REPORTO・TO・GI 〜御伽〜
Xbox
2002年12月12発売発売:フロムソフトウェア  

  TVCMではなぜかブリトニ・スピアーズの曲を起用してた和風アクションRPG。


  ゲームの舞台のベースとなっているのは、ちょっと前の「陰陽師」などによって認知度が上がってきた平安朝時代。 その戦国時代なんかとはまた違った和風テイストは、 幻想的な風景&音楽と相まって、独特で非常に美しく、ここがこのゲーム最大の長所であることは間違いない。
  各ステージは、もちろん敵、地形共に描き込まれてるんだけど、 そういう単純なモデリングやテクスチャの良さ以上に、全体的な雰囲気作りが非常に上手い。 ステージの立体的な作りも良く、見える範囲が広めなので空間としてそういうのを体感できるのが嬉しいし、エフェクトの使い方も上手い。
  また、音関係の良さもこのゲームの大きな美点だろう。 太鼓の音が印象に残る和風のBGMが実に心地良いし、ゲーム中の効果音も爽快感があってナイス。 ステージ開始前にステージ解説をするおそらく主人公「ライコウ」のであろうどこか虚ろな声、 そのライコウを死の淵から蘇らせた「ヨモツヒラサカノヒメ」の上品ながらも威圧感のある声など、効果音的な演出も非常に効果的だった。 ちなみに、ストーリー進行は、ステージ開始前に主人公ライコウに対して、 そのライコウを死の淵から蘇らせた「ヨモツヒラサカノヒメ」が語りかけてくるだけのシーンが一番のウェイトを占める。 イベントシーンも無いわけじゃないけど、全体から考えるとその数はかなり少なめ。 それでも、そういう語り過ぎない姿勢がこのゲームには良く合っていたと思うな。
  絵にしろ音にしろ、必要以上に和洋折衷に突っ走ってグダグダになってしまうゲームが多い中、こういう姿勢には非常に好感が持てる。

  ゲームの形式としてはステージクリアタイプで、指定されたオブジェを壊せ、敵を全滅させろ等、 ステージによってその目的が違う全29ステージを次々とクリアしていくことになる。
  自ら「アクションRPG」と言う通り、純粋なアクションゲームとは言い難い作りになっていて、 ステージクリア時に一括で経験値がもらえ、それが一定数溜まるとレベルアップ、体力や攻撃力などが上昇する。 ステージ間では、ショップで武器が買えたりもするし、クリア済みのステージをプレイし直すことができたりも。

  キャラの移動はスティックを入れた方向にキャラが進むタイプで、それに伴っての自動的なカメラの調整はモッサリ気味だし、右スティックでの視点移動もモッサリ気味。 いわゆるカメラリセット操作も用意されており、これは左スティッククリックに割り当てられている。 攻撃は、Bの小攻撃、Yの大攻撃、Xの「巫術(いわゆる魔法)」で行い、 小攻撃は最大4連続のコンボ攻撃となり、その途中で大攻撃や巫術を入れてフィニッシュすることもできる。 その他の操作は、Rトリガでのダッシュ、Lトリガでのロックオン。 ちなみに、キーコンフィグは、LRを入れ替えたり、攻撃ボタンを入れ替えたりという単純なものが3パターンしか用意されていない。 視点操作の上下のリバース設定もなし。
  ライコウの体力は最大8個まで増える「生命珠」で示されていて、 ダメージを受けると生命珠の中のゲージが減少するんだけど、そのゲージがゼロにならない限りは時間と共に回復するようになっていて、 ゲージがゼロになるとその珠が割れてしまって、体力の上限が減るという仕掛け。 よって、細かいダメージはさほど気にしないで暴れまわれるのが嬉しい。
  ただ、じゃあヒット&アウェイでチビチビとプレイしてれば必ずステージをクリアできるかというと、そうでもない。
  その仕掛けが「巫力」というステータスにある。 巫力は時間と共に減っていき、ダッシュするとホンの少しだけ、巫術を使うと結構、消費してしまうというもの。 巫力が無くなってしまうと、時間と共に体力は減ってしまうし、巫術はもちろん、ダッシュすらできなくなってしまう。 まぁ、制限時間的な要素もそれはそれで結構なんだけど、このゲームの場合、それをダッシュと絡ませてしまった上に、巫力維持の明確な方法論が欠けてるのがイタかった。 一応、敵を倒すと巫力が微妙に回復し、空中コンボで敵を倒すとより多く回復するというものの、その回復量は実に微妙で体感しにくい。

