REPORTメトロイドプライム
GAME CUBE
2003年2月28日発売発売:任天堂  開発:Retro Studios  

  1994年SFC『スーパーメトロイド』以来の「メトロイド」シリーズの復活ということで、 従来の2D形式を踏襲したGBA『メトロイドフュージョン』に続き、3Dタイプへと大きな変貌を遂げたこの『メトロイドプライム』の登場となった。
  開発したRetro Studiosは、『Turok』シリーズを開発したIguana Entertainmentから派生して生まれた新興のゲームデベロッパーらしい。


  そのゲーム形式は、主に主観視点で進行していき、お馴染みの「モーフボール」状態に変形したときだけ客観視点になるというもの。
  最大の特徴は、主観視点がメインであるにも関わらず、 一般的なFPSの操作系(前進後退&左右平行移動と視点操作(&旋回)という2つの入力デバイスを用いる) とは違った操作系を採用していることだろう。
  基本操作は、左スティックで前進後退&左右旋回、Lトリガを押しながら左スティックの左右で左右平行移動、 Rトリガを押しながら左スティックで上下左右自由に見回すことができる「フリールック」モードとなっている。 FPS的には一昔前の操作系に思えるかもしれないけど、別に先祖返りというわけじゃなく、このゲームなりにゼロから考えられた操作系に感じられるのは、 戦闘はLトリガで敵をロックオンして行うことが基本になっているからだろう。
  と聞くと、一部の人はDC『魔剣X』を思い出すかもしれないけど、 戦闘中の自キャラの移動はあそこまで激しくなく、そこまで1vs1が強調されているわけじゃない。あくまでもサポートといった感じ。
  また、こういう視点を採用したゲームとしては、もっともジャンプの比重が大きいゲームに違いない。 視点的に慣れを要するものの、落下即死な場面があるわけでもないし、 特に「スペースジャンプ」(要するに2段ジャンプ)能力を得てからは、その自由度も上がり、非常に楽しくなってくる。

  要するに、一言で言ってしまえば、単に視点が主観なだけであって、 いわゆるFPS的な路線を踏襲したようなゲームでは全くないということ。 あくまでも「メトロイド」の3D化であって。
  プレイヤーはバウンティハンター「サムス」となって未知の惑星を探索し、時にはモーフボール状態になって狭い場所に潜り込み、 ボスを倒したり、パワーアップアイテムを発見することで行動範囲を広げ・・・というその大まかな流れは、従来の「メトロイド」と全く変わらない。 屋外でも比較的狭いスペースに限られていて、ショットを当てることで開くドアを開けて次の場所へというのも一緒 (実は、これがデータの先読みの仕掛けにもなってて、エレベータみたいなので大きな区分けでのステージを移動するとき以外ではローディングのストレスがほぼ皆無なのもポイント高し)。
  これまで幾つもあった2Dゲームの3D化の中では、もっとも元のゲームのテイストを継承できてる部類だろう。 んで、3Dならではの要素も上手に組み込まれているわけで。

  ただし、特に戦闘に注目して考えたときに、果たして主観視点とこの操作系がベストのチョイスだったかどうかは、結構疑問が残るのも確か。 ロックオンして敵を撃つのが基本ということで、自前で“狙う”ゲームではないし、ロックオン中は自分の場所が把握し難い。 実際、ザコ戦は全体的に淡白だし、マッサラな場所で戦うということはほとんどないので、 特にボス戦でも自分の場所が把握できなくて困ることがしばしば(ただし、ボス戦そのものは内容・バランス共に良くできてる)。
  それでもこの視点の採用に納得できるのは、 主観で見ることでまさにサムスと一体になれるという点に尽きるし、それを生かす「バイザーシステム」があるからだろう。 通常の「コンバットバイザー」、物を調べたりスイッチを入れたりする「スキャンバイザー」、 ゲームが進行すると、グラフィカルに表面温度を示してくれる「サーモバイザー」、 X線で物を透視する「Xレイバイザー」も手に入り、この切り替えが非常に重要になってくる。
  ちなみに、このバイザーの切り替えと、やはり最終的に4種類を使い分けることになるアームキャノンの切り替えが、 十字キーとCスティックに割り当てられているというわけ。
  バイザー、アームキャノンの使い分け、狭い場所、広い場所のメリハリ、客観視点で操作することになるモーフボール状態、 スキャンで得られるスペースパイレーツや鳥人族の断片的な情報などなど、それらが渾然一体となったゲーム内容は、極めて質が高い。
  戦闘以外では、ショートカットできる場所は少なめで、 間違った方向に突き進んでしまうと、元の場所に戻るのが結構面倒臭いことになってしまうのはちょっと気になったところ。 ゲームの性質上、新たに得た能力でいままで行けなかったところが進めるようになり・・・という展開になるだけに、さすがに鬱陶しく感じられることもしばしば。 まぁ、あんまりショートカットがラクだと世界が狭く感じられるだろうし、難しいところではあるんだが。 本来は、自前でメモを取りながら進めるのがベターなゲームなんだろうなぁ・・・。 ただ、一定時間放浪すると目的地を教えてくれるというヒント機能を搭載してるので、そういう部分で詰まる可能性が無いのが救いではある。

  もちろん、極上のグラフィックもキャラとの一体感を深める重要なポイント。 まずは、「これでもか!」という背景の描き込み。 バリエーション豊かで各種デザインも凝ってて、その上で実に緻密に描き込まれてる。 主観視点というとどうしてもアラが目立ちがちなんだけど、そういったアラを感じる機会はほとんど皆無といっていい。 それに加え、凝りに凝った各種エフェクト。 とにかく“サムスの目からバイザーを通して見た風景”という点に相当こだわっていて、 例えば、自ら上がった時の水滴、熱風を受けた時のバイザーの曇り、撃ったビーム弾の光に反射してバイザーに薄っすらと写るサムスの顔、 さらに、サーモバイザーでの表面温度表示、Xレイバイザーによる透過表示も実に凝ってる。 グラフィック&デザイン面であえて難を言うなら、大型のボスのデザインがなんだかオモチャっぽく、いまいち冴えないことくらいのもの。
  そして、音楽にしても、BGM・SE共に隙がない。
  これらに共通して言えることは、同じくSF的な描写が楽しかったXB『HALO』なんかとはまた違い、上品なSFテイストが感じられるという点だろう。


  プレイ時間は短めにも関わらず、充実度は極めて高い。 前々から主観視点にはFPS以外の可能性もあるはずだと思ってただけに、非常に納得度が高い一本だった。 これだけの世界を体験できるゲームを作れるメーカーが、果たして国内にどれだけあるか。 あるかどうかすらアヤシイかもしれない。

2003年3月23日記載