REPORTエターナルダークネス
GAME CUBE
2002年10月25日発売発売:任天堂  開発:Silicon Knights  

  若干変わった作りではあるんだけど、 『サイレントヒル』や『バイオハザード』と同系のゲームと言ってよいであろう、ホラー色のあるアクションADV。
  開発スタジオのシリコンナイツは、実は『ケイン・ザ・バンパイア』を開発したとこ。 その後、発売元のCrystal Dynamicsと折り合いがつかなくなったらしく、 続編の製作から外されてしまい、流浪気味なところを任天堂に拾われてセカンド化した模様。 そのセカンド化第1弾が本作ということになる(というか、シリコンナイツとしては『ケイン・ザ・バンパイア』以来のゲームかも)。


  ある日、主人公アレックスの元に祖父エドワード・ロイヴァス博士が自宅で惨殺されたという知らせが入り、 殺人現場である祖父の館に向かったものの、現地の警察の捜査は遅々として進まないので、アレックスは自ら館を探索し、その真相を探ることにした。 彼女はそこで「エターナルダークネスの書」という怪しげな本を発見。 それは、古代から今にまで続く、暗黒神との戦いの歴史と、そこに巻き込まれるべきして巻き込まれた人物達の記憶を引き継ぐ人智を超えた書物だった・・・。 というのが話の導入。

  ゲームの流れは、アレックスがロイヴァス邸を探索し、エターナルダークネスの書のページを見つけ、 そこに記された過去の人物のエピソードをプレイし、そこで新たな知識or能力を得て、またロイヴァス邸でページを探索し・・・というもの。 過去のエピソードのプレイが主になってくるので、ステージクリア形式に近いものがある。
  視点は完全にCPU任せなんだけど、『バイオハザード』のようなラジコン操作じゃなく、 スティックを入れた方向にキャラは動くし、視点も、演出重視の急な切り替えはなく、動的に視点が変化していくので、 スティックを入れっぱなしにすればその方向に動き続けるなんていう仕様も無く、全体的に非常にプレイし易いものに仕上がってると思う。

  このゲーム最大の特徴が「サニティ」(日本語に直すと“正気度”って感じかな)というステータス。 敵に遭遇すると減少、敵にトドメを刺すと回復というのが基本で、 サニティがゼロの状態でさらにサニティが減ると体力が減っていくというものなんだけど、そういったゲーム的な仕様以上に、演出面での貢献が大きい。
  サニティが低下し正気を失ったキャラクターは幻覚を見たり幻聴を聞いたりする。
  特にポイントが高かったのが幻聴で、サニティが低下してくると、突然壁を叩く音や足音が聞こえたりし、さらに低下すると叫び声や泣き声が・・・。 ヘッドフォンをつけてプレイすると、結構くるものがある。
  逆に、ちょっと肩透かしだったのが幻覚。 通常の場面で背景が変化してるようなとこをもっと増やしてほしかったし、イベント的にパッと見せるシーンでは、 キャラクターじゃなくプレイヤーが見ているという設定の幻覚(PS『メタルギアソリッド』のヒデオネタみたいに、ゲームであることをネタにしたようなもの)があるのもこのゲームの特徴で、 それはそれで面白いんだけど、キャラクターが見る幻覚イベントで凝ったものがもっとほしかった。
  まぁどっちにしろ、これまでのホラーゲームとはちょっと趣向の違う恐怖感が味わえるのは確か。