  このゲームのパッケージ裏に書いてあるウリ文句は「超破壊の創造美」。 とにかく、その美しいステージ内の柱であるとか、壁とかをバリバリ壊せる。 敵を吹っ飛ばして敵や壁を巻き込んだり、地面に叩きつければ地面が削れたりも。 モーションやSEが良いのか攻撃のヒット感が上々なこともあって、一度に出てくる敵の数は、全体的にはそれほど多くないにも関わらず、 これまでのゲームには無かった独特の爽快感が生まれている。
  また、主人公ライコウはかなりのジャンプ力で、ダッシュ攻撃でちょこっとだけ上に行けたりもするので、かなり空間を飛び回る感じのアクションゲームになってる。 空中で敵をバリバリとなぎ倒して吹っ飛ばす感覚もなかなか新鮮。

  ただし、非常にフロムらしい話なんだけど、色んな点で煮詰めきれてない印象は拭えず、正直、ゲームとしての完成度には疑問が残る。

  まず何より、RPG的な部分はムダに大味さを増長してるだけにしか思えない。 いや、別に成長要素を設けること自体が悪いとは言わないけど、そういうのは、あくまでも“育てる楽しみ”があってこそ。じゃないと意味が無い。 終盤になるとドンドンとレベルが上がっていっちゃったり、案外すぐにレベルMAXになっちゃうのもよくワカラン。 一応2周目も用意されてるんだから、レベルの上限はもっと高くてもよかったんじゃないかね。マッタリとチビチビ遊べるようにして。
  武器を使うと耐久力が減っていき、攻撃力などが低下していって、結構なお金を消費してそれをステージ間で修理しなくちゃならないってのも、 結局は面倒なだけで、それが戦略性に繋がってたかっていうと非常に疑問。 どうせなら、成長するのは武器にして、キャラクターの強さは装備品に完全に依存するという形の方がわかりやすかったんじゃないかな。
  どっちにしろ、成長要素を設けるならそれを軸にゲームを組み立てるべきだったと思うし、 そもそもは、このゲーム内容であれば少なくとも経験値っていう形の成長要素はいらなかったと思うんだけどね。

  んで、ありがちな話ながらも、やはり視点関係の未熟さも目立つ。
  まず、基本視点が低め&キャラまで近めに設定されていて、キャラを動かすとカメラの上下の向きはすぐに元に戻ってしまう仕様なので、 格闘がメインで大雑把な距離合わせで当てられる攻撃が少ないにも関わらず、敵との距離が掴みにくいのが痛い。 さらに、カメラの左右の自動調整が遅めなので、自前で視点を動かさざるを得ないんだけど、 その動きは実にモッサリとしてて使いづらく、となると重要になってくるカメラリセットもなぜか左スティッククリックに割り当てられており、これまた使いにくい。 クリックを使わせるにしても、普通は右スティッククリックだろうに・・・。
  ちなみに、右スティッククリックは、敵の体力表示のオン・オフの切り替えに割り当てられている。 ・・・んなのゲーム中に切り替えるか?  そういうのはコンフィグで行わせる要素だろうに。 加えて、敵の体力が表示されるのはダメージを与えた時の短い時間だけ(敵の近くに短いバーが表示される)というのもいただけない。 ロックオンしてる敵の体力は常時表示させた方がわかり易かったろう。閑話休題。
  で、逆に、場面によっては(例えば、敵を見ながらその敵から遠ざかるように動きたいときなど) 視点がライコウの向いている方向に自動的に戻ろうとする動きが鬱陶しく感じられたりもする。 ここらへん、視点を自前で操作させることを前提とするのか、自動調整でのフォローを強くするのか、 おそらくそこらへんの割り切りができずに、中途半端な形になってしまったんだろう。
  さらに、ロックオンも使いにくい。 基本的にロックオンの操作はボタンひとつなので、複数の敵がいるときは狙って敵を思ったようにロックできないというのが第一。 敵をロックしてもその敵を画面内に捉えるのは左右の動きだけで、視点が上下には動かないというのが第二。

