REPORTGIFTPIA ギフトピア
GAME CUBE
2003年4月25日発売発売:任天堂  開発:スキップ  

  去年のPS2『チュウリップ』に続いてのスキップ(旧ラブデリック)の最新作は、最後の頼みの綱っぽい任天堂とのコラボ。
  ちなみに、スキップ内のいちチームとして『チュウリップ』を開発したスタジオパンチラインは、その後スキップから独立したそうな。


  舞台は、とある南国の島「ナナシ島」。 主人公「ポックル」は、大人になるための儀式「大人式」を寝坊ですっぽかしてしまう。このままじゃずっと子供のまま。 村長からは再大人式には500万マネ(マネはこの島の通貨)必要と言われ、お金を貯めることになるのだが・・・というのが話の導入。
  自称ジャンルは「オルタナティブRPG」とのことだけど、 ゲームの形式的には、相変わらずPS『moon』の亜流と言っていい内容。 ってことからすると、マネ(お金)が『moon』のラブ(『チュウリップ』のチュウでも可)に相当すると思うかもしれないけどそうではない。
  その後、ポックルは仙人のような生活をしてる「ジギー」とキノコ鍋を食べトリップし、 精霊に目覚め、人の願いをかなえることで「大人の素」を貯めて、それにより大人式とはまた違った形で大人になることを目指すことになる。 この部分が、いわゆるラブに相当すると思ってもらって間違いない。
  神社にキノコを一定数お供えすることで「からのネガイ玉」というアイテムが得られ、 ネガイを持った人に向かってからのネガイ玉を使うと、そのネガイを吸い込んだネガイ玉に変化。 で、そのネガイをかなえるとネガイ玉が「カナエ玉」に変化し、 一定数のカナエ玉を神社に奉納すると、ポックルの大人度がレベルアップするという仕掛けになっている。
  ちなみに、マネの積み立ては、それによって段階的に島の設備が整備されていく (街灯が整備されたり、ロープウェーが修理されたり)というもので、必ずしも必須の要素にはなっていない。

  主人公ポックルのステータスは主に「ネムケ」と「ハート(ハラ)」の2つ。 ネムケはポックルが起きていられる時間で、その限度を超えてまで起きていると気絶し、マネが半分になり、アイテムをほとんど失ってしまう。 これは大人度が高くなるにしたがって増えていくステータス。 一方のハート(ハラ)は、時間と共に減っていくステータスで、これがゼロになるとゲームオーバーになってしまう (ちなみに、このゲーム唯一のゲームオーバー要素)。 よって、道端に生えてる野菜や、店で売ってる食べ物などを、定期的に食べなければならないということになる。 これは、マップ上にあるハートというアイテムを食べることによって、その上限が増えていく。
  共に主人公の行動を制限する要素なんだけど、 このゲームの場合、それらはかなり緩く設定されていて、気絶やゲームオーバーは、まずあり得ない程度になっている。 例えば、前述のキノコのお供えにしても、そこにゲーム的な駆け引きはなく、道端に生えてるキノコを適当に採集し、溜まったらお供えするという感じ。 ここらへん、ゲーム性云々というよりも、“日常性の演出”的な部分が大きいんじゃないかな。
  また、島全体もそんなに大きくなく、結構早い段階で島の隅々まで行けるようになるし、 イベントが発生するのは住人の大部分が生活してる「タウン」付近がほとんどなので、 ネムケによって行動範囲が広がって・・・という楽しさも、あんまりなかったりする。
  さらに、朝昼晩という時間変化があって、それに応じて住人の行動が変わるとは言うものの、 そのパターンはお世辞にも多いとは言えず、そこらへんを解析する楽しさがあるわけじゃない。
  他にも、持てるアイテム数に制限がなかったりとか、全体的に緩いバランス調整になってるのは間違いないだろう。

