REPORTタイガー・ウッズ PGA TOUR 2002
PlayStation2
2002年7月18日発売発売:EA  

  前作のPS2『タイガー・ウッズ PGA TOUR 2001』は数少ないリアル系ゴルフゲームとして、 良い部分がないわけではなかったので結構楽しめた一本だった。 この『2002』は、かなり様変わりしたという話だったし、海外での評判も上々だったので、 全英オープンでの丸ちゃんの健闘に触発されたこともあって、サックリと購入してしまった。


  まず目にとまるのは、グラフィックの大幅な向上。 グラフィックは全面描き替えとなったようで、前作とは全くの別モノとなり、まぁ今回のも今回ので、またリアルってのとは違う質感なんだけども、 結構遠いところまで描かれていて、空気遠近法もシッカリとしてるし、 揺れる木の葉っぱ、コースにたちこめるモヤ、波しぶき、ウソ臭くない程度にいる小動物、雨、ギャラリーなどなど、細かいところまで非常に良く描き込まれている。
  また、ナイスショットを打ったときの、 時間が止まって360°回転してプレイヤーを映したりスローモーションになったりという「マトリックス」チックな効果や、 プレイヤーの奥の遠景をボヤケさせたりとかの演出も光る。 その上で、描画レートが上昇・安定したというのも大きなプラス。
  キャラクターの造形は、丁度『SSX TRICKY』なんかに近いものがあって、 造形も質感も独特の雰囲気なんだけども、結構表情が細かく変化するところには好感が持てる。
  音関係での変更は、実況付きになったというところ。 淡々としがちなゲームなだけに、地味ながらも結構嬉しい要素だったりする。

  で、肝心のゲーム内容。
  スティックを下に入れてスイング開始して、テイクバック中にスティックを上に入れてショットを打つ、という基本操作は変わらずで、 このテのショットシステムを持ったゲームの中でも、もっとも実際にショットを打つ感覚に近いものがあると思う。 ただし、前作にはあったゲージが消えてしまって、完全にスイングを見るだけでタイミングを計るようになったので、 ミスショット(といっても左右に少しズレる程度のもの)をしたときに、その原因が分かり辛くなってしまった。 ハーフスイングとかの力の入れ具合もスイングを見て判断することになったので、 特に、中途半端な距離のアプローチでの力の入れ具合なんかが、かなり適当になってる感がある。
  ショット後にスピンをかけるという手法も相変わらずで、ボールが着地してから真横に転がるようなスピンもできちゃうというシロモノなんだけど、 その代わりにというか、今作ではスピンをかけても弾道そのものは変化しなくなった (前作ではスピンをかけると弾道そのものが変化し、例えばトップスピンをかけると飛距離が伸びてしまっていた)。
  よって、フェードやドローはテイクバックの時に斜めにスティックを入れて行うことになるんだけど、 かなり極端に曲がってしまうので、使いこなすにはそれこそプロなりの訓練が必要っぽい。要するに、使えない。

  そして、何より変わったのがパッティング。
  前作では、傾斜が強調されるて表示され、そこからパッティングラインを読むという、 とっつきが悪い代わりに、慣れるとなかなかリアルな感覚で楽しめるパットだったのに、 本作では、左右に何FT曲がって、前後に何FTの影響があるかというアドバイスから、距離感をあわせて打つというだけのシステムになってしまった (グラフィック的にプレイヤーがパッティングラインを読むのはほぼムリ)。 パワーを入力するタイプではなく、ターゲットを自由に動かして距離を測るタイプで、そのターゲットまでの距離が表示されないので、 自由に動かせない視点の中、なんとか距離を測ることになり、最初のうちはかなり距離感が掴めずに戸惑ってしまう。 逆に、ある程度慣れてきて距離感が掴めてくると、かなりスコンスコンと決まってしまう。 それもラインを読むという行為がなく、示された数字に距離をあわせるというだけなので、大味な上に淡白という印象だけが残る。
  パッティングが淡白だとゴルフゲームは大味になるというのが自分の持論なわけで、 まさにこのゲームをそれを地でいく結果になっている。
  見た目ではラインはほぼ判別不能なので、アプローチするときもグリーンに乗ってからの転がりを計算することはできず、 そもそも、100yrd以下の距離のショットで細かいパワーの調整がつけ難いゲームになってるので、 とにかく、短い距離のアプローチは大味この上ない。 また、グリーンエッジではパターとウェッジ系のクラブしか使えなくなり、例えば、“5番で転がす”とかの選択肢もないし。

  ライの質・傾斜、風などの外的要因の影響が弱めなのも前作を継承。 特にライに関しては、前作以上に大味といってもよく、例えば、グリーン以外ではどんな状況でもあらゆるクラブが使えちゃうし、 その上深いラフとかでもアイアンで打とうがウッドで打とうが干渉される比率は一定で、 ラフとかでもその干渉される比率の幅が小さいので、次のショットは計算しやすく、トラブルらしいトラブルには陥り難い。 ライの傾斜はおそらく全く影響しないようなので、要するにフェアウェイを狙って打ってけばいいだけになってるところがある。