  このゲーム、空間を派手に動き回れるのは結構なんだけど、 どうも、プレイヤーに空間をどう移動させようか、そこらへんを詰めきれてない状態でゲームを作っちゃった印象を受ける。
  それが特に顕著なのが縦方向(高さ)の移動に関して。 上への移動は、2段階のジャンプとダッシュ小攻撃による微妙な上昇のみ。 ダッシュ小攻撃は打ち上げ攻撃になっているんだけど、打ち上げた敵は大抵自分より高い位置にいることになり、 そこから繋がるのはまたダッシュ小攻撃だけだったりなんていう状況が多く、 攻撃手段としてはあまりゲームに馴染めてない印象で、上昇手段としての印象の方が遥かに強い。 ダッシュ小攻撃をチビチビと繰り返して、落下を免れるとか。 コンボの中に垂直落下攻撃が含まれてる(といってもほとんどが空中の最初の大攻撃だけなんだけど)のも、 落下即死の場所が結構あるこのゲームには不向きで、垂直落下攻撃が暴発して即死なんてことも、ないわけじゃない。 ロックオンを使わせるのであれば、ある程度縦方向にも敵をホーミングするような形の方がよかったとも思うし、 ダッシュ小攻撃はもっと上昇力を高くして上昇用能力としてハッキリさせるとか、 上昇、下降攻撃は特定のコマンドを用意するなりした方が、ゲームとして面白くなったんじゃないだろうか。
  要するに、空中をビュンビュン飛び回ってバリバリと格闘する、そのコンセプトをもっとハッキリと打ち出すべきだったと思うんだよな。 逆に言えば、ラスボスの最終形態で急に遠距離攻撃巫力が必須になっちゃうあたりからしても、そういう形を打ち出せないままゲームを作っちゃった感がアリアリなわけだ。 空間をあまり際限なく動き回らせたくないというのもわかるけど、そうであるならダッシュ小攻撃の微上昇もいらなかったはずだし、そういう形でゲームをまとめるべきだったろう。
  また、敵から攻撃を受けたときの硬直が大きめで、若干テンポを崩してると思われることもしばしば。 例えば、空中で敵の強力な攻撃を受けて吹っ飛ばされると、結構高さが落ちることになってしまい、また同等の高さに達するのにちょっとした手間がかかる。 ここらへんにも、高さという要素の消化不良感が窺える。

  これは特に終盤のボスで目立つんだけど、敵が防御行動をとりがちで、 その防御を崩す手段が欠けてるのもいただけないんだよなぁ。結構万能気味にガードされてしまう。 背後から斬れってことなのかもしれないけど、そういうのを狙えるような(視点操作も含めた)操作性じゃないし・・・。
  細かいところでは、せっかくデータセーブが早いXboxなのに、いちいち手動でセーブしなくちゃならないのは鬱陶しかった。 色々と隠し武器があるようなんだけど、その条件がわかり難いのも×。 例えば、クリア時間、コンボ数など、それぞれランク付けされるような仕掛けがあれば、クリア後もステージをやり込みやすいと思うんだけどな。


  空間を飛び回る感覚、敵や地形を派手にブッ飛ばす感覚は楽しかったし、 幻想的なグラフィック&音楽は本当に素晴らしかったしと、 ゲーム的な未完成さを補う、オンリーワンの魅力を持ったゲームなのも確か。 ただ、“キラリと光るところがある凡作”程度には評価できると思うけど、 アイデアをゲームに昇華しきれてないという意味では相変わらずフロムっぽい。 企画の段階でもっと詰める余地があると思うんだけどな。フロムのゲームは全般的に。

2003年1月12日記載