  Rトリガーで敵をロックオンし、その状態でスティックを上に入れながら攻撃すると敵の頭を、 スティックを左右に入れながら攻撃すると敵の左右の腕を攻撃するというのが、このゲームの戦闘システムの特色で、頭を失えば当然敵は自分を見失うし、腕を失えば攻撃できなくなる。 よって、迫りくる敵の頭をカチ割って、まず敵の動きを止めてから、各個撃破するなんていうのが、基本的な戦い方になってくるわけ。 ただ、視点にちょっと難アリで、視点の切り替えがないから操作で戸惑う場面こそないものの、自分の前の状態が分からず四苦八苦なんてのは従来のバイオ系ゲーム同様。 寄り気味の視点では、自キャラが結構画面端まで行けてしまうだけにその先の状況が見えなかったり、引き気味の視点では、自分と敵の位置関係がわかり辛かったり。
  そのサニティと戦闘を、良くも悪くもフォローしてしまっているのが魔法の存在。
  話が進むにつれ「レゴルモア(場)」「ネロカース(吸収)」などのルーンをゲットしていき、それを魔方陣に組み込むことで魔法を覚えていく。 魔法を唱えると、魔法の属性ごとに違った声で自分の周りにルーンが現われていき(この演出が実にカッコいい)、 全てのルーンが出現すると魔法が完成、魔法が完成する前に動いたり、攻撃を喰らったりすると魔法がキャンセルされるというもの。 魔方陣は、ルーンを3つセットできるもの、5つセットできるもの、7つセットできるものを順にゲットしていくんだけど、 結局、魔法の内容はルーン3つだけで決定してしまい、そのあとは「バルゴン(力)」というルーンを加えるだけなのが、ちょっと肩透かしだった (ルーンは全部で10種類あるのに、魔法も10種類くらいしかない)。 システム的に面白かっただけに、もうちょっと膨らませてほしかったな。
  問題は、歩いているだけで魔法力が回復してしまうというところだろう。 よって、体力回復ができるリカバー、敵の攻撃を一定回数防いでくれるシールドを憶えてしまうと、それらを慎重に使ってる限りでは、戦闘で死ぬことはほとんどないといっていい。 ダメージをちょっとくらい受けても全然問題ないので、結果的に、視点的に使い難いわ、弾数制限があるわな飛び道具は、 どうしても存在価値が希薄になってしまった(ある敵1種類を除けば、使う機会は皆無といっていい)。 また、リカバーではサニティも回復できてしまうので、サニティが低いときに真価を発揮するゲームであるにも関わらず、 やろうと思えば、ほぼサニティMAXの状態でゲームを進めることができてしまう
  例えば、魔法を使えばサニティが減り、時間で魔法力が回復しないような仕様にするなど、 もうちょっと緻密なシステムの絡み合いがほしかったところではあるんだけど、戦闘に関しては、こういったシステムの緩さのお陰で苦にならなかったって部分があるのも事実。 ゲーム的な仕掛けとして上手く組み込まれているのもポイントが高く、謎解きの流れ自体は、日本のゲームとさほど変わらず、 アイテムを道なりにゲットして、道なりに使っていくというだけなんだけど、この魔法が良いアクセントになっていた。 演出的な良さも含め、サニティ同様、このゲームの良いところと言えるだろう。

  一般の人々が知らぬ間に超人類的な古代神が覇権争いをしてるというその世界観は、 クトゥルー神話(特に、ラブクラフトそのものの世界観ではなく、ラブクラフトの死後に再構築された方の世界観) の影響が色濃くうかがえる。 人智を超えた超人的な脅威を対象にした、いわゆる“コズミックホラー”というやつ。
  チャターガ、ゼロタース、ウーリアスという神が三つ巴の存在で、その上位にマントロクという神が存在してるという設定。 ゲーム序盤の選択によって、倒すべき相手が3神のうちのいずれかになり、その選択によって、ムービーシーンやシナリオの細かい点や、敵の属性などに違いがでてくる。 で、3回クリアしてそれぞれの神を倒すと、真のエンディングが・・・という作り。 その作り自体は結構なんだけど、さすがに3回目ともなると若干ダレ気味で、このゲームに対する好感が、それによって薄まってしまった感もある。 どうせなら、幻覚&幻聴のバリエーションを増やすとか、もうひと工夫ほしかったところ。
  シナリオは非常に面白かった。同系のゲームの中では傑出してると思う。 時代を経てから同じ場所を尋ねたときのヘンな違和感であるとか、そういう過去の話の積み重ねが、今の自分(アレックス)に繋がってくるっていう作りが実に上手い。 ヘンに感情論に突っ走ってしまいがちな日本のゲームには、是非見習ってもらいたいところ。

  グラフィックの第一印象はイマイチ。 人物のモデリングは粗いし、陰影がキャラに影響しない(ただし、光源処理はシッカリしてる)のでなんか浮いてるし・・・と。 ただ、ゲームを進めていくにつれ、よりその真価が発揮されていった。 欧米はもちろん、中東、アジアを舞台にしたところも含め、背景の描き込み具合はかなりのものだし、 人物にしても同様の個性的なバリエーション豊かさに加え、 細かい動き&仕草が凝っていたり、和モノの場合どうしても堅くなりがちな表情が豊かで自然なところがポイント高い。
  音関係(効果音、音声、BGM)の充実と相まって、総合的な表現力はかなりのものだと思う。 その中でも、幻覚を見た直後やモンスター図鑑での、狂気を感じさせるテンション高めな音声は良かった。
  単純な恐怖感という意味じゃPS『サイレントヒル』なんかには全く及ばないんだけど、 ストーリー的にも演出的にも、それこそ海外怪奇小説のような独特の恐怖感がある。
  ちょっと気になったのが、イベントシーンで通常より画面の照度が上がって明るくなるという仕様。 操作不可のイベントシーンであることを強調してるのかもしれないけど、 むしろ、操作する必要がない分、逆に照度を落として雰囲気重視にするという方が、まだあり得る話じゃないだろうか。 また、ムービーの画質がサターン並なのも頂けない。 おそらく容量的な問題だろうし、どうしようもないところなんだろうけどねぇ・・・。


  ゲーム性、シナリオの方向性、共に上手く独自色を打ち出せている良作。 魔法にしてもサニティにしても、システム的なポテンシャルを最大限に発揮しきれたかっていうと疑問なんだけど、 それでも個人的には、同系のゲームの中ではPS『サイレントヒル1』に匹敵する一本となった。

2002年11月13日記載