REPORTHalf-Life
PC
1998年10月31日発売発売:Sierra Online  開発:Valve  

  ノートPCながらもPCを買い換えたお陰で久々にPCでもゲームができる状態になり、 そのニューPCによる初めてのPCゲームレビューは、シングルプレイではいまだ最高傑作との声も多い名作FPS『Half-Life』ということにしてみた。
  ちなみに、自分がPCでFPSをプレイするのは『Quake』以来。 今ではお馴染みのマウス+キーボードという操作形態は、確かその後の『QuakeII』『Unreal』あたりで確立されたはずなわけで、 個人的には、マウス+キーボードによる初の本格的 (というのも、一応、DC『アウトトリガー』で近い経験はあるので)FPSプレイということにもなる。


  というわけで、基本操作はマウスでの(旋回も含めた)視点操作と、WSで前進後退、ADで左右平行移動で、PCのFPSの操作ではこれが一般的なキー配置らしい。 ちなみに、発売当時の時期的にということでジョイスティクプレイヤーへの配慮なのか、 ある程度自動的に敵を狙ってくれる「Auto Aim」というオプションも用意されている(デフォルトではオン)ものの、 マウス使用時には逆に操作し辛く感じることが多いのでオフでプレイすることになった。
  他の操作は、スペースキーでジャンプ、左Shiftキーを押しながら移動でゆっくり移動、 左Ctrlでしゃがみ、Eでステージ上のオブジェの使用(スイッチを押す、バルブを回すなど)、 Fで懐中電灯の使用(丁度『Halo』と同じような仕様で、バッテリは使用していない時に自動的に充電されるようになってる)など。 このゲームではShiftとCtrlの使用頻度が極めて高い。 普通に走ってると足をで敵に気付かれてしまったりするし、しゃがんでダクトの中に入るような場面も多いし、 助走を付けないで目の前の足場にジャンプして飛び乗りたいときは、ジャンプしてからしゃがむ必要があるし、 走りながらしゃがんですぐジャンプすることで通常より長いジャンプができるし、と。 よって、このShiftとCtrlとSpace(もちろん、プラス前後左右移動付き)を咄嗟に使い分ける場面が結構多くなってくるので、 慣れないとマジで指がツりそうになる(キーコンフィグでキー配置を変更するべきだったのかもしれないな)。
  武器コントロールは、左クリックで通常ショット、右クリックでサブショット (アサルトライフルでグレネードを撃ったりとかで、全ての武器に用意されている操作ではない)、Rでリロードなど。 数字キーで武器選択というのがPCのFPSのお決まりだけど、このゲームでは直接武器を選ぶんじゃなく、 それぞれの数字が武器のジャンルに割り当てられていて、例えば、3を押すとハンドガン→マグナム→ハンドガン→・・・と、 4を押すとアサルトライフル→ショットガン→ビームガン→アサルトライフル→・・・という風にローテーションしていき、1度ショットボタンを押すとその武器を選んだことになる。 咄嗟に武器を選択するには慣れが必要だけども、一度に所持する武器の数が多い(そしてその使い分けが必要な)ゲームなだけに、いたし方がないところか。 また、(というか、最近のFPSでは)マウスのホイールでも武器選択可になっており、 いよいよ咄嗟な武器変更には向かないものの、数字キーが指に馴染んでない自分としては助かる。
  最終的に14種にもなる特徴的な武器の数々は、それぞれに使い道があるし、弾薬がむやみやたらに手に入るゲームじゃないこともあって、 そのそれぞれを使い分け、使いこなすことが求められる。 ここらへんは良いゲームの最低条件といったところか。

