REPORTDead to Rights
Xbox
2002年11月28日発売発売:ナムコ  開発:Namco Hometek  

  2002年8月に米国で発売されスマッシュヒットをとばした、三人称視点の銃撃戦アクションゲーム。 元々多機種展開を想定されて作られていたそうで、海外では既にPS2版・GC版も発売されている。


  自称ジャンルは「ノワールアクションアドベンチャー」。ノワールってのはフランス語で黒のこと。 元々、映画のいちジャンルとして“フィルム・ノワール”というものがあり、 暗黒街を舞台に、犯罪を絡ませながら、ハードボイルドな展開をする映画のことを指していたらしい。 特に近年になって、香港映画「男たちの挽歌」に代表される“香港ノワール”なるものが人気となり、 そのジョン・ウーに代表される香港映画監督が米国進出、アメリカでも、そのテイストが非常に大きな影響を与えている。 スローモーション演出、必要以上に派手な銃撃戦、必要以上にケレン味の利いたアクション、容赦のないバイオレンス、 この『デッド・トゥ・ライツ』は、そんな流れをモロに受けたゲームといっていいだろう。
  そんなバイオレンス性ゆえに、 やっと動き出した「CERO(コンピュータエンターテインメント レーティング機構)」レーティング初の“18歳以上対象ゲーム”となっている。

  視点がキャラの背後に固定されたゲームではなく、レバーを入れた方向にキャラクターが進むタイプになっており、 キャラ操作と右スティックでの視点操作(ただし左右のみ)を併用して進むことになる。 視点の回転が若干遅い感じもするし、キャラの向いている方向に瞬時に視点を動かすカメラリセットボタンが(できれば右スティッククリックあたりに)ほしかったものの、 視点操作を前提とした操作になってるので、視点面での不満は意外に少なめ。 背景等にカメラがひっかかりそうになると、キャラにカメラが寄って主観視点気味になるのも、操作感から考えれば、むしろ良かったポイントだろう。
  基本的に、銃撃はRトリガで「ターゲティング」(要するにロックオン)して行うことになる。 ターゲティングのし直し(Rトリガの押し直し)以外にも、右スティックでターゲティング対象を変更できるので、この操作にしても、ストレスは少ない部類に入ると思う。 装備してる武器と敵までの距離によって、敵につく照準の色が、 必ず攻撃がヒットする赤、当たるとは限らない黄、ほとんど当たらない緑の3段階に分かれてるのもグッド。

  そんな中、このゲームなりの要素となると、「タイムシフトダイブ」「ヒューマンシールド」「ディスアーム」「シャドウ」あたりだろう。
  「タイムシフトダイブ」は、横っ飛びボタンであるYを押しっぱなしにすることで発動するもので、 横っ飛び中に自分の攻撃以外のものが全てスローモーションになり、一気に攻撃するというアクション。 前方向への跳びこみだけじゃなく、横や後ろにも、いかにもな感じのモーションでタイムシフトダイブ可だし、 その間も右スティックで視点の回転も可で、勝手に「マトリックス」っぽい演出をするも良し。 PS2『ガングレイヴ』同様、進行方向に対して前後左右4方向にしか跳べないデジタル仕様なんだけど、 このゲームの場合、ピンポイントで使ってく傾向が強いアクションなだけに、あれほどは気にならず。 で、このアクションを行うには「アドレナリンゲージ」が必要なんだけど、これは時間と共に回復し、以下の非銃撃アクションを行うことでも回復する。
  「ヒューマンシールド」は、敵の近くでBで発動し、敵を掴んでそいつを盾にすることができるというもの。 その耐久力に応じて、敵の弾を防いでくれる。で、用が済んだら、Bを押して、その盾にしていた敵をバーン!と撃ち殺して終了。 攻撃のタイムシフトダイブ、防御のヒューマンシールドということになっている。
  「ディスアーム」は、非武装時(十字キー上下で常時切り替え可)に敵の近くでBで発動するもので、 要するに、敵から武器を奪い、その敵を一撃で倒すというものなんだけど、この演出が秀逸。 ハンドガンを持った敵の腕を掴み、それを敵に向けバーン!とか、滑り込むように銃を奪い、上に突き上げた敵に対して銃弾をあびせるとか、 銃を奪う行為と敵を射殺する行為を上手く組み合わせたその演出は、まさに香港ノワールテイスト全開。 バリエーションも多彩で、実に楽しい。 さらに、発動中にBを押すとスローモーションになったり、Xを押すとカメラが切り替わったりと、自己満足的に演出を楽しむこともできる。 密かに、このゲーム最大のウリかもしれない。 単に演出だけでなく、これが発動してる時にはダメージを受けないので、敵を素早く倒す方法としても重宝する。
  「シャドウ」は自分の相棒の警察犬で、武器としてシャドウを選択して敵をターゲティングして攻撃すると、 その瞬間に敵を倒して武器を持ってきてくれるというもの。で、一度使うと一定時間使えなくなる。 これもやはり瞬時に敵を倒す方法として重宝し、切羽詰った状態での武器選択は難しいんだけど、 シャドウを選んだときは「ワン!」と吠えてくれるので、比較的咄嗟に使い易いのも嬉しい。
  それ以外でも、壁の近くでBを押して壁に張り付く「ウォールモード」になり、 壁の端まで行ってRトリガを押し、壁から飛び出して敵をターゲティングして撃ったり(で、Rトリガを離すとまた元に戻る)、 Lトリガでしゃがんで物陰に隠れたり、黒ボタンで主観視点に移行して射撃したり (ターゲッティング射撃とは違って、射程内であれば必ず敵にヒットする)、 場面は少ないけど狙撃の場面があったりと、銃撃戦を楽しむ要素は満載
  耐久力は、ライフ&アーマーという『DOOM』なんかに近いタイプ。 ダメージを受けるとまずアーマーが減り、アーマーがゼロになるとライフが減り始め、それぞれ別個に回復薬が存在する。 銃撃戦関係のシステムで一番残念だったのがここで、敵に撃たれるとまず間違いなくダメージを受けるシステムになってるので、 ちょっと顔を出して射撃したり、ちょっとした隙に狙撃したりというのがやり難くなってしまっている。 ここらへんはPS『サイフォンフィルター』のシステムを踏襲してほしかったなぁ。 まぁ、そういうシステムだからこそ、ヒューマンシールドに重要性が感じられるのか。
  とはいえ、銃撃戦の楽しさっていう意味では、非常に良くできたゲームだと思う。 基本的に延々と銃撃戦をしていく流れがほとんどなんだけど、ヒューマンシールド、ディスアーム、タイムシフトダイブ、 それぞれ駆使して戦っていく自分のプレイに酔うことができ、意外と飽きることがない。
  一筋縄ではいかないストーリー展開も、いかにもハリウッド映画的ではあるけど、飽きさせない魅力がある。 特に、終盤の怒涛の展開は見応えアリ。 最初の頃はどうかと思ってた若干鷹揚に欠けた主人公の声も、段々、その淡々としたところと熱いセリフのギャップが良い感じに思えてきた。シブくて、熱い。
  というように、銃撃戦とそれに伴うストーリー展開は楽しい反面、 実際に探索するような場面はなく、決められたルートを行き来するだけだし、ジャンプアクションのようなものはないし、潜入ミッション的なものもない (速攻で敵に見つかってしまうし、サイレンサーを使っても敵を倒した時点で他の敵も反応してしまう)しと、やや一本調子なとこはある。 それでも、ところどころに挿入されるミニゲームは、ミニゲームなりに悪くないデキだし、結構回数の多い格闘シーンも、まぁミニゲーム的な存在と言えるか。 その内容は、『シェンムー』のフリーバトルを極めて大味にしたようなもので、 投げと防御に一応攻防があるのは悪くないだから、これでせめて投げで敵を巻き込むことができればなぁ・・・。 主人公の風貌や、格闘シーンとか、どこかしら『シェンムー』チックな雰囲気があるんだけど、 それこそあのQTEのような、何かしらインタラクティブな仕掛けがあるアクション的な見せ場がほしかったところ。

