REPORTHitman: Codename 47 日本語版
PC
2000年11月19日発売
日本語版 翌年2/23発売
日本販売:ツクダシナジー  発売:Eidos Interactive  開発:Io Interactive  

  殺し屋となって指令をこなすという、一発ネタ的な発想で作られ、その後の続編と共に結構好評なゲーム。 この7月にその続編のXbox版がローカライズされることが決定したので、どうせなら前作から、ということでプレイしてみた。 PC/PS2/GC/XBというマルチ展開をした『Hitman 2』とは違い、本作はPCオンリーな模様。


  プレイヤーは、記憶のない殺し屋「No.47」となり、彼を訓練した殺し屋組織「機関」からの指令を次々とこなしていくことになる。 ちなみにそのNo.47は、ツルピカハゲ頭で後頭部に謎のバーコードがついてるという不気味な外見だ。
  機関からの指令を受け、舞台、ターゲットなどの内容を確認し、装備を購入し、ステージ開始、 各ミッションを成功させるとステージクリアとなり報酬を得、次のステージへ・・・というのが大まかな流れ。 香港、コロンビア、ブタペスト、ロッテルダムなどの舞台が用意されており、 各ステージは各舞台での大きな目標達成のための段取りという形で、各舞台にそれぞれ数ステージの全12ステージという構成。

  狙撃時を除いた大部分を第三者視点で進めていくゲームになっており、その操作系はやや特殊なものになっている。
  一応、デフォルトの操作形態は、Eで前に走る、Sで前に歩く、ZCで左右平行移動、AD左右旋回、WRで左右覗き込みというもの。 キーコンフィグをするときには、走ると歩くで違うボタンを使うってとこが悩みどころになってくる。 また、視点は3キーで2つのモードを切り替えることができ、デフォルトは通常のFPSのような視点の左右の動きがキャラの旋回とリンクしてるもので、 もうひとつは、マウスでは体の向きは変えられず、首の動く範囲で周りを見渡せるというもの。 思うに、最初はデフォルトの操作形態と後者の視点をベースに作られたゲームなんじゃないかな。 でも、それが余りにとっつき難いために、FPS的な視点・操作形態も用意した、と。
  というわけで、自分はキーコンフィグを活用し、AFで左右覗き込み、Dで走る、Sで歩く、Xで後退、ZCで左右平行移動、 マウスで視点操作&旋回という形で、やや変則的ながらも、FPSっぽい感覚で操作できるようにしてみた。
  それでもその操作感には若干クセがある。 一番ツラいのは左右平行移動の遅さで、走る・歩くを切り替える形式じゃなく、 走りながら左右平行移動(つまり斜め移動)なら可能なんだけど、その場で真横に動くスピードは一定かつかなり遅い。 よって、FPSのような感覚で銃撃戦を行うのはキビしいものがある。 また、キャラとプレイヤーの視界が同一じゃないので、精密射撃にはちょっとムリがあり、相手の部位を狙って撃つというレベルに至るまでは、やや慣れを要するか。
  また、ジャンプ系のアクションは全く用意されていない(極々一部に、勝手にジャンプして乗り越えてくれる足場はあるが)。

