REPORTShinobi
PlayStation2
2002年12月5日発売発売:セガ  開発:オーバーワークス  

  『忍』と言えば、セガを代表するハードアクションゲームシリーズで、 アーケードゲーム『忍』に始まり、設定的にも繋がりのあるMD『ザ・スーパー忍』シリーズや、 番外編的な『シャドウダンサー』、『The GG忍』シリーズ、SS『真・忍伝』などがある。 このPS2『Shinobi』は、設定、ゲーム内容共に全く別モノながらも、特に人気の高かった『ザ・スーパー忍』シリーズのリスペクト的な作品で、 パワーアップ要素やADV的な要素を持たない、ステージクリア型のアクションゲームとなっている。
  開発したのは『サクラ大戦』シリーズや『エターナルアルカディア』を製作したオーバーワークス。 共に好きなゲームなんだけど、なんせアクションゲーム開発の実績が皆無なとこだけに、期待と不安が半々という感じでプレイすることになった。
  ちなみに、難易度ノーマルでクリアした時点での感想。


  視点もプレイヤーが操作しつつプレイすることが前提になってる内容なだけに、“簡単操作でとっつき易い!”というゲームでないことは確か。
  デフォルトの操作系は、左スティックでキャラの移動、□でメインの攻撃手段となる「斬る」、△で弾数制限があり攻撃ではなく足止め効果を持つ「手裏剣」、 ○でジャンプ、×で「ステルスダッシュ」(後述)、L2でボム的な「忍術」使用、方向キーで3種類の忍術選択、 R1でロックオン、R2でロック対象の切り替え、右スティックで視点の移動、L1がいわゆるカメラリセット。
  ○がジャンプで、×がダッシュというのが変わってるけど、R3、L3ボタン(左右スティックのクリック)にまで設定できるキーコンフィグがあるので問題無し。 ロックオン操作も、ボタンを押している間ロックオンしてる「ホールド」タイプと、ボタンを押すことでロックオンのオン・オフを切り替える「クリック」タイプが用意されている。 残念なのは、左右はまだしも上下のリバースすら用意されてない右スティックの視点操作なんだけど、丁度自分の感覚には合ってたので、個人的な不満は無し。
  で、自分は終盤にさしかかったあたりでまたボタン配置を変えるなど、かなり試行錯誤を繰り返し、結局、×でジャンプ、○でダッシュ、 R1でロックオン(タイプはホールド)、L1でロック対象の切り替え、R3がカメラリセットという形に落ち着いた。
  視点操作も含めて、その基本的な操作感は極めてクイック。レスポンス良く動く。
  このゲームの特徴的なアクションとなると、壁張り付き&壁走りと、ステルスダッシュだろう。 通常の壁にジャンプすると、まずその壁に張り付き、その後、左右方向にだけだけど自由に走ることができる。 ステルスダッシュは、基本的に水平方向に移動するショートダッシュ的なもので、 通常時はスティックを入れた方向に、ロックオン時はロック対象に向かってダッシュする。 空中でも使用可、というか空中ではより移動距離が大きくなり、最大のポイントは、空中で敵を斬った後にはまたダッシュできるようになるということ。 よって、壁に張り付き、壁を走りながらジャンプ、敵をロックオンし、ステルスダッシュから攻撃、 敵を倒してまた壁に向かってステルスダッシュして壁に張り付く、なんていうアクションを行うことになるわけ。 ここに2段ジャンプが絡んできたりするわけで、そのアクションはなかなか激しい。