  最初の方で「ゲームの形式的には、相変わらずPS『moon』の亜流と言っていい内容」と書いたけど、実は、かなり質的な転換があった。
  これまでの同系ゲームの場合、大抵、ラブ的な要素がステージ内に散らばっており、それを得ていく流れには、ある程度の自由度があった。 つまり、幾つかある(ように見える)候補の中から取捨選択をして、 そういう要素をゲットしていき、それがある程度溜まるとレベルアップして行動範囲が広がり・・・という流れ。 でもこのゲームでは、ネガイを得ていく流れ・順番は丸っきり一本道になっており、複数のネガイを同時にかなえようとする機会はない。 つまり、“ネガイ1→ネガイ2→レベルアップ→ネガイ3→ネガイ4→・・・”という流れ。
  こういう形で話の流れが単純になったお陰でか、キャラクターに話しかけると次のネガイに関する適切なヒントが聞けることが非常に多い。 さらに、街にいる占い婆さんにキャラクターの写真を見せることで、 その人物がネガイに関わってるかどうか占ってもらえたりと、ネガイを見つけるまでのプロセスが格段にラクになった。
  で、同じことが、ネガイをかなえるプロセスにも言える。 一本道でヒントが得られ易いので、観察して考えるとか、 (『チュウリップ』でもそういう傾向は若干あったんだけど、それにも増して)自分で試行錯誤するという機会はほぼ皆無に近い。
  要するに今回の『GIFTPIA』は、これまでのラブデリック系ゲームとは違い、詰まり得ないゲームになっているわけだ。
流れのままマッタリとイベントをこなさせられるゲーム、と。
  となるとシナリオが重要になってくるんだけども・・・。
  軽〜く風刺的なテイストがあるその方向性は、同系のゲームの中では『moon』に一番近いかもしれない。 より意図的に涙アリ笑いアリになってる感じはするけど、そこらへんの塩梅も悪くない。
  で、キャラクターが魅力的に描かれてるのも良い。 トゥーンシェイド処理されたグラフィック、ラブデリックのお家芸とも言えるゴチャゴチャ音声はゲームにマッチしてたし、 その独特かつ凝った各キャラのモーションも秀逸だった。 島の伝統を否定し、マネ集めに奔走する村長「メイヤー」、島の伝統を重視し、仙人のような生活を送る「ジギー」、 科学に傾倒し、メイヤーとはまた違った形で島の伝統を否定する「エジンソ博士」、メイヤーの娘でポックルとイイ感じの仲の「チャッピー」、 ヤギをこよなく愛するポックルの友達「パーター」、 バツイチで女手ひとつで息子を育てる横柄なコンビニの店員「ルミコ」などなど、20人以上のキャラクターが登場。 特に、生意気で辛口だけど根は優しいルミコの子供「チビタ」と、エジンソ博士が作り出したロボキャラたちは非常に好印象で、結構笑わせてもらった。
  が、どうにも話の主題がアヤフヤな感じは否めず。 話の2大テーマは「大人になるって?」と「科学と自然」なはずなんだけど、その扱いは共に中途半端。
  大人云々に関しては、「大人になるとこういうこともあるんだよ〜」ってのを断片的に見せるだけで、 ポックル自身が大人になるといようなイベントあるいは選択はほぼ皆無。
  より重要な後者に関しては、最初はお金とネガイを並行して進めていくような作りで、 その中でお金(現実、科学)かネガイ(理想、自然)っていう選択をしていくようなゲームかと期待してたんだけど、 結局、お金に関しては、ただの装飾物になってしまった感がある。 また、序盤から中盤にかけて、ポックルの大人度が上がるにつれ、 島の守護神であるテンジンが成長していく(鳥→犬?→人→巨人と変化していく)という要素もあり、 特に人型のテンジンはDC『L.O.L.』のHALUMIを思わせ、「これが自然の象徴となって話が展開していくんじゃ?」と期待したのに、 割と早い段階でその成長が止まってしまい(成長しきってしまい)、意外に活躍の場は少なかった(かつ、唐突だった)。
  まぁアヤフヤならアヤフヤで、マッタリというかジンワリと終わってくれればよかったのに、 最後の最後で、ドラマチックに見せようとする妙に長い操作不可のエピローグに突入してしまったのが、何よりイタかった。 あくまでもゲームの中でストーリーを見せようとしてきたのがこれまでのラブデリックだったはずなのに、 この最後の最後でのただの人形劇には、心底萎えた。 他にも魅力的なキャラは多いのに、最後に関わってくるのは全体の半分くらいだったし・・・。

  グラフィックはなかなか。キャラクターに関しては前述の通り。 トゥーンシェイディングが生かされてると自分が感じられたゲームとしては、ホントに『ジェットセットラジオ』以来かもしれない。 島の規模こそ大きくないけど、背景もそれなりに描き込まれており、全体的に起伏に富んだ作りになってるのが好印象。 また、日中になると画面全体が揺らぐエフェクトが付くんだけど、これが決してうるさくなることなく自然に画面に馴染んでたのが印象的。 欲を言えば、南国らしいギラギラした日差の感じをもっと出してほしかったところだが。
  音関係の仕掛けでは、 村の各所に設置されているスピーカーから「ナナシFM」が流れているという設定で、日中と夜で1曲ずつランダムにBGMがかけられている。 で、そのスピーカーからの距離によって聞こえる音量が変化したり、 ナナシFMからのお知らせのテキストも、スピーカーから離れてると薄っすらとしか表示されなかったり。 面白い要素ではあったんだけど、ちょっとBGMのセレクトがカオスすぎる感じも受けたし、それほどの好印象は残らず。
  キャラのセリフがキャンセル・早送り不可ってのは、もはや伝統的な鬱陶しさ。 キャラによってはかなり長く喋る上に、その内容が変わらなかったりして、ウッカリAボタンを押してかなりウザいことになったりもする。 会話中も動けるようにして、ナナシFMと同じように、 その距離によってテキストがボケたりするような仕掛けにしたら面白かった(&ラクだった)と思うんだけどな。


  確かに、これまでのラブデリック系の中ではダントツで遊びやすいゲームではあるんだけど、 そのパッと見の印象とは裏腹に、単にマッタリテイストを楽しむだけという、 これまでのラブデリック系のゲームとはかなり別物のゲーム内容に、かなりガッカリさせられた。 そのマッタリさがシナリオと組み合わさって相乗効果をもたらせば面白かったのに、そこらへんも実に中途半端。 独特のノリとキャラ(というかチビタとロボたち)にある程度救われてる感じだったんだけど、 最後の長めの垂れ流しエピローグが追い打ちとなり、心底萎えてしまった。
  とりあえず、スタジオパンチラインの次回作に期待することにする。

2003年6月9日記載