  ゴルフゲームとしてはひと通りのモードが揃っているけど、 1人用で主となるゲームモードは「タイガーチャレンジ」「シナリオ」「トーナメント」の3つだろう。
  「タイガーチャレンジ」は、マッチプレイでの対CPU戦モードで、倒した相手はプレイヤーとして使えるようになっていくというもの。
  「シナリオ」は前作にもあったモードで、 “パー3の5ホールをなるたけ少ないスコアでまわれ”“残り7ホールで3Downを挽回しろ”とかの課題をクリアしていくというもの。 その結果によって、ブロンズ、シルバー、ゴールドというメダルがもらえて、それに応じた賞金がもらえるんだけど、 他のモードに比べると賞金の量は多くないので、とりあえずクリアするためのモードと言ってもいいんじゃないかな。
  それぞれのモードで得られる賞金で、 自分のキャラの能力(スキル)を強化していけるというのも今作から追加されたファクター。 ただ、自分のキャラの外見は、いつでも選択可能なキャラの中から選べることができるので、個々のキャラを育成するという感じではない。 タイガーチャレンジでは自キャラしか使えない代わりに、トーナメントでは最初から能力の高いタイガー・ウッズが使えてしまうので、 少なくともひとりプレイでは、新しいキャラを得てもそれを使う機会は皆無と言ってもいい (自キャラの外見のバリエーションが増えていくだけというか)。
  累計賞金総額によって選択できるコースが増えていくし、 最後の「タイガーズドリーム」というコースは、タイガーチャレンジで敵を倒すごとに1ホールずつオープンになっていき、 タイガーチャレンジをクリアするとタイガーズドリームの全ホールがプレイ可になり、最後のトーナメントがオープンすることになる。 とりあえず、それなりに長く遊べる作りになってること自体は評価したい。
  また、ゴルフゲームとしては初めて「スピードゴルフ」を再現したゲームじゃないだろうか。 これは、打った後にスティックを使って自分を次のショット地点まで動かしていき、ホールアウトまでのタイムにストローク×3を足し、その少なさを競うというもの。 新しいといえば新しいんだけど、落下地点を見る余裕はないので、1人プレイではやはり大味なだけという印象。 ただし、ルールがちょっと変わって、お互いに賞金を奪い合うという形になる、画面分割で行う対戦は結構面白そうな気配がある。

  前作では全3コースで登場するゴルファーが6人だったんだけど、 今作では全7コース、登場するゴルファーは18人と大幅にボリュームアップ。 18人中12人が実際のPGAプロで、前作から引き続きのジャスティン・レナード、ブラッド・ファクソンに加え、 リー・ジャンセン、ジム・フューリック、コリン・モンゴメリ、イェスパー・パーネヴィック、ヴィジェイ・シンなどなど、 (あくまでも、前作と比べれば、だけど)まだ華のあるメンツとなった。 そして、7コース中4コースが実在のコース(ペブルビーチも含まれている)。 逆に言うと、架空のゴルファーが結構いて、架空のコースが結構あるということになるわけで、それらはかなりの難物。 架空のゴルファーは、Tシャツにジーンズ姿だったり、 特に日系っぽいMelvin "YOSH" Tanigawaというキャラは、前髪を金髪に染め、手足にはタトゥー入り(でも細目で眼鏡をかけてるのが笑える)。 さらに、架空のコースはまさに“プロゴルファー猿”状態で、 大味なゲーム性を奇抜なコースでフォローしようとする魂胆が見え見え。 例えば、最高のタイミングでショットしたときは、ショット時のモーションがステップをしながら助走をしてのショットに変えられてしまうというのも、正直、萎えるだけ。 いや、そういうゴルフゲームがあってもいいとは思うけど、“PGA TOUR”を名乗るゴルフゲームでそれをやるか?っていう。
  ちなみに、自分のデータでは、(主にタイガー・ウッズで)32ラウンドをプレイして、 アベレージスコアは58.4、アベレージパットは1.3、バーディの数の方がパーより倍以上多く、ボギー以下だったのは10回だけ。 リアルさの欠片もないじゃないか・・・。
  地味ながらも、単位がフィート、インチ、マイルで固定なのはいただけない。 特にイタかったのが、グリーン上でのフィート&インチ表示と、風力のマイル表示で、全くピンとこなかったなぁ。


  グラフィックは綺麗だし、テンポが良く、モードが多彩で長く遊べるので、 悪くないゲームなのかもしれないけど、自分が求めるゴルフゲームとは大きくかけ離れたもので、 パッティングが面白かった分だけ、前作の方がマシだった。無念。

2002年8月6日記載