REPORTラチェット&クランク
PlayStation2
2002年12月3日発売発売:SCE  開発:Insomniac  

  なかなか良質の3DアクションゲームだったPS『スパイロ・ザ・ドラゴン』 『スパイロ×スパークス』を開発したInsomniacの新作で、 先に発売された海外での評判も上々だし個人的に楽しみにしてたんだけど、 PS8周年記念ソフトとされ、同梱版が大量に用意され・・・と、SCEJの売る気がひたすら空回りしてる状況らしく、 市場的には、去年のPS2『ジャック×ダクスター』以上の惨劇となりそうな気配がある。
  ちなみに、その『ジャック×ダクスター』同様、マーク・サーニー氏が協力してて、日本版のプロデューサーは鶴見六百氏が担当。


  その内容は、ガチャメカならぬ「ガラメカ」と呼ばれる各種武器(主に銃火器)・アイテムを使い分けて進んでいく3Dアクションゲームで、 基本的には非常に丁寧に作られている。 銃撃のできる3DアクションゲームといえばN64『スターツインズ』を思い出すわけだけども、 あれが“3Dジャンプアクション風だが実際は銃撃戦ゲーム”だったのに対し、本作は“銃撃もできるがベースは3Dジャンプアクション”という作り。
  ジャンプ、しゃがみなどの基本的な操作はひと通り揃っており、「オムレンチ」という基本装備によって格闘攻撃もできる。 また、比較的序盤に「ヘリブースター」というガラメカをゲットしてからは、しゃがみながらジャンプで通常より高くジャンプできたり、 ジャンプ降下中にもう一度ジャンプボタンを押すと滑空アクションになったり、走りながらジャンプとしゃがみ同時押しで大ジャンプになったりと、さらにアクションが多彩に。
  視点操作は、右スティックでのカメラ操作と、L1ボタンちょい押しでのカメラリセットがあり、L1ボタン押しっぱなしで主観視点モードになる。 ただ、視点操作にはやや難アリで、 何より、カメラ操作の動きが若干遅めで、ややモッサリしてるのがツラかった。 さらに、上下にカメラを調整しても、スティックを離すとすぐに元に戻ってしまうので、 例えば、視点を見下ろす形にして間合いをわかり易くしてジャンプするとかが行い難いのもイタかったし、 L1ボタンを押しっぱなしにすると、キャラの正面の主観視点じゃなく、 今見てるカメラの向きから主観視点になるという、主観視点モードとカメラリセットの操作ギャップも頂けない。 まぁ、とりあえず自動的に調整される視点はそんなに悪くないし、ひと通りの操作は用意されているしと、視点に関してはマシな部類だとは思う。 ちなみに、上下リバースだけでなく、左右リバースのコンフィグが用意されてるのはナイス。 ここんとこそれでちょっと苦労しただけに、是非他のゲームにも見習って欲しいところ。
  ゲームの大まかな流れは、ステージ内のどこかにある「インフォボット」を見つけると、次のステージへいけるようになるというもの。 各ステージにはそれ以外にも、先に進むためのガラメカをゲットするなどの色々なミッションが用意されている(大体、各ステージ3、4つといったところ)。
  『スパイロ』シリーズでも技術力の高さが窺えたInsomniacなんだけども、 本作のグラフィックもやはり相当パワスル。 ステージの可視範囲の広さ、オブジェの数の多さはさは、まさに驚きのレベル。 それがバリエーション豊かな全18ステージもあるんだから、また驚かされる。 その上、60fpsの安定感があって、ギザツキもあまり目立たないし、テクスチャのチラツキが気になることもない。
  道中の箱や敵を倒すと「ボルト」(この世界でのお金)が出現、ステージ開始地点にはショップがあって、 ゲームの進行度によってガラメカが店頭に並んでいくので、そのボルトを使ってガラメカを買っていくことになる。 また、ショップ以外でも、ステージ内のミッションの最後にはボルトを払わせられるようなシーンが多い。 ただ、このボルトはキーアイテムのような存在ではなく、一旦ステージから出ると、箱や敵は復活し、延々と稼ぐことができるというもの。 ワラワラと出現するボルトに近づき、吸い寄せられるボルトをチャリンチャリンとゲットしていく感覚は、妙に気持ちがいいところがある。
  で、確かに、各ステージのギミックは結構凝ってたりするし、バリエーションも豊かで、 レースやシューティングなどのミニゲームっぽいイベント戦も結構丁寧に作られている。ボス戦も悪くない。