  3Dグラフィックエンジンは、“Quake2エンジン”を元に拡張したもので、“Half-Lifeエンジン”として知られている模様。 当時はそれなりに重いゲームだったはずだ(もっとも、同時期の『Unreal』の陰になったか、そこまで「重いぞ!」っていう印象は残ってない)けど、 今となってはさすがに古いゲームということで、1024×768という解像度でもサクサクと動く。 4年以上も前のゲームということで、キャラクターのモデリングはさすがに雑な感じが否めないものの、 特に室内の描き込み具合は今でもさほど見劣りしない。 その大部分を占める写実的な研究所内の描写は細かいところまで良く描けているし、光の具合などのエフェクト、メカなどの動作するギミックも凝ってる。 多少のテクスチャの粗さはあるにしても、そのバリエーションの豊かさを考えれば、今なお賞賛に値すると思う。 ただ、ラストの架空の幻想的な異世界では、さすがに旧世代ゲームって感じが。 また、メカ、エイリアン共に基本的には上質なデザイン&モデリングなんだけど、大型の敵(2種類だけ)のデザインはちとダサめ。 フラッシュライトも若干不自然だけど、そこまで求めるのは酷というものだろう。
  音楽に関しては、自分は3D音楽未使用なんだけど、それでも十分なデキ。 架空のSEの内容、爆音などの迫力、3D音楽を使わないでもある程度空間を認識できる音のバランス、小ネタ、どれをとっても申し分ない。 ピンポイントで流れるBGMの使い方も上手い。

  一般的にこのゲームの2大長所と言われてるのは、(特に人間の敵兵士の)“敵AI”と“ステージ構成(レベルデザイン)”。
  敵AIに関しては、それでも「スゴい、スゴい」という話ばかり耳にしてたので、期待しすぎた感がある。 リロード時にはちゃんと物陰に隠れる、地形を把握して主人公に迫ってくる、隊長が存在し、その指示で主人公を攻めてくる、 主人公が物陰に隠れると(手榴弾を使うなど)攻撃パターンを変えてくる、なるほど確かによくできてる。 最近のFPS(に限らずだが)でも、このレベルに達してるものがどれだけあるかは疑わしい。 が、相手が人間の兵士ということになれば、「最高! スゴい!」とまで言う気にはなれず。 確かに敵キャラ(コンピュータプレイヤー、いわゆるBot)としてはよく出来てるんだろうけど、 (演出を含めての)人間としてのAIという点では不満が残る。 んまぁ、一緒に戦う機会が出てくる警備員(言うなれば“味方AI”か)のイマイチさと、敵兵士のゲームっぽい移動速度&チャチなモーションがその印象を悪くしてるってのもあるっぽいけど。
  ただし、ステージ構成の方は文句無く素晴らしい。驚いた。 このゲーム、そもそもステージという概念はなく、全ての場面がシームレスに繋がってる。 ところどころに短いローディングがあるものの、敵もNPCもそのローディングポイントをまたげ、言うなれば1つの巨大なステージからなってるという作り。
  まずその構造の広大さが素晴らしいんだけど、 さらに、Freemanの辿るルートにバッチリとメリハリがついてるのが何よりスゴい。 場面はドンドンと変わっていき、シチュエーションもドンドンと変化していくし、 通常の通路以外にも、通風孔に潜り込んだり、水の中を泳いだり、断崖絶壁を歩いたりと、Freemanの足取りも実に多彩だ。 その上、前述の通り敵AIが優れているわけで。 このゲームは、プレイヤーに“用意された道を辿っていくだけ”という感覚を思い起こさせる隙を全く与えない。 もちろん、解法(突破法)が複数用意されている場面が実際に多いのも素晴らしいわけだが。
  ゲームは米軍の秘密研究所「Black Mesa」に勤める研究員「Gordon Freeman」(プレイヤー)が、 モノレールに乗って研究所内に入っていくシーンから始まる。 Freemanはある実験に立ち会うんだけど、その実験にトラブル発生、実験装置は大爆発を起こし、 異次元世界への扉が開いてしまい、研究所内に謎のエイリアンが大挙してしまった!ってとこから本格的なゲームスタートで、 その後、この実験の目撃者を全て抹殺すべく軍隊が投入され、エイリアンvs軍隊vsそこから生き残るべく戦うGordon Freemanという、三つ巴状態になっていく。 ・・・という話の流れを、常に主観視点で(最初のモノレールに乗って、スタッフ紹介の字幕が出るシーンから主観視点で操作可になってる)、 しかも全くシームレスに(つまりプレイヤーから操作を奪うイベントシーンや場面転換は皆無)辿っていくことになる。 「ストーリーが良い」「映画的」と評されるゲームだけど、 それらを主観視点に無理なく盛り込んだところが、何よりスゴいと思うな。
  細かいところで良かったのは、Gordon Freemanの味方となる研究員、警備員たちの存在。 ハシゴを上れなかったり段差を降りなかったりで、 仲間になってはサヨナラと、あまり多くの味方を引き連れることはない(もちろん基本的には孤独だし)んだけど、なかなか良い味を出してる。 特に、味方になったNPC同士が会話するというのは、(機会が極めて少なく地味ながらも)かなり新鮮だった。

