REPORTダーククラウド
PlayStation2
2000年12月14日発売発売:SCE  開発:レベルファイブ  

  この11月に発売されるPS2『ダーククロニクル』がなかなか良さげだったので、 どうせなら、まず前作に相当するらしいこの『ダーククラウド』をと、プレイすることにしてみた。
  ちなみに、開発のレベルファイブは、この『ダーククラウド』がデビュー作で、 SCEのセカンドパーティ的なメーカーなのかと思いきや、現在はXboxで『TRUE FANTASY LIVE ONLINE』というMMORPGを製作中だったりもする。


  一般的にはアクションRPGに部類されるようだけど、『ゼルダ』タイプのアクションRPGじゃなく、 ダンジョンをチマチマと冒険し、育成に励むというものなので、タイプとしては『ファンタシースターオンライン』なんかに近い (まぁ、ジャンル名的にはむしろ後者に合ってると思うんだけども)。 予想以上にマッタリゲームだったので、ちょっと意外だった。

  ダンジョンに潜って「ジオラマパーツ」を集め(この部分が「ダンジョンパート」と呼ばれる)、 地上に戻ってそのパーツを配置して街を作っていく(この部分は「ジオラマパート」)という内容で、自称ジャンルは「ジオラマRPG」。 ダンジョンの一番奥にはボスがいて、それを倒すと次の町(ステージ)に、というのが大きな流れになっている。
  と聞くとなかなか新鮮で楽しげなんだけど、最大の特徴であるはずのジオラマパートはかなり消化不良気味
  パーツには、そのまま配置できる建物パーツと、 建物パーツに組み込む住人や小道具という2種類に分かれるんだけど、まずこの組み合わせに自由度がないのが残念なところ。 各建物パーツに組み込むべきパーツは決められちゃってるので、ここはかなり作業的になっちゃってる。
  街の組み立ては、『シムシティ』というより『テーマパーク』を想像すると分かり易いかも。 で、この目的のひとつに、住人の要望通りの街を作るというのがある。 各住人が「○○の近くがいい」とか「○○の向きで」といった要望を持ってて、全ての住人の要望を満たした街ができると、 強力な武器が貰えるなどのイベントが発生するというもの(よって、これは必須ではない)。 この要素のお陰で、街の組み立てに自由度が感じられなくなってしまった。極々単純なパズル。 発想としては面白かっただけに、 それが結局、パズルにも成りえてないような作業的なものになってしまったのは、非常に残念だった。 こういう形だとしても、住人に話せば要望を教えてくれるというのではなく、そこをプレイヤーに考えさせるような仕掛けがあれば面白かったろうに。

