REPORTJames Bond 007 in Agent Under Fire
GAME CUBE [海外]
2002年3月11日発売発売:EA  

  007モノのFPSといえば、何といってもレア社が開発したN64『007ゴールデンアイ』が有名なんだけど、 その後の007ゲームはEAが一手に引き受けることになる。 んで、同名映画をネタにした『The World Is Not Enough』(北米では2000年にPSとN64でリリース)の後に作られたのが、 (そして、国内未発売なのが、)このゲームオリジナルシナリオのFPS『James Bond 007 in Agent Under Fire』 (2001年11月にPS2版がリリースされ、翌年3月にGC版とXbox版がリリース)。 シナリオどころか、ボンドの役者まで架空の人物だったりするんだけど。
  ちなみに、その後に発売され、国内でもスマッシュヒットとなった新作『James Bond 007: Night Fire』では、 シナリオはやはりオリジナルなんだけどボンドにはちゃんと(?)ピアース・ブロズナンが配されている。


  デフォルトの基本操作はなんとも奇妙なことに、 左スティックで前進後退&左右旋回、Cスティックで視点の上下移動&左右平行移動というもの。 うろ覚えなんだけど、もしかしたらN64『007ゴールデンアイ』のデフォルト操作に合わせて作られたのかもしれない。 まぁ、当然操作形態は変更可なので、左スティックで前進後退&左右平行移動、Cスティックで(旋回も含めた)視点操作にしてプレイ。 それで問題無しかっていうと実はそうでもない。 Lトリガを押しこむと若干画面がズームされて大きなサイトが表示される射撃モードに移行するんだけど、 この時のサイト操作はどうあがいても左スティックに割り当てられてる。 当然のように、通常はCスティックで狙いをつけるという感覚なだけに、このギャップはどうにもならず。 まぁ、そこまで重要度の高い操作ではないんで、致命的というほどではなかったけども。
  その他の操作は、Rトリガで攻撃、十字キーの上下で武器セレクト、X押しっぱなしでしゃがみ状態になり、Yでジャンプ。 007ということでスパイアイテム(「Gadget」)も活躍するわけで、これは十字キーの左右でセレクト、Bで使用という形になっている。 そのGadgetの内容は、特定のマーカーが付いた壁に打ち込むとそこまでワイヤーが伸びて自分をそこまで連れてってくれるという「Q-Claw」、 錠前を焼き切ることができる「Q-Laser」、隠された通路が明らかになるサングラス「Q-Specs」、キープログラムをダウンロードすると、 それに対応した装置を遠隔操作できるようになる「Q-Remote」、単発ながらも爆発的なジャンプができる「Q-Jet」などなど。 それらを用いたスパイチックな行動が、他のFPSにはない雰囲気を醸し出してくれてるし、 その点に関しては、『007ゴールデンアイ』より上だろう。

  また、「Bond Move」の存在もちょっと変わってるところ。 これは、機転を利かせて敵を倒したり、スパイっぽく戦闘を回避したりなど、いかにもジェームス・ボンドちっくな行動をした時に、 画面端に007のロゴマークが現れ、チャラッチャラーンというお馴染みのジングルが流れるというもの。 ボーナス的な意味合いもさることながら、ミッションクリアのための必須のイベントで発生することもあり、 “ボンド気分盛り上げ要素”的な意味合いも大きく、これが実に気持ちイイ。 ゲームクリア後にBond Moveの場所を全てムービーで紹介してくれるというのも、プレイ欲をかきたてるという意味でも良かったと思う。
  そのBond Moveボーナス、命中率、クリアスピードなどによるスコアによって、ステージクリア後には金銀銅3段階のメダルが与えられる。 で、金メダルをゲットするとシングルプレイ用の隠しパワーアップ要素(例えば、通常のハンドガンがパワーアップする「Golden Gun」とか)がオープンし、 さらに次にそのステージをプレイする時にはステージ内に「007 Bonus Token」というアイテムが幾つか出現するようになり、 それを全て集めて、かつ金メダル基準のスコアを満たしてクリアするとプラチナメダルが与えられ、マルチプレイ用の隠し要素がオープンするという仕掛け。 各ステージとも、プレイ開始前に「Operative」「Agent」「00 Agent」という3段階の難易度を設定でき、 それによって最終スコアに×1、×1.5、×2の補正がかかるようになってる。 つまり、(特に後半のステージでは)金メダルをプレイするためには高難易度に設定してのプレイが必要になってくるというわけ。 その攻略をラクにするためにとりあえず序盤のステージで金メダルを取って、 その後に後半を難易度上げてプレイする、など、長くプレイさせる作りにしようという工夫は感じられる。
  グラフィックが全体的に隙なく丁寧に描かれているのも良い。 移動できる範囲はそんなに広くなく、狙撃要素も弱い、 つまりあまり広い空間がないってのがあるにしても、とりあえず背景が丁寧に描かれているのは確か。 フレームレートにも安定感がある。
  お馴染みのテーマBGM、スパイっぽくバラエティ豊かなミッション、 また戦車で街に繰り出しちゃったり、女にデレデレ気味だったりという“やっぱり”なジェームス・ボンドと、 007っぽい雰囲気は十分に楽しめる