  難点となると、やはり難易度か。 いつでもクイックセーブができるのでそこまで致命的じゃない、 というよりも、特に終盤はいつでもセーブできることを前提に作られたような難易度に感じられるんだよな。
  パズル的に詰まるようなゲームではないんだけど、終盤の敵の攻撃は熾烈を極める。 即着弾という武器が多いこともあって、敵の攻撃を全て避けきれるようなゲームではないし、 そのシチュエーション上(そこまで頻繁ではないものの)敵が突如として異次元から出現したりするのも、大型の硬い敵が現れる終盤ではキビしい。 体力回復は結構機会があるんだけど、アーマーはかなり限られてる印象だし(自分の場合、アーマーが満タンになった状態ってのはほとんど無かった)、 弾薬に関しても全体的に少なめに設定されており、なかなか万全の状態を保つのは難しい。
  また、前述の通り、ジャンプアクションもこの系統のゲームとしては最もシビアなものが求められる部類。 移動とジャンプだけじゃなくしゃがみ(Ctrlキー)と歩き(Shiftキー)も使い分けさせられる上に、 空中制御があまり利かないという仕様なので、これにはなかなか苦労させられる。 まぁ自分の場合、上昇するエレベーター系の足場に乗るとその頂点に達したときに移動できなくなる(視点移動や攻撃は可)というバグが頻繁に起きてしまい、 必要以上に難しくなってしまったというのもあるんだけど・・・。
  ただ、ここらへんの良し悪しの難しいところは、 主人公Gordon Freemanは普通の科学者であって、このゲームはGordon Freemanのサバイバルを描いたものであるという点。 そういうシチュエーションである以上、ある程度のシビアさがないと説得力が無くなってしまうのは確か。 真っ向勝負では不利(で、それなりの戦い方(あるいは戦いの避け方)が用意されている)、 そういうバランス調整はある意味当然とも言えるけど、さすがに地上編の最後らへんは度を超えてる感じがしないでもない。
  あと、フィールドが広いのでこのくらいの移動スピードはあって当然な反面、 狭い場所では“スピードがある=センシティヴ”ということになり、うっかり足を滑らすことも。 まぁShiftキーを使いこなせよってことなんだけど、やっぱり家庭用機のアナログスティックが恋しくなる。

  最後に英語について。 ストーリーが面白いといっても、このゲームは何よりその展開が面白いので、 英語がさほど得意じゃなくても十分に楽しめるだろうし、英語のせいでゲームに詰まることもおそらくないはず。 もちろん、会話が多いゲームなだけに、英語スキル(特にヒアリング)が高いに越したことはない。やっぱり字幕は欲しいんだよなぁ・・・。


  極めて高い評価を受けてるゲームだけど、その評価にたがわぬ傑作なのは間違いない。 システム的に凝るわけじゃなく、あくまでもレベルデザインと敵AIで勝負し、この面白さというのが何より素晴らしいと思う。 まだまだ古臭さを感じさせるような内容ではないし、今でも手に入りやすいゲームだし、 今ならノートPCでもプレイできる可能性はあるし、要するにオススメの一本ということになる。
  しかし、逆に言えば(こういう路線のFPSの進歩の無さが窺える。 対戦系、ステルス系、ミリタリー系、ミッション系と幅が増えた反面、 一本筋の通ったストーリーのある真っ向勝負で演出が光るシングルプレイ3Dシューティングとなると、 この『Half-Life』の次に来ちゃうのは、やっぱり『Halo』だと思うし、またそれ以降はちょっと見当たらないわけで。 あるいはその間に割って入るかもしれない『No One Lives Forever』は、近いうちにプレイする予定。

2003年4月28日記載