  戦闘は、刀で斬りつける攻撃がメインとなり、地上の敵には、攻撃ボタンを連続で押すことでコンボ攻撃になる。 敵の防御は、スティックを敵と反対方向に入れて攻撃ボタンで行う蹴りで崩したり、 敵をロック中に横にスティックを入れてダッシュすると、回り込むようにダッシュをするので、 背後から攻撃するというのもアリ(背後から攻撃すると通常の3倍のダメージを与えられる)。
  このゲームのウリのひとつとなってるシステムが「殺陣」で、敵を倒してから、一定時間内に他の敵を倒す、 これを繰り返し、4体以上の敵を繋げて倒すと、時間が止まり、主人公が見栄を切るような演出シーンが挿入されるというもの。 そんなにテンポを崩すようなものじゃないのは良かったんだけど、思ってた以上にその演出は淡白だったな。
  とはいえ、この殺陣の重要性が出てくるのは、主人公が操る刀「悪食(あくじき)」が覚醒してからのこと。 最初の数ステージ以降は、時間と共に減少していく「スラッシュゲージ」が現われ、これがゼロになると体力が減っていってしまうようになる。 敵を倒すことで出現する「魄(はく)」を得ることでスラッシュゲージを補給していき、殺陣を成立させるとより多くの魄が出現するという仕掛け。 つまり、事実上ステージクリアに制限時間ができることになるわけだけども、 よっぽどマッタリとプレイしない限り、このゲージがゼロになることはないし、程よい緊張感を生んでいると思う。 最初の数ステージでは制限時間がないわけで、そこらへんの配慮も十分。 で、さらに重要なポイントは、これ以後、敵を繋げて倒せば倒すほどダメージが増大するようになること。 中盤以降、敵の体力が大きくなってきてこれを活用することが重要になるし、 まずザコを繋げて倒して、最後に大型の敵を攻撃して大ダメージを与えるというように、敵を倒す順番も重要になってくる。 ボス戦でも、ザコを繋げて倒して最後にボスに攻撃というのが常套手段に。
  そこで重要になってくるのがロック対象の変更。 上手かったのが、ロックオンボタンでは主人公が向いている方向の敵をロックオンする一方で、ロック対象の変更ができるのは視界の中にいる敵だけという仕様。 慣れは必要だけど、この二つのボタンと視点操作を活用することで、かなり感覚的にロックオン関係を操作できるようになる
  これも含めて、最初はどうかと思ったが、操作に慣れる納得ということが多いゲームで、例えば、ロックオン時の操作に不満があったんだけど、 それは“ちゃんとロックオン状態と通常状態を使い分けろ”ってことなんだな、と理解できてからは、その不満はほとんどなくなってしまった。 視点に関しても同じようなことが言え、実は、ロックオンと視点操作を自在に行えるようになると、そのストレスは随分と軽減される。 そういう状況になってない状態で、このゲームの視点に文句を言ってほしくはないんだよな・・・。

  とはいえ、それでも視点の問題がかなり大きいのも事実。
  通常時の場合は、カメラの動かせる範囲が十分じゃない(例えば、真上、真下近辺は見ることができない)のもさることながら、 カメラが背景に引っかかって勝手に調整されてしまう部分が痛い。 特に、視点を操作しつつキャラを動かすようなゲームとしては、この視点の操作感は大きなマイナス。 半透明であるとか、カメラを(上下の動きではなく)寄らせたりなどして、どんな状態でも一定の操作感になるような工夫が欲しかった。 壁に張り付いた時に壁の反対側が見えないというのも、同じところに原因があるんだろう。 逆に言えば、カメラが背景に引っかかるような狭めの場面が多すぎる感じもする。
  さらに、ロックオン時の視点はかなり調整不足な感じを受ける。こういうゲームで、自キャラが視界の外に出てしまうなんてのは論外。
  このゲームのもうひとつの大きな不満点が、画面に対して8方向にしか動けないという中途半端にデジタルな仕様。 言い換えれば、左スティックだけではその場で8方向にしか向きを変えられない。 時折、思った方向とはズレて動くことがあって「なんでだ?」とは思ってたんだけど・・・。 いくらロックオンの重要度が高いゲームとはいえ、さすがに違和感を感じることは多いし、 何より、視点を動かしながら動かせば、360°自由に動かせるわけで、なんであえてこういう仕様にしたのかが、全く持って謎。非常に理解に苦しむ。