  んじゃ、スゴい良作なのかっていうと残念ながらそうでもないんだな、これが。
  まず何より、FPS的な楽しさ・爽快感が希薄なのがイタい。 銃を撃つ感覚、敵に攻撃がヒットする感覚、共にかなりイマイチなのは、SE、敵のやられモーション共に問題があるに違いない。
  各ステージの作りも、ちと淡白。 全12ステージは、難易度Operativeであればかなりアッサリと終わってしまうし、緊張感の緩急という意味ではどのステージもメリハリに欠ける印象。 いわゆる強敵的な存在も見当たらない。ラスボス戦も淡白の一言。
  ちなみに、その全12ステージにしても全部FPSというわけじゃなく、車を運転したり、 勝手に進む乗り物に乗り込んで自分は攻撃専門になったりというステージが3ステージほど含まれている。 それらのステージに特筆すべき面白さがあるわけじゃないものの、特に操作感に問題があるわけでもないし、 理不尽なところがあるわけじゃないし、グラフィックは丁寧に描かれてるしと、まぁバラエティ的にはアリってところか。
  で、このゲームの難易度の差は『007ゴールデンアイ』とは違って、 ミッション内容そのものには変化・追加があるわけではなく、あくまでも敵の強化、制限時間の短縮でのバランス取り。 そんな中、難易度を上げたときに気になってくるのが、システム的に対応できてないのにステルス的な行動をやらされるという点。 そもそも、主観視点でステルス行動ってのは、何らかのサポートシステムがないと難しい。 ましてやこのゲーム、ロクに敵の足音も聞こえないので、「どうやって敵を察しろと・・・」という場面が出てきてしまうのがツラいところ。 逆に言うと、難易度が低いときは、潜入任務なのに結局はバリバリの銃撃戦ってことになりがちなわけだけども。 敵の察しが良いこともあって、敵の頭を狙って一撃死を狙うのは難しいし、逆に狙撃銃だとどこを撃っても即死というのも何とも大味。
  シナリオは、まぁ007だからなぁ・・・。 ただ、ゲーム内容同様の淡白さはあって、ヒロインっぽい人物の出番は少なく、重要なはずの中ボスもアッサリとほふられ気味。 小ネタは良い、というか、そこしか見所がないって感じ。

  最後に英語に関して。 ミッション開始時の音声解説は、ステージ開始後にポーズメニューで全てテキストで読めるようになってるし、ゲーム中にすべき事もやはりポーズメニュー内で表示されるし、 何よりゲーム内容が淡白なので“何をやっていいかわからなくて詰まり気味”という状況にならないので、英語という意味ではラクな部類のゲームだと思う。 ストーリー的に難しい展開があるわけでもないんで、確かに字幕がないのは残念だったけど、そういう面でも割とラクなはず。


  ゲームとしての淡白さはどうにもならず、 007の雰囲気を楽しむ(ここはここで楽しかったんだが)以上の面白さは、なかなか見出せなかった。 しかし、これで『Turok: Evolution』に続いてGCの海外FPSを2本プレイしたわけだけども、 やり甲斐はあるんだけど作りが雑な『Turok: Evolution』、丁寧に作られてるけどやり甲斐に欠ける本作と、なかなか難しいもんだなぁ・・・。 とりあえず、次の『007 Nightfire』は概ね本作より評価が高いようなので、近々、国内PS2版でプレイする予定。

2003年4月12日記載