  そして、このゲームのもうひとつの要素であるダンジョンパートに関して。
  ダンジョンは自動生成タイプで、戦闘しながらマップを進む以外に、これといった要素はない。 一応、サバイバル的な要素として「のどの潤い」があって、『Rouge』や『不思議のダンジョン』の名残を感じるものの、 実際にそれが機能することはまず無いので、戦闘がロックオンしての1vs1形式ということを除けば、視点的にもほぼ同時期発売の『PSO』に近いものがあると思う。
  動きのレスポンスは『PSO』よりクイック。 各部屋に現われる敵は多くても3体程度で、大概の場合は『ゼルダ 時のオカリナ』のような感じで敵をロックオンしての、 1vs1形式で戦闘することになるものの、敵の移動スピードが遅く、自キャラの移動スピードが速めなので、多数の敵の捌きに苦労することはあまりない。 敵を倒さずともガンガン先に進めてしまうんだけど、次のフロアに進むためには、 どこかの敵が持ってる「キーアイテム」をゲットしなければならないので、概ね、ローラー作戦的に敵を掃討していくことになる。
  視点操作は、LR1キー、あるいは右スティックでの視点回転に加え、×ボタンでのカメラリセットも用意されているし、 その×ボタンを押しながら動けば、キャラの背後にかなり強くカメラを固定したままで動けたりと、至れり尽せり。 第一印象では「これなら問題ないか」と思ったんだけど、それは脆くも崩れ去ることに。
  移動時の視点で一番問題なのは、キャラの背後を捉えようとするカメラの動きが強すぎることだろう。 よって、必要以上に視点がクルンクルン回ってしまう印象で、自分がどっちを向いてるのかをかなり見失いがち。 お陰で、マップへの依存が大きいゲームになってしまった。 実際に画面上には大きめに表示されているし、マップと睨めっこしながら移動してる時間が一番多いんじゃないだろうか。 視点操作をしないでもプレイできるようにという配慮が、逆にアダとなってしまったんだろう。 せっかく視点操作自体は多彩に用意されているんから、それらを使うことを前提に作った方がマシなものになったはず。
  また、戦闘時の視点にも難アリ。とにかく敵との間合いが掴み難い。 その原因は、視線が低めになってるのでどうにも前が見え辛い上に、 ロックオン時には自キャラを真後ろから見る格好になってしまうので、よりそれが悪化してしまうというところにある。 一応、右スティックの上下で視線を上下に動かすことができるのに、自キャラをちょっとでも動かすとすぐに元に戻ってしまうという謎仕様の為、全く意味がない。 カメラと自キャラまでの距離が近めなこともあって、ロックオンを使わずに戦うのは非常に難しいし。
  と、敵との間合いがわかり難い上に、こちらの攻撃の当たり判定はミョーにシビアなとこがあるので、「あれ?」って感じで攻撃がスカることがしばしば。 序盤での空中に飛んでるコウモリとの戦いがこのゲーム最大の難関といっても過言ではない。
  逆に、アクションゲームとして重要な攻撃を受けたときの納得度という点では、弾を投げようと振りかぶった手に当たってダメージを受けたり、 攻撃した後のフォロースルーに当たってダメージを受けたり、「なんじゃそりゃ?」ってなことが目立つのが困りもの。
  ここらへんは、アクションゲームを作る力量がないのに、 下手げにアクション色を強めたとこが裏目になってしまったと思うので、もっと“RPGなんだ”っていう割り切りがほしかったところ。