  ただ、意外に戦闘が面白くないこともあって、このゲームなりのウリってのがあまり見えてこないゲームだったのも事実。
  ほとんどの武器には弾数制限があるので、メインで使っていくのはオムレンチによる格闘攻撃になりがちだし、 手動で行うロックオンのようなシステムがなく、自動で行うロックオンはわかり難く、 その上、ビミョーに小回りが利かない操作性なのも相まって、銃火器系の武器は主観視点以外では使い難いものがほとんど。 ある程度開けた場所では、結局、射程が長く破壊力のある「ロケットバズーカ」「ビデオミサイル」で厄介な敵に先制攻撃を食らわせ、 残った敵をオムレンチで駆除、っていう流れになりがちだし、 実は、派手な撃ち合いとか、銃撃戦の爽快感とは無縁なゲーム内容と言っても過言ではない。
  大体、ガラメカが多すぎるんだよな・・・。 装備の変更が必要な手に持つガラメカの種類は、武器が15種類、武器じゃないのが6種の計21種類 (ちなみに武器は必須ではなく、自分がクリアした時には10種しか持ってなかった)。 特に武器に関しては、弾薬がホイホイ出現するわけじゃないので、使い勝手で使い分けるというよりも、弾薬制限の為に使い分けさせらるという感が強い。 で、用意されているショートカットが△ボタン+方向で指定する8箇所しかない。 武器じゃないガラメカでステージ攻略に必要になってくる4種を全てショートカットに設定するわけにもいかず、 結局、その場面になってポーズメニューから選択するなんてことが多々出てくる。 そもそも、このショートカットの操作にもやや難アリで、十字キーが浮いてるんだから、素直に十字キー8方向だけで良かったと思うんだけど。
  感覚的に面白かったガラメカというと、スイングターゲットという的に向かってロープを放ち、 プラーンプラーンとスイングアクションができる「スイングショット」と、 特定の足場になるとそこに張り付き、その足場の道なりに、壁を登れたり天地逆転したりする「マグネブーツ」くらいか。
  そもそも、特定の場所で使わされるようなガラメカが多く、 あからさまに「他のステージで○○をゲットしてからまた来てください」なとこがあるので、 ガラメカのアクションを“活用”して行動範囲が広がったと感じられる場面は少ない。 また、フィールドを散策するような(してると感じられるような)シーンも極めて少なく、スタート地点から各ミッションごとにルートが伸びているという作りにも不満アリ。 滑空が『スパイロ』ほどダイナミックじゃないこともあって、全体的に移動の自由度があまり感じられず、 常にルートに沿って進んでいき、戦闘をこなしながら道なりにゴールを目指すことになってしまっている。 で、ゴールに辿りつくと、スタート地点に戻るショートカットが用意されている、と。 「こんなところにもいけるのか〜」という楽しみがほとんどなく、せっかくの見える範囲が広く広大なステージも、生かしきれたとは言い難い。

  パッと見で分かる通り、キャラの弱さはホントに致命的。 海外のアクションゲームって、パッと見は「えぇ〜」でも、プレイしている内に愛着が湧いてくることが多いんだけど、 このゲームの主人公ラチェットには、そういうものが全くなかった。 実は、基本的に仕草や表情の作りは上手いし凝ってて、ラチェット以外のキャラはそんなに悪くない。 特に、相棒のクランクには愛嬌があるし、 ムキムキでアゴが割れてて、TV番組によって世間的にはヒーローと信じられてるんだけど、 実際は敵ボスである「ビッグバッドボス」がパトロンになってる凡人という「キャプテン・クォーク」のキャラも良い。 やはりラチェットの(外見的にも性格的にもな)イマイチさが相当に足を引っ張ってる。 んまぁ、愛嬌がなくイケ好かないだけのビッグバッドボスもイマイチっちゃイマイチなんだけど。
  もちろん、ストーリーそのものを楽しむようなゲームではないわけで、「ストーリーがつまんねぇぞ!」っていう非難は的外れにしても、 『ジャック×ダクスター』よりは若干ストーリー性が高い感じになっており、それも主人公と敵ボスのキャラの弱さに足を引っ張られてる感がある。 個人的には、もうちょっとキャプテン・クォークを引っ張っても良かったと思うんだけどな。 インフォボットをゲットしたときに流れるムービーといい、会話重視のラチェットとクランクの関わるイベントシーンといい、若干冗長な印象も受けた。