  グラフィックは、最初にハナから多機種展開を見据えてたと言ってた通り、Xboxならではというものではない。 キャラのモデリングも雑で手も思いっきりグーのまんまだし、表情も動かない。 イベントシーンでのモーションの繋がりも粗い。 光源処理関係で頑張ってるような気配もあるけど、それが美しさに繋がってはいない。 とはいえ、背景の描き込み具合はシッカリしてるし、手抜きっていう印象はなく、大不満って程ではないな。
  そのことにも関連するんだけど、意外に感じられたのが、全体的に表現が写実的でないということ。 グラフィックにしてもそうで、爆発などのエフェクトも、リアル路線とは言い難い。 意外に痛かったのが効果音で、特に銃声がいまいちリアルじゃないのは頂けなかった。 ストーリーというかゲームの流れにしても、(香港ノワール的な部分を考慮しても)敵に銃で撃たれまくりでもOKなトコといい「うーん・・・」な部分があるし、 特に序盤の刑務所内のステージは、肝心の銃撃戦がなく、ミニゲームと格闘の連続と、若干鬱陶しかったりも。

  難易度はやや難しめ。 理不尽な難易度ではないものの、結構「んなとこから敵が?」って感じで敵が不意に湧いてくるのは頂けないし、 撃たれたことがちょっとわかり難く、気が付かぬうちに一気に体力が減ってたなんてこともある。 特に最終ステージはかなり難しい。 ただ、比較的頻繁に回復薬が設置してある上に、フリーコンテニューで、再開地点が細かく設定されているのが救い。 繰り返してプレイしていればいつかクリアできるし、いろんな要素を使いこなせるようになれば、自然と死ぬ回数は減っていく(はず)。 ボス戦のデキも悪くないけど、コンテニュー時のヒントを見て「あ、そういうことね」ってことが多いかも。 物陰に隠れるくらいしか敵からのダメージを避ける方法がないんで、やや大味な感じはする。
  バリエーションが多彩で、難易度的に歯応えがあったので、 大きく不満というわけではないものの、それでも残念だったのがやり込み要素に関して。 というか、クリア時にデータがセーブされず終いってことからも分かる通り、数字に残るやり込み要素は皆無(ちなみに、難易度のバリエーションも皆無)。 これは、随時セーブできるという仕様による部分も大きそう。 もうちょっと細かく章を分けて、セーブはその章の頭だけ、 ただしコンテニューは可ということにして、最後に通算コンテニュー回数が残るとか、そういう仕掛けがほしかったな。


  ゲームとして雑な部分があるのも事実だけど、それを補って余りある魅力を持ったゲームで、 銃撃戦を楽しむっていう部分と、ノワールなテイストを楽しむっていう部分では、なかなか秀逸な一本だと思う。 期待していた以上に面白かった。 ただ、さすがにアッサリと終わりすぎな感じもあるので、2回目、3回目と遊ぶ気にさせてくれるような要素がほしかったところ。

2002年12月4日記載