  一方、ゲームバランス面での一番の問題は、遠距離攻撃が使えすぎるということだろう。
  最終ステージを除く5つのステージそれぞれでひとりずつ仲間が増えていき、その内訳は登場順に、剣を使う主人公「トアン」、 パチンコを使うネコ耳少女「シャオ」、ハンマーを使う「ゴロー」、指輪から魔法を放つ「ルビー」、 槍を使う「ウンガンガ」、マシンガンなどの銃器を使う「オズモンド」の6人。 で、実は、最初の飛び道具キャラであるシャオを仲間にするまでが、このゲームの一番キビしいところだったりする。 そこからはスイスイ。 そして、やはり飛び道具キャラである最後の「オズモンド」を仲間にすると、 それまでにも増してグダグダになってしまうくらい、そのキャラによるマシンガン攻撃が強すぎ。 RPGではしばしば起こることだけど、序盤が一番キツくて、終盤は一番ヌルいという、典型的なダメダメバランス。
  比較的単発のダメージは大きいゲームなので、まったくダメージを受けないで倒せるザコ中のザコは近接攻撃で、 少しでも厄介な敵は飛び道具でとなりがち(それもマシンガンを得るまでの話なんだけど)。 敵の数が少なく、自キャラの移動スピード>>敵の移動スピードなので、敵に押し込まれるという状況が生まれないし、 敵の攻撃のバリエーションの少なさ、敵の組み合わせのバリエーションの少なさなどによる問題もあって、 結局のところ、遠距離攻撃のデメリットが小さすぎ、近距離攻撃のデメリットが大きすぎ、メリットが無さすぎということになってしまった。
  で、これには育成要素も関連してくる。
  各武器には2〜4のスロットが付いてて、そこに「アタッチメント」をはめて武器を強化。 武器ごとにだけ設定されている経験値が満タンになりその武器をレベルアップさせると、そのときにスロットにあるアタッチメントの能力が武器に付加される。 これを繰り返して武器を強くしていくというのが基本。 で、武器のレベルが5以上になるとその武器を「合成玉」という、 アタッチメントに変化させることができる(元の武器の6割の能力が引き継がれる)ので、これをまた武器にはめて・・・となっていく。
  アタッチメントの付け外しは自由なので、ひとつ強い合成玉を作ってしまえば、あとはそれを各キャラで使いまわし。 また、攻撃力、耐久力といった基本性能には、各武器それぞれに上限があって、割とすぐに上限に達してしまう。 実は、飛び道具は攻撃力の上限が低めに設定されてるのが、一応のデメリットなんだけど、そのメリットとは比較にならない程度の差。 さらに、経験値を得るのはトドメを刺したときなので、近接武器を育てたときも、飛び道具で削って近接攻撃で締めということになりがちだったりする。
  逆に上限が高く設けられているのが、火、冷といった5種の攻撃属性と、ビースト、アンデッドなど全10種の対属性。 属性がこれだけあると、かなり面倒なはずなんだけど、それを意識しないとキツいようなシーンはほとんどなかったので、まぁOK。 って、それじゃダメじゃん、という話もあるが。 敵がどの対属性を持ってるのかってのも一部わかり難いんだけど、攻撃属性が効いてるのか効いてないのかはもっとわかり難いので、エフェクト等でのフォローがほしかった。
  また、武器が一定のステータスを満たすと、違う武器に変化させることができるという、「ビルドアップ」という武器成長要素もある。 ただ、条件が謎すぎな上に、どうやらビルドアップのバリエーションもかなり少ない模様。 さらに、別にビルドアップしなくても、道なりに進めていくだけでも武器の強さに困ることはないので、 自分は1回しか行う機会がなかったし、かなり浮いてる要素となってしまっている。 妙に機会の少ない(よって偏る)武器入手を、数を増やす代わりにその質を落とし、 その上で、もっとこのビルドアップの重要性を高くすれば、より面白いゲームになった可能性もあると思う。
  と、性能的にはキャラの使い分けにあまり意味がないにも関わらず、 各キャラじゃないと通れない場所が設けられてるので、 セレクトを押してキャラを選んで、そこを通ったらまたセレクトを押して元のキャラに戻して・・・ってことになるし、 ジオラマパーツが入ってる「アトラ」は主人公でしかゲットできないというのも全く同じような話で、これが実に鬱陶しい。その意図がワカンネ。
  そもそも、キャラが多すぎなんじゃないかねぇ。 というか、主人公以外のプレイヤーキャラって必要だったのか?  話に絡んでくるのは主人公だけだし、 どうせなら、主人公が複数のタイプの武器を使い分けるような形にした方がマシなものになったんじゃないだろうか。
  時折出現するキャラ固定フロアだけが、ゲーム的な唯一のキビしさといったところか。 単発のダメージが大きめといっても、遠距離攻撃をしてる分にはまずダメージを受けないし、持てるアイテム数も多目で、いつでも地上に戻れるアイテムも安価。 次のフロアへ移動するときには地上に戻ることができ、またそこからプレイ再開可と、必要以上にライトな作りになってる。 このテの自動生成ダンジョンを用いたゲームって、どこかに何かしらの緊張感がないと、一気にダレダレなゲームになりがちだし、まさにそれを地でいってるわけだ。

