりすぎな部分もあるものの)ちゃんと消化され、狙った効果は得られてると思う。
  物語には全体を通しての大きな軸と、エリアごとに3つの小さな軸があって、 各エリアの攻略度によってイベントが発生してストーリーが進行していくという形。 全体的に青臭い話なものの、実際に登場人物が若いこともあって、それは良い意味での青臭さと感じた。 個人的にはもうちょっとプレイヤーがストーリーに介入できた方が良かったと思うんだけど、かなり人を選ぶのも事実だろうし、こういう形にしたのは正解だろう。 ただ、各ショップで発生するイベントを、もうちょっと増やして欲しかったな。

  キャラクターは、3DGCモデルにトゥーンシェイドをかけてそれを一枚絵にしたもので、 必要以上にアニメっぽくならず、これも独特の雰囲気の生成に一役かっている。
  ゲームプレイ中のグラフィックは、地味に綺麗、そんな部類。 30fpsだし、絵的に驚かされるような部分はないんだけど、立体的に作られたステージ背景は丁寧に描き込まれてるし、ロボの動きも良い。 また、密かにコックピット視点がカッコいいんだけど、実際の戦闘では下半身の向きがわからんということもあって実用的じゃないので、 せっかくだからリプレイでのコックピット視点では、計器類を表示したままにしてほしかったところ。
  音楽は、インディーズの楽曲を200曲近く採用していて、 テクノが多目ながら、ポップス、パンク、グラムロック、フォーク等、ジャンル&曲調は多彩。 それをゲーム中の音楽ショップで曲を購入し、プログラムして戦闘中に聞けるという仕掛けになっている。 また、戦闘時以外のゲーム中の音楽も全てそれらの楽曲(オリジナルの曲もショップで購入可)を使用していて、 イベントシーンとミョーにマッチングすることも。 インディーズってのは、ある意味、青臭いものだと思うので、そこらへんを見込んでの起用だとしたら、なかなか上手いこと考えたと思う。

  基本的に非常に良くできたゲームだと思うんだけど、不満がないわけじゃない。
  一番思うのは、ちとマッタリしすぎかな、ということ。 自機が破壊された時のリスクが、結局お金だけで、そのお金の量もさほどではないというのが一点。 また、高いランクの試合に参戦するときにはそれなりにお金を払わなくちゃならず、 結局、そのランクの高さに見合ったお金が得られないというのもある。 全体的に、もっとハイリスクハイリターンというメリハリがほしかったところ。 ランク&ランカーの関係が、あまりにもゲーム的な感じで、現実的じゃないというのもちょっと気になった。 まぁ、ゲーム的なわかりやすさという意味ではしょうがないんだろうけど、個人的には、ボクシングのような形式の方が良かったな。
  んで、マッタリならマッタリで、もう一点くらいマッタリと楽しめる要素がほしかった。 そこで自分が惜しいと思うのがチップに関して。 他の登場人物たちが、チップと1対1の関係でまさにパートナーという形なのに、 プレイヤーは複数のチップを持てちゃうし、戦闘でのセリフ以外では接点が無いのが寂しい。 プレイヤーも持てるチップはひとつだけにして、何かしらチップとコミュニケーションを取れるような要素があれば面白かったと思うな。
  戦闘時に、敵のセリフ等が真正面に表示されることがあるのは、さすがに邪魔だったし、 自分のチップのセリフと、敵のセリフは違う位置に表示した方がわかりやすかったろう。 また、性能を左右しないオプションパーツが多いのはいいんだけど、それぞれ、全く変化がなさすぎなのは寂しい。 コックピット視点に変化があるようなものがあると良かった。 パーツ購入、ロボ組み立て時には、その数値変化の提示がイマイチこなれておらず、パーツを変えたらどうなるのか、ってのが若干わかり難い。 デザイン関係では、フォントに工夫が見られなかったのが残念で、サイバーパンクな世界観とゴシック体のフォントがなんともミスマッチだったな。
  パーツ増やして、ステージ増やして、彩色パターンを増やして、セリフパターンを増やして、とかは、当然のように限がない要求か。 それぞれ、「足りん!」ってほどではないし。

  最後に、実写とCGを組み合わせたオープニングムービーは短いながらも実にグッド。 「おっ」と思わせられるオープニングムービーを見たのは久しぶりだった。


  元気ならではの視点が生きた、見た目以上にオリジナリティがあるナイスなロボットアクションゲームで、 第一印象はイマイチだった操作感にしても世界観にしても、慣れていくにつれ、むしろお気に入りになっていった。 ちとマッタリしすぎなところが気になって、ゲーム単体では大のお気に入りってほどではないんだけど、 自分の場合は、世界観、キャラ、シナリオがツボにハマったのでそこでフォローされた。 オンライン化でさらに化けそうな気配もあるので、そういう展開に期待したいところ。

2002年7月7日記載