  題材的にスニーキング&暗殺がメインで、真っ向から撃ち合うようなゲームでは(一応)ない。 背後から忍び寄ってピアノ線で首をキュッとか、ナイフで首筋をサクッとか、サイレンサー付ピストルでパスッとか、 あるいは遠くから狙撃銃でパンッとか、そういうのが重要になってくるわけだ。
  さらに、重要かつ面白いのが変装で、 殺した敵(に限らずだけど)の服を奪って変装し、味方になりすまして敵の内部へ・・・なんてのが常套手段。
  また、死体を敵の巡回で発見されないように、引きずって隠すのも重要になってくる (一応、死体の肢体がそれぞれ物理計算されているらしいのが地味にスゴいところで、引きずられ方、倒れ方共にリアル)。 逆に、敵が見つけられる場所に死体を置いておき、それを確認するために寄ってきた敵を遠くから狙撃して始末する、なんてことも可。
  ここらへんが重要なポイントになりえたのは、敵(というかNPC)のAIが優れてるからに他ならない。
  敵の視界はかなりナチュラルに感じられ、 面と向き合っている場合は、いくら距離が離れていても“自分からは見えるのに敵には気付かれない”なんてことはまずない (あっても、敵が表示される本当にギリギリのところ)。
  敵同士も連絡を取り合っていて、例えば○○に変装中にマズいことをしてることが見つかってしまった場合、 そこから逃げ切っても、時間が経つと敵全体が“怪しい○○を調べてる”という状態になり、 見つかれば即攻撃を受けるし、そこからまた別のキャラに変装すれば、また気付かれずに行動できたりもする。
  また、一般人のフリをしながら武器を手に持ってるとかは当然としても、 変装してるキャラにそぐわない武器を持ってるとその場で敵(危険人物)と判断されてしまう。 このゲーム、サブマシンガンより大きい武器は隠せないので、AK-47(アサルトライフル)を常備してる敵に成りすましたのに M16(同じくアサルトライフル)を装備してたので問答無用で射殺された、なんてことも。 敵基地内に放置してある武器ですら、ダメなもんはダメ。そういや、敵が見てる前で双眼鏡を構えただけで撃ち殺されたこともあったな・・・。
  キャラのモーションも自然でよくできてるし、近くに行くと(変装していても)キャラがなぜかこっちに顔を向けるのも、 「アヤシイと思ってるなら気付きそうなもんだが・・・」とか思いつつも、やっぱり楽しげ (もちろんそれによって、真正面から近づいて横から暗殺、ってのが難しくなってくるわけだけども)。 さらに、ステージ内の敵の配置も上手く、 「天誅」シリーズのような“オマエは一体何を見張ってるんだ?”という敵は見当たらず、それぞれの配置が理にかなってる。
  シチュエーションも多彩で、個々のステージ内での展開、 ステージを重ねていくごとに大物を追い詰めていく過程は面白いし、最終ステージへ向かう話の大きな流れも面白かった。

  ・・・ってだけならスゴく面白そうに聞こえるかもしれないけど、 残念ながらそうなり得てないのは、異常なほどの難易度の高さにある。
  このゲーム、自由度が高いといっても、ステージクリアの方法がたくさんあるというよりは、 たくさんある手段の中から最適のものを探さなくてはならないって感じの内容になっており、 ステージ内ではセーブできないので、とにかく死んではステージの最初からやり直しを繰り返すことになる。 まぁ、ステージ数とそのボリュームからして、ステージの途中でセーブ不可で、 死んでは覚えてを繰り返す形にならざるを得なかったのは理解できるんだけども、問題はその内容だろう。
  結局、“銃撃戦のダメージがデカすぎ”と“敵の察知能力がシビアすぎ”の合わせ技で、 銃撃戦をせざるを得なくなる割に、その銃撃戦がシビアすぎるのが問題なんだと思う。
  そもそも、ダメージがデカい。 防弾チョッキを着てステージに臨めるものの、頭部は流れた弾のようなものがあったるだけでも即死かそれに近いような状態になるっぽいし、 その頭部など防弾チョッキがない部分ではモロにダメージを受けてしまうようで、マシンガン系で乱射されると、かなり速攻で昇天。 逆に、防弾チョッキの防御力が0%まで落ちた後に死ぬことの方が珍しい(というか、まずない)くらい。 要するに、銃撃戦になっちゃった時点で、死亡、あるいは大ダメージを受ける可能性が出てきてしまうわけだ。 その上、体力を回復させる要素は皆無、と。
  前述の通り、左右平行移動の遅さも銃撃戦がツラい一因となっている。
  じゃあ、銃撃戦を徹底的に避けていくになってるのかっていうと、そうでもないんだよなぁ・・・。 敵の今の索敵状況(どんなキャラ、行動に反応するのか)が分かり難く、敵同士の情報伝達経路もアヤフヤなので、 (特に最初のプレイでは不可避としか思えない)ちょっとしたミスにより敵に気付かれ、 たちまち他の敵にもその情報が伝達してワラワラと集まってきて銃撃戦になってしまい、 すなわち死亡→ステージ失敗→またステージの最初からプレイ、なんてことが(非常に)多くなってくる。 それでも、銃撃戦がさほど重要でないミッションは結構面白いのに、ほぼ間違いなく銃撃戦を強いられる幾つかのミッション (スニーキングの効果がない、あるいはスニーキングがほぼ不可能なミッション)は、 異常な難しさで、繰り返しプレイしててさすがに辛いものがある。 (設定的には)スニーキングでミッションを達成すべきはずなのに、どうにもそれがムリっぽく、結局、地味に敵を殲滅していくことに、そんなことも。 で、そういうステージでは、さすがにプレイ時間が長くなってしまうので、ステージ内でセーブができないのはツラかった。
  死亡時に何度か(ステージごとに1、2回と決まっている)リトライできるという仕様も、とってつけたようで謎だ。 死亡するとある地点まで戻されて再開となるんだけど、 そもそも、死亡するシチュエーションになった時点(つまり、敵やガードマンが警戒状態になった時点)で概ねNGなわけで、 実際のところほとんど救済措置になり得てない。
  ダメージのデカさ、敵の察知能力の良さ、それぞれは結構なんだから、 もうちょっとそのバランスを考えるなり、救済措置を考えるなり、工夫をしてほしかったな。