  序盤の溶岩のとこに落ちたらダメージを受けるだけだったのに、その後、水の中に落ちたら即死だったのは笑ってしまった。 というわけで、ゲームを通して落下即死の場所は相当多いし、死んだらステージの最初からやり直し。 とはいえ、ひとつのステージは長くないし、それが苦痛になってくるのはラストステージくらいだろう。 「落下即死を減らせ!」なんてのは、ゲームとしての劣化を求めてるだけの声に聞こえる。 重要なのは、もっと視点を洗練させることだろうし、まだあり得るのは、ダッシュの自由度を上げるっていう方向性だと思うな。
  全16ステージで、極一部を除いて道中があってボス戦という形になっている。 絵的な見せ場がない割にメリハリが付いてる各ステージの道中も良かったし、攻略性が高い各ボス戦も上々。 ちなみに、各ステージのクリア時間を合計すると2時間半ほどなんだけど、クリアした時点でのプレイ時間は9時間ちょっと。 そんなわけで、クリアまでのプレイ時間はかなり個人差が出てきそうなんだけど、個人的には、密度が濃かったのでボリューム的な不満は無し。
  やり込み要素という意味では、ステージクリアすると、倒した敵の割合、殺陣による得点、 ボス戦での得点、クリア時に持ってる巻物の数、ノーダメージボーナスの要素でスコアが出て、C〜Sの4段階のランク付けがされる。 さらに、各ステージには「シークレット」というアイテムが配置してあり、 これを取った数に応じて隠し要素がオープンになっていくという仕掛けらしい。 クリアしたステージはステージセレクトして遊ぶことができるし、クリアしてからも楽しめる形にはなってると思う。 ただ、気になったのは、ボス戦での得点の分かり難さ。 なんでその点数になったのかわからんし、その点数が低いのか高いのかもわからん。 また、ノーダメージボーナスを狙うようなゲームではないと思うので、受けたダメージの少なさで段階的に得られるようなボーナスの方がよかったんじゃないかな。

  モーション、エフェクトなどソツのない作りではあるけど、グラフィックの質そのものは、まぁ平凡な部類で特に驚きはない。 背景は、各ステージごとにある色をテーマに持たせてそれをベースに配色されており、リアルさより幻想的な雰囲気重視。 良く言えば統一感があり、悪く言えば単調なとこがある。
  やはり印象に残るのが、主人公「秀真(ほつま)」のマフラーの動きだろう。 止まっている時は、地面に付くか付かないかくらいの長さなんだけど、秀真が動くと身長の3倍近くまでビヨ〜ンと伸び、秀真の動きの後が残るように動く。 当然、イメージとしては「スポーン」のマントが頭に浮かび、まぁ、位置付けとしては近いものがあるんだけど、 線となって動きを演出してくれるという意味で、その表現力はこちらの方が一枚上手。 ダッシュなどの移動だけじゃなく、攻撃モーションなどにも敏感に反応するその動きは、非常に良かった。
  秀真を最初見たときは「どうかな〜」って感じだったけど、その秀真も含めて、デザイン関係はなかなか秀逸だと思うな。
  ステージ間のデモはほとんどがムービー。 結構量があることもあって、最高の画質とは言いがたいし、そのクオリティも平凡ではあるけど、その役割は果たしている。 ただ、唇の動きがあまりにもセリフとズレててビックリしたんだけど、 後に英語音声でプレイして納得、英語のセリフに合わせて口が動いてるだけだった。 「設定的に日本人なんだからさぁ・・・」とは思いつつ、日本語音声&字幕で外人さんがプレイするとは思えないんで (というか、海外版には日本語音声は入ってないだろうな)、やむを得ない選択ではあるか。 また、回想シーンでは、CGじゃなくイラストが使われており、これが雑っぽい感じながらも雰囲気があるというナイスなテイストで、結構印象的だった。
  個人的には、ポリゴンを使った演出が上手いオーバーワークスなだけに、 リアルタイムポリゴンでのイベントシーンをもっと充実させて欲しかったんだけども、逆に“アクションゲームなんだ!”という主張にはなってると思う。
  ストーリーそのものにさほど感情移入するようなゲームではないにしろ、朧一族の当主であり最後の生き残りである主人公秀真が、 皆殺しにされ、今は式神に操られている朧一族を相手に戦うというシチュエーション自体はヘヴィで良かったし、 かつて秀真自身が手を下した兄「守恒」、くノー「朱刃(あげは)」などとの絡みも良く、アクションゲームとしては悪くない部類だろう。
  欲を言えば、ゲーム、イベントシーン共に、もうちょっと現代っていう設定を生かしてほしかったな。


  視点と基本操作感への不満は大きいものの、 色々とオリジナリティのある要素があったし、何より、“パワーアップ要素無し”そして“視点はプレイヤーが操作する”、そういう方向性が良かった。 狙い通り、ちゃんと上達感と達成感を提供できている良質な (アクションゲームらしい)アクションゲームに仕上がっていると思う。 これからのオーバーワークスには、アクションゲームでも期待が持てそうだ。

2002年12月12日記載