  シナリオは、一応ヒネってるつもりなんだろうけど、勢い&感情任せな部分が目立つ、良くも悪くも日本的なもの。 タイムトラベルなんかを絡めてくるんだったら、もうちょっとは論理的に攻めてほしかった。 また、主人公以外の使用キャラが、仲間になる時のイベント以降は全く話に絡んでこないってのも悲しい。 個々のエピソードがてんでバラバラ。
  ベタな剣と魔法の世界じゃないのは悪くないんだけど、それを表現する機会があまりなかっただけに、“っぽくなくて良い”と言うまでには至らず。 むしろ、各ステージで大きく雰囲気を変化させてる分、統一感に欠けてるだけという印象が強い。
  でも、それ以上に致命的だったのはイベントシーンの内容だろう。 異常に淡々としていて、盛り上がらないにもほどがある。 音声がないのもその一因なんだろうけど、何にでも声つけろってのは好きじゃないし、これだけに原因を押し付けたくはないな。 なんせそれ以外にも、表情の弱さ、モーションのチャチさ、重力が感じられない動きなどにも、 キャラが魅力的に感じられない原因があるわけだし。 まぁ、セリフを一言も喋らない等、あえて無色気味にした主人公の性格付けにも問題アリなんだけど。 その上、カメラワークに工夫がない。 さらに、音楽が全くイベントを盛り上げない。どーにもならん。
  ハラハラドキドキはまだしも、笑わせようとしたり、泣かせようとしたりが、ものスゴい勢いで空回りしてたのがツラいところ。 そもそも絵的にも音的にも落ち着いた雰囲気なんだし、だったら、もっと話的にフムフムと楽しませるようなものを目指してほしかったな、と。

  グラフィックは、発売時期を考えれば頑張っている部類。 見える範囲も広く、遠くがボヤけるようになっている為にチラツキは気にならないし、 独特なデザインで頑張ってるところもあるし、メリハリがある各種モデリングも好印象。 ただ、イベントシーンでの見せ方がマズいのと、パーツを配置するという形なだけに、まさにパーツって感じで、 若干ダイナミックさに欠けるところがあることによって、全体的にはさほど印象に残らず。
  音楽は、メロディ単体としては綺麗で良い雰囲気なんだけど、前述の通り、場を盛り上げるということに関して全く貢献できてないのが問題。 ゲームのとのマッチングという意味で疑問が残る。

  細かいインターフェースにも難点が幾つか。 まずは、ムダにマウスでのドラッグ&ドロップ風な謎のインターフェース。 ショップでは、左に店の品揃え、右に所持アイテムが表示され、 売りたいものは右から左に、買いたいものは左から右にドラッグ&ドロップし、Checkをクリックすると清算されるという仕組み。 なんだけど、ボタン一発で売り買いができる「マッハ売り」や「マッハ買い」なども用意されて、結局はそっちしか使わなくなる。 しかも、マッハじゃない方のやり方だと同じものが複数個買えないし、あまりにもそのメリットが見えてこなかった。 これはメニュー内でアイテムを操作するときにも似たような傾向が。 一応、フリーカーソルじゃなく、次のアイコンへと移動していくカーソルという作りがフォローのつもりなんだろうけど、そもそもの発想が間違ってる。 さらに、街を実際に歩いているウォークモード中はパーツの組み立てができなかったり、上方から街を眺めるエディットモード中には、今度はステージ移動ができなかったり、 パーツを置ける場所以外ではエディットモードからウォークモードに移れなかったりと、致命的とまでは言わないけど、不満に感じられる部分が多かった。 また、エディットモードに入ってからは、メニューで「移動/撤去」を選択してからじゃないと、建物の移動ができないのも気になった。 ボタンは余ってるんだから、そこらへんはわざわざメニューを開かないでも行えるようにすべきだったろうに。 まぁここらへんは、デビュー作なりの洗練不足さと言って済ませられるレベルか。
  一点、とっつき難いゲームなんだけど、その分、序盤での解説では絵的なフォローなどもされていたのはグッドだった。


  アイデアとしては面白い部分もあったし、もっと煮詰めていけば面白いゲームになったのかもしれないけど、 残念ながら本作のデキ自体は、アクション部分が絶望的ってのに加え、システムも練り込み不足、シナリオ&キャラにも魅力ナシと、散々なもの。 つっこみどころが多すぎて疲れた
  『ダーククロニクル』に対する期待も、やや減少気味。

2002年11月2日記載