  全体からすると、導入の香港はいかにもな感じの設定&展開でヒットマン気分を満喫できるけど、 その直後のコロンビアは戦闘重視でイマイチだし、その後も、ヒットマンらしい(=ゴルゴを彷彿とさせるような)ミッションは意外に少なく感じられるかもしれない。
  ちなみに、一般人や警官を殺してしまうと、その情報の滅殺に金がかかるということで、ステージ終了時の報酬が減額される。 とはいうものの、基本的に普通にゲームを進めていく分には、お金で困ることはないはず。 装備品にそこまでお金がかかるわけじゃないし、大量の一般人、警官を殺さなくちゃならない場面もないし。 そういう意味では、お金の要素は若干未消化な感じもするし、 ステージクリア時にそれ以外の評価ポイントがないのも残念だった。
  グラフィックの質そのものは今となってはフツーな感じ。 ただ、バリエーション豊かかつ細かく描き込まれてるし、光源処理がそれなりにできてることもあって、総合的な印象は悪くない。 かなりの人数が自律的に動いてるっぽいのも良いし、その各キャラクターのモーションのデキも良い。 比較的発売時期が近い『Deus Ex』と比べると、見える範囲が狭い代わりに、表現力はこちらの方が一枚上手な感じで、そこまで古臭さを感じさせるものではない。 さらに、特筆すべきはその軽さ。1280×1024の32bitカラーでもストレス皆無でサクサク動く。 それでも、実際には1024×768でプレイしたのは、高解像度を想定してないフォントや各メニューが見難いからに他ならない。 特にマップは表示される範囲が狭く、 縮小すると今度はマップ上の文字が見えなくなるという使い難さだったので、是非高解像度に対応して欲しかったところだ。 また、日本語フォントの読みづらさも印象的。 各ステージの導入はマニュアルに書いてあるからまだいいようなものの、雰囲気重視で選択したと思われるフォントには納得がいかず。 一部の音声(主に各舞台へ赴く時のNo.47の独白のセリフ)に日本語字幕が付いてないのもいただけなかった。


  かなり発想先行気味で、アラが目立つ内容だけれども、当時は、その長所が欠点を上回るという形で一定の評価を得られたのだろう。 実際、部分的にはかなり面白いところもあったので、続編でこの題材をどういう形で練り上げたのか、非常に気になるところだ。 とりあえず難易度的には本作ほどじゃないらしいので、期待して待つことにする。

2003年5月31日記載