  全18ステージと書いたけど、そこから想像されるほどのボリュームはない。 自分のラスボスを倒すまでのプレイ時間は12時間弱。 難易度は、序盤こそ簡単だったものの、全体的には思ってたほどヌルくはなかった。というか、結構死ねる。 ただ、その“死”が、いまいち“難しい(歯応えがある)”に繋がってないのが悲しいところ。 というのも、戦闘が多いゲームなこともあって、何気なくダメージを喰らってしまうことがあるのに、 体力の上限が増える機会が遅めな上に、体力回復の機会もちょっと少なめ。 敵や仕掛けに対応できずに死んだというより、なんとなくダメージを受け、その蓄積で死亡するっていう感じ。 というか、これは、死亡時に敵は全部復活するのに、使った回復薬は消費したまんまという仕様の難点に思える。 オーソドックスに、目に分かる形でチェックポイントみたいなのを用意して、 死んだらそこからチェックポイントを通過した状態で復活としたた方がベターだったんじゃないだろうか。 攻略っぽい楽しさがあったのは、それこそラスボス戦くらいかも。
  クリア後のお楽しみ要素は、大きく分けて2つ。
  「スキルポイント」は、各ステージに散りばめられた全30個の隠し課題で、 最初にプレイしてるときも時折「スキルポイントをゲット!」って表示され、「なんだ?」と思ってたんだけど、クリア後にその存在が明らかになる。 これを半分、そして全部集めることで隠し要素がオープンするんだけど、いかんせんその課題のヒントが、 ステージ名と「ヤッチマイナー」「せんにゅうそうさかん」といった漠然とした課題名のみなので、正直、探す気にもなれず。 書物やサイト等の攻略情報をアテにしての要素なんだろうか。
  「ゴールデンボルト」は、各ステージに1〜4個ある隠しアイテムで、道中「マップオートマチック」というアイテムをゲットすると、 その多くはマップ上にも隠し地点が表示されるので、それをアテに探索することになり、比較的簡単に見つけてゲットすることができる。 逆に、そこに表示されないものは、一部を除いて探すアテもないようなものもしばしば。 そのゴールデンボルトを使うことで「ゴールデンウェポン」という強化武器をゲットでき、 全てのゴールデンウェポンをゲットすると、最後の隠し要素がオープンになるという仕掛け。 それ自体は悪くなかったんだけど、ゴールデンウェポンをゲットするために結構なお金が必要というのが頂けない。 そもそも、普通にプレイしている分には、通常の武器を全て揃えるだけの金も貯まらんわけで、延々とステージを繰り返して金を稼がなくちゃならなくなる。 そりゃ、それを達成するためにはかなりのプレイ時間が必要となるだろうけど、かなりタチの悪いプレイ時間稼ぎに思えてならない。
  ちなみに、BGMにはちょっと垂れ流しっぽくて印象が弱いところがあるんだけど、『スパイロ』シリーズよりかはマシな感じ。


  ゲーム的に的を絞りきれてない印象はあるし、ツッコミどころも少なくないんだけど、 『ジャック×ダクスター』や『サルゲッチュ2』より面白かったのは確かで、 このテのアクションゲームとしては、PS2で一番のデキと言って良いと思う。 同梱や売値がどうこうはひとまず置いといて、とりあえずオススメということにしておきたい。

